砂の駅 公演情報 砂の駅」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.3
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  • 満足度★★★

    忍耐がいる
    太田さんの沈黙劇というのを映像以外で観たのは初めて。

    舞踏やダンス、能楽よりも難解だと思った。

    今回の演出は、舞台上に描かれるのが「生者の営み」であり、「性」も強く感じられた。

    沈黙劇は慣れていないせいか、観ていて忍耐力がいるし、とても緊張し、翌日は疲れが一挙に出て、寝込んでしまった。

    やはり同じアジアの韓国のかたの演出であるせいか、感覚的には受け入れやすい印象であった。

    ネタバレBOX

    俳優・大杉漣の底知れない魅力を改めて思い知らされた。

    転形劇場での体験があったからこそ、現在の彼の「彩り」があるのだなと思えた。

    中年女性がブラジャーをはずし、くるくる動かしながら初老の男性にアピールするようにしつこくすり寄っていく場面が、夫婦なのか、恋人なのか、ユーモラスで会場から笑いが漏れていたが、中高年としては観ていて気恥ずかしかった。

    最後の後ろ向きから砂地を振り返るストップモーションにハッとさせられる。


    アフタートークが初心者には理解の一助になり、演出家が、輪廻転生を意図し、震災の犠牲者への希望と祈りをこめたというのが仏教徒としては共感できた。

    太田さんの生前、湘南台文化センターで上演されたことを知り、砂の遺跡のような長谷川逸子さんの建築にはぴったりの演劇だと感心した。

    新国立のアフタートークは席の移動が許されるが、空席が目立ち、2階、3階はほとんど客がいないのにもかかわらず、「そのままのお席でお聴きください」と言うのは、少々不親切に思えた。
  • 満足度★★★★★

    雄弁な沈黙
    昨年の「リア」の演出がすばらしかったので、今回も駆けつけました。

    とにかく美しい舞台です。円形の砂の舞台で、さまざまな恋人たちが年輪を重ねながら、足跡と思い出を舞台に刻んでいく。そして人々が過ぎ去った後に、彼らが生きた場所、世界、地球、宇宙が残っていく壮大な人間ドラマです。

    観客には想像力と集中力が求められます。そして見えてくる無言の伏線。その上で見るこの無言劇は「極上」としかいいようがありません。

    ネタバレBOX

    本当に誰ひとりとして言葉を発しません。円形闘技場のような砂の舞台で、男女が向き合って無言の演技の格闘を繰り広げます。芝居が進むにつれて、出演者が年齢を重ね、構造はより複雑になる。そして最後にこの世を去る老人は若い女性の幻(?)に自分をさらし、そして去って行きます。足跡で荒れていく砂の舞台。そして砂の間にひっそりと残されていったストーリーの端々の品。よくもまあ、こんなこと考えたなあ、と驚かされました。
  • 満足度★★

    砂の上での出会い・別れ
    台詞が一切無く、音楽もわずかで動きもゆっくりという静けさの支配する中で、少々エロティシズムを感じさせながら色々な男と女の出会いと別れが描かれた作品でした。円形の砂の中で無関係な人達がすれ違ったり、ちょっと佇んだ後にそれぞれの方向に進んでいったりと、タイトルにある「駅」を感じさせる時間でした。

    手前に砂が敷き詰められた大きな円形の舞台、奥は3m程高くなった真っ黒な舞台、そして中央に階段というセットの砂の部分を主に用いて、若い男女のシーンから次第に年老いた男女のシーンへと移行し、生涯を通じての男女関係が静かに綴られていました。
    老夫婦2人が地面に座り込み、妻がブラジャーを取り蝶々の様に操り、夫がぼーっと見ているシーンが暖かみがあって印象に残りました。
    ラストでは全員が黒い服で現れて葬式を思わせ、作品全体が走馬灯の様なものに思えました。黒い服を着た女性が常に奥の方に佇んでいるの印象的でしたが、どのような意味を表しているのかが解りませんでした。

    序盤、中盤、ラストに舞台上に出てくる小道具が小さくて、何なのかが分からず残念でした。小道具だけでなく、抑制されたわずかな動きの演技も世田谷パブリックのサイズでは客席に伝わらず、演出が会場に適していないと思いました。
    音楽が叙情的過ぎで、同じ曲が何回も流れるので、安っぽいテレビドラマみたいになってしまうのが残念でした。特にラストの音楽はセンスが感じられませんでした。また、せっかく韓国のベテラン役者達が参加しているのに、その声や台詞回しを全く聞けないのは勿体ないと思いました。

    昼食後に観た為、睡魔に襲われて色々と見落としてしまった所がありそうなので、意識が冴えているときに観るべき作品だと思いました。

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