みちゆき 公演情報 みちゆき」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-9件 / 9件中
  • 満足度★★★★

    妄想の果て
    物語は北澤の葬式のシーンから。ここでコミカルなダンスも披露し、高羽の独特なセンスが浮き出される。そして死んだはずの北澤(西泰平)が友人のもっさん(長嶺安奈)に「自分は死んでない。焼かれるのは嫌だ。俺を背負って、ここから逃げてくれないか?」と言い張る死体に逃亡を持ちかけられたことから、この「みちゆき」は始まるのだ。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    裏日記はこちら→http://ameblo.jp/misa--misaki/

    だから「みちゆき」はまんま、道行なのだ。
    朽ちゆく死体を背負いながら逃げるもっさんに、彼女に密かな恋心を抱いている田辺医師が加わり二人と死体の珍道中が始まる。ここで喪服のもっさんが白装束の死体を背負って彷徨うさまが実に可笑しいし、はたまた、北澤の精気を失った死体があまりにもリアルだ。

    もっさんは口を半開きにしたままの死体を、腐らせないようにと氷で冷やしてみたり、北へ行くことを決意したりと、とにかく死体を恋人のように甲斐甲斐しく世話をするのだ。更に北に向う田辺の車中で、死体と仲むつまじく会話するもっさんをみるとどうやら二人は恋人同士だったようで、もっさんに流されるままついて来た運転手の田辺の心が痛々しい場面でもある。そして彼らを追う遺族と死体の死因に不信感を持つ刑事らが絡み、物語は大山けいこ温泉という旅館に落ち着く。

    しかし、この旅館に終結した自殺志願サイトの面々と生死の根源に触れ、そしてこれを支援する旅館の女将にも疑問を抱いたもっさんは思うのだ。ここは生きたいと考える私たちの居るべきところではない。だってここは死にたいという人たちの場所だもの。

    徐々に朽ちてゆく「死体」を背負いながら朽ち果てるまで道行しようというもっさんの心が痛々しい。やがて田辺の「死体は死んでいるんだ。」との説得と真実によって、目が覚めたもっさんは幻想から目覚めたように現実を見るのだった。

    北澤本人と家族の意思で安楽死を選択した後の物語。死ぬ直前にやっぱり死にたくないと本人の気が変わったら・・・というセリフにかなり考えさせられた。また雪の降る北の国の情景があまりにも美しく、そこで落とされた赤い塊も芸術的であった。喪服に白いナース帽って案外、色っぽいんだね。西泰平と長嶺安奈が絶妙な演技をしていた。素晴らしい。

    コミカルで滑稽で愉快な舞台。だけれど胸にズシン!!と響く。
  • 満足度★★★★★

    文明さん、期待に違わぬ芝居でした。
    重いテーマを、こうしてよく作品に仕上げたものだと思います。それにしても文明さん、よくお芝居をごらんになっているんですね。いい演出家を連れてきますね。大成功でした。 いろいろ余韻の残るお芝居でした。

  • 満足度★★★

    個人的な意見ですが
    好みが別れると思います.。椿組は、本の魅力を引き出し、色合いと味に深みを出すのが、上手い劇団さんと思っているのですが、本が好みでないと言うか、魅力を感じられなかったです。役者さんは、良かったと思いますが、

    ネタバレBOX

    通夜の席で、遺体の北澤に『まだ死んでいない。俺を連れて逃げてくれ』とi言われ、看護師のもとかが死体を盗すんで逃走する前半は、可笑しかったが、やっとたどり着いた旅館には、自殺サイトで、集まった人々がいて・・・

    もとかが旅館から出る時には、白地に赤い染みが付いた大きな風呂敷背負ってる、死体だった北澤が、少し離れて、独り歩きしてる。
    その描写が、理解不能でした。
    あんなに苦労して、死体と逃げてきたのに、邪魔になって、切り刻んで、背負ってるようにしか、思えなかったので、、、・・・死因は、本人の強い意思含む積極的安楽死だったが・・・
    所詮、肉体と言う名の物質と割り切れたのなら、土に埋めるなり、方法は、もっとあったと思う。わざわざ、重たい死体と一緒に、ファミレスに入ったり、腐らないように、氷で冷したりした前半部分は、なんだったんでしょう?
    コミカルに、したかったのかもしれませんが、『クスッ』としたり、『ニヤッ』とは、したけど、場内も笑い声は、ほとんどしなかったです。もちろん、声出さずに笑って面白いと感じる方も、いることは存じてますが・・・
    タンゴのダンスのシーンの見せ方は、面白みもありましたが、、、

    だから、、、?何事にも、答えが一つとも限らず、相反していても、結果同じだったりと、いろんな考え方、見方がありますが・・・
    ラスト近くに、北澤の両親の想いは語られるが、状況描写も感情描写も少な過ぎる脚本演出のように感じ、観劇後数日考えたが、解らず・・・

    『死』は、誰もが必ず迎えなければならない現実ですが、たいていの方が、普段意識する事は、ないと思われます。

    私事ですが、父が10年前に他界してます。心筋梗塞で闘病2年半、他界直前3ヶ月は、脳梗塞で半身不随になっていたので、会話もできませんでした。
    同時期に親友の父親も末期ガンで、寝たきりだったので、『死』に対しての様々な考えがある事を目の当たりしました。
    状況と感情だけでは、割りきれず、容赦ない現実も襲いかかってきます。
    そんな経験がある者にとっては、重たい意味の単語の提示にしか思えない本には、魅力を感じられなかったです。

    『観てきた』に、個人的な経験書く事に、躊躇しましたが、良くも悪くも、理由を書かないと、ケチをつけただけと思い、書かせて頂きました。
  • 満足度★★★

    タカハ色濃い
    しっかりタカハ色。
    シリアスかブラックコメディか、どちらかに振って欲しかった。
    コミカルなシーンが浮いているように感じたので、
    どシリアスにしてもよかったのかも。

    ネタバレBOX

    特にファミレスシーンに違和感を感じた。
    オフ会に紛れ込んでからは好きだな。
  • 満足度★★★★

    若手作家とのコラボに成功!
    舞台装置は旅館と機械的オブジェを複合したもの。どこでもない世界であり、現世とあの世をつなぐ空間のような猥雑感のある美術。高羽彩お得意のパターンである。

    ストーリーは、若干のグロを含みながら、それでも美しく心を打つ。

    椿組のうまい役者陣と高羽彩の巧妙な脚本が見事に融合して、不思議な(そして魅力的な)舞台を作り上げた。

    それにしても外波山文明さん、お元気である。

  • 満足度★★★★

    観た
    重いテーマに考えさせられた。
    自分が患者だったら何を選ぶだろう?
    死体役の本当に生気のない顔が印象的だった。
    運転手をさせられた田辺の片想いが切なかった。

  • 満足度★★★★

    未知へゆく
    クライマックスで胸にスッと落ちる気持ちの良い作品。チラシに載ってる作者の文章通り「死を体験する」内容でありながら、観劇してみて怖さや悲しさはあまりない。でもテーマはどストレートに「死」、物語もどストレートな内容でわかりやすかった。設定の妙が際立ちありがちな結末に落ち着いたらヤダなと思っていたが地に足着いてる内容で安心しました。役者も安定感あってさすがだなぁと思った。所々にあった役者全員でひとつの場面を作る箇所が見応えありました。

    ネタバレBOX

    物語の序盤は愛する人の死を受け入れられない女の純愛的なファンタジーとして見ていた。昔のTVドラマに「究極の愛とは、最愛の相手の死を受け入れない事だ」という極端な哲学を発する話があったけれど、それを彷彿させる愛の形。死んだはずの男の死体を背負い、北へ北へと逃げる女。この時点では、伏線は「医療ミス」とかありがちなやつかな、って思っていた。ところが、「積極的安楽死」が物語の根底にあることが明かされて、後半~クライマックスで一気に楽しくなった。ファンタジーではなく、リアルな人間の営みなのだとわかると見ていてのめりこんでいける。医療の発達で、どこからが生きていてどこからが死んでいるかが曖昧な情勢。「積極的安楽死」を受け入れる側も、受け入れない側の気持ちもよくわかる。普遍的な命題である「死」。生きてる我々が同時に命尽きる直前まで、「未知」であるがゆえに不安で仕方ない存在である「死」の物語化として、「命は誰のものか」という問い掛けは秀逸だなぁと思う。その「未知」に向かって我々は日々確実に進んでいるのだなぁと再確認する、あまりの自明の理で普段は忘れてしまってるのだけれども。

    舞台の奥へ奥へと進んでいく、舞台美術も効果的でキレイだなぁって思った。また、物語の中盤に、自殺サイトで知り合った人達が死体を触って口々に感想を言い合うシーンが好きで。不謹慎だけど、こういう感情って人間の一面だなって思った。
  • 満足度★★★

    死にっぷりがいい
    死体の役も楽じゃなさそう。女優さんもあの力の抜けた死体とタンゴのリードを踊ったりして、大変だろうなあ。自分の命についていろいろ考えさせられる芝居でした。

    ネタバレBOX

    集団自殺をするばか者のことより、なぜ死体をかついでいるか、なぜ死んでいると思いたくないのかの方が知りたかった。彼女と北沢君の過去の話をいれたり、彼の両親(いい役者がいるのに!)とのエピソードをいれたりしていったら、最後はもっと感動的になったと思う。今でも泣けますが。
  • 満足度★★★

    考えさせられるテーマ
    自分はどうありたいか考えながら帰途に着きました。前半は笑えるところもあったのですが、その要素が無くなってからは残念ながらあまり集中できませんでした。後半位から下半身が冷えてきたのは単に空調設定の問題だったのか、考えられた演出だったのか・・・。後者なら○。

このページのQRコードです。

拡大