かわりのない 公演情報 かわりのない」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-9件 / 9件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    最初から最後まで、どのような展開になるのだろう?と思いながら、観劇しました。

    ネタバレBOX

    鉄道や工場らしき音,舞台には傾斜があり、ポッカリと空いた穴や雑然と置かれた椅子,交錯する会話に、不安感を掻き立てられました。
    様々な事情で、大人に翻弄される子ども…色々と考えさせられる、サスペンスでした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    TAACらしくないようなところもありつつ、でもしっかりとTAACの作品だなと感じる作品でした。

    人間くささというか、触れたくないところというかそういうところをしっかり抉ってくるんだけど、でも観たあとにちょっとした希望だったり、活力が湧いてくるんです。
    今回もそんな要素がしっかりありつつ、違うところもあって楽しめたのでネタバレの方に書きます

    ネタバレBOX

    らしくないと言ってしまうのは語弊が出てしまうような気がしますが、今回の作品ではとても推理小説を読んでいるような心地で物語が進んでいくので、描かれてる人の感情ややってる事は重いんだけど、楽しく観ることができました。
    人の気持ちは分かりきる事なんてできないけど、寄り添うことができる。事件の真相前後の刑事さんの奥様の印象はとても変わって見えていて面白かった。真相がわかった状態でもう一度刑事さんの機微が見てみたいなとも思ってるので配信買って見てみようと思います。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    これは見事なヒューマンサスペンス。畳みかける展開にはグッときますね。実にリアルでした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    観劇して初めて「かわりのない」という意味が理解できた。なかなか初見ではすべてを理解しにくいのかもしれない。
    親としてすごく気持ちが分かることもあるけど、行き過ぎな所もあって見ていて複雑な気持ちにさせられた。
    実は意外と刺さった一言が、3億円がその時々で価値が変わるってことだった。時に5億必要だったり3億以下でもOKになったりその立場にならないと絶対に感じないことだと思った。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/02/12 (月) 14:00

    己れの都合で子供を振り回す大人たちの残酷さ、後半は緊張感に溢れ盛り上がった。最後にタイトルの言葉が重くのしかかる。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    開演前から響く工事らしきノイズに何か不安感をかき立てるセット。複数の家族のやたら噛み合わない不安定な会話というか、揚げ足取りの応酬のようなやり取りが多すぎて、かえって無理のある展開になってしまったように思えて勿体ない気が。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     華5つ☆

    ネタバレBOX

     夫婦の行為に対する疑義から捜査の手が入る。然し問題はそれほど簡単に「解決」へと導かれる訳ではない。子供を救えなかった様々な人々が、己の論理を展開してゆき、何が真であるのかを追求することの難しさ自体が明らかになってゆく展開が見事!
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    舞台美術はオフィスコットーネの『磁界』を思わせる。八百屋舞台で手前の水平なスペースに上手、下手と雑然と重ねられた椅子。列車の走行音と工事現場の鉄骨の擦過音。登場した役者が椅子を引き抜いた際に走るノイズ。中央にポッカリと空いた奈落。神経症的な不安感。

    募金活動を終え、十円玉を投げて表か裏を当てながら帰宅する夫婦、異儀田夏葉さんと清水優(ゆたか)氏。何故か旦那の投げる十円玉は全て表が出る。それを完全に当て続ける妻。

    一人の少年の死を捜査している刑事(荒井敦史氏)。徳重聡に似た美男子。最近眠れずに寝室にも入らない。妻(北村まりこさん)は複雑な心境。青木さやかとミラクルひかるっぽい味のある話し方。

    少年の父親(納谷健〈たける〉氏)は非人間的で冷たい印象。「生まれつき身体の弱い子でしたから。通夜で頼んだ寿司が余っているので食べませんか?」

    刑事の取り調べ、夫婦とそれぞれ別々に会話しているのを3人で話しているように混ぜ合わせる演出の工夫。一体、これは何の取り調べなんだ?噛み合わない話。

    夫婦にとっての子供の存在する意味。時折仄めかされるセックスレス。他人が何を考えているかなんて分かる筈がない。皆自分のお話にばかり気を取られているようだ。
    異儀田夏葉さんがずば抜けた存在感。

    ネタバレBOX

    2018年9月に公演された『を待ちながら』。山崎彬氏と七味まゆ味さんの二人芝居。難病を患った子供の莫大な医療費を賄う為、募金を募った夫婦。目標額に達する寸前に子供は亡くなってしまう。生きる目的を見失い、空虚な穴が広がる妻の心。夫は「もう一度募金活動を始めよう」と言う。夫婦再生の為に。
    今作はそれに色々と足したような作品。やはり核となるのは異儀田夏葉さんと清水優氏の物語。他の二つの家族の物語はどうも上手くはまっていない。時系列をもっと大幅に離すべきだった。

    演出がかなり凝っている分、脚本の粗が目立つ。何か凄く勿体ない。父親に蒸発され、遠い親戚に引き取られた過去を持つ刑事。妻との微妙な距離感。妻は「貴方の顔が好き」と言う。
    ネグレクト(育児放棄)の家庭、父親は息子に別れた妻の面影を見て愛せなくなった。息子は知らない家庭に助けを求める。(多分、駅前の募金活動を見たのだろう)。
    難病の息子をアメリカで手術する為に三億円もの金を必要とした夫婦。街頭募金を求め続け、もう少しで達成の時に息子は亡くなる。失くした息子の穴を埋める為に募金活動を再開する夫婦。無論詐欺的行為なのだが、息子の名前を駅前で訴えている時だけ生きている実感があった。

    経営悪化したクリニックの医師(廣川三憲氏)が大量の薬を売っていた話が出るが、処方箋と調剤薬局のことを考えるとちょっと無理がある。

    タイトルの意味は「代わりのない」。刑事がラスト怒り狂う。「子供には親しかいないんだ!他に代わりはいないんだよ!」幼い頃に捨てられた時、染み着いた自分の惨めで不安な存在感。「妻の面影がどうのじゃねえよ、てめえのお話ばっかに夢中になりやがって、目の前の子供との物語から目を逸らすな!」
    そして刑事は自宅に帰り、自分のお話ではなく妻との物語をしっかりと見つめる。

    SION「この夜に噛みついて」

    お前の代わりはそれこそ捨てるほど溢れてる
    だけどお前にお前の代わりはひとつもない
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、お薦め。
    夫婦3組による存在(登場)しない子を巡る、いや正確には、夫婦2組と妻に出奔された夫と息子(不在)の愛憎劇といったところ。「変わりのない」か「代わりのない」で意味が大きく違う。説明ー難病の息子の移植手術するために募金活動を行ったがあと少しで目標額に届きそうな時に亡くなったーは、時間の経過とともに少しずつ日常が戻ったということか、それとも亡くなった息子の代わりはいない といったことか。公演では視点を変えて両方の事柄を描いているようだ。それは並んで立っているが、同一空間ではなく、台詞だけがシンクロしている妙。この届かない 聞こえないであろう慟哭こそが不在の(我が)子を強く印象付ける。

    少しネタバレするが、チラシの座っている男女が説明にある募金活動を行った夫婦、後ろに立っているのが刑事。必要なくなった募金活動を続けたことによる詐欺か、実はもっと別の観点で展開していくが、何となくミステリーサスペンス風の様相を帯び 一気に関心が高まる。
    (上演時間1時間40分 途中休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は、土手のように傾斜した所(八百屋舞台)に、テーブルと椅子、所々に倒れた椅子が重なっている。テーブルの下には穴があり、天井には傘電球が一つ。全体的に抽象的な作り込み。上演前には工事中であろうか破砕音や電車が通る音が騒がしく聞こえる。

    田代健太・由希子夫妻は、説明にある息子 大樹(不在人物)の移植手術のため募金活動をしていたが、あと少しで目標額というところで息子(5歳)が亡くなった。息子が亡くなった喪失感を埋めるかのように、犯罪であることを知りつつ、また募金活動を始めた。そんな或る日、根本大河(不在人物)という子が逃げ込んできた。妻に出奔された男 根本岳の息子である。この子の顔にだんだんと妻の面影が、そして疎んじるようになる。この不在の息子を巡って或る出来事が起きる。近所の医院 橋爪史朗医師を巻き込んで刑事 春日井陽平の聞き取りが始まる。夫々の心情と思惑が絡み、夫々にとっての真実が事実をなかなか明らかに出来ない。そして驚愕の事実と悲しみが観客の心魂を揺さぶる。

    暖(白銀)色系の照明による諧調、ピアノの重低音やバイオリンの音響。そして穴に椅子が転げ落ちることによって不安もしくは不穏な効果を出す。チャイム音と同時に天井から札片(募金)が舞い落ちる。抽象的な舞台美術とは反対に分かり易い情景描写が印象的だ。
    刑事は田代夫婦を別々に取り調べているようだが、その過程の会話はシンクロさせるといった巧さ。それによって夫婦の相互の思い、歪な いたわり が浮き彫りになる。

    因みに刑事の春日井陽平・里美夫妻に子はいない。少し ちぐはぐで 歯切れの悪い会話から、不妊(治療)ということを連想する。陽平の生い立ちも影を落とす。物語は、不在(登場しない)の息子2人が中心におり、父に疎んじられた子を亡くなった子の代わりに面倒見ているうちに、といった錯誤の世界観が描かれている。金では買えない、いや代替できない愛情が痛ましい。
    次回公演を楽しみにしております。

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