「エダニク」「サブウェイ」 公演情報 「エダニク」「サブウェイ」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
21-25件 / 25件中
  • 満足度★★★★★

    【エダニク】フーッ!良い!!
    別屠室のすぐそばという雰囲気がびんびん伝わってきて、臨場感と緊迫感がありました。

    ネタバレBOX

    朝8時から始まる別屠室で行われる解体作業は午後2時頃に終了し、遅い昼食を摂っている休憩中の騒動。

    ニートでチャラ男に見えた養豚業者の息子が意外にもしっかり者で、通常のラインとは別の個別に解体する作業を増やさせようとする駆け引きに作業員がまんまと引っ掛かった話と、リストラに悩んだ同僚の延髄隠しと自殺騒動が交錯したストーリーだったため、作業工程や油断すると大怪我をすることもあるという作業における心構えなどの説明があって命を絶つことへの畏れは充分に感じ取ることはできましたが、説明書きにあったような生が死に、家畜が製品に変わる分岐点のような瞬間のエネルギーは感じられませんでした。

    ラストで、養豚業者の息子に一連の作業をこれから見せるぞーというシーンはありましたが、まだ作業着に着替える前なので明るい目付きのままでした。冒頭のシーンなど休憩室での緩んだ雰囲気はもちろんそれはそれで良いのですが、作業が終わった直後の緊張が残っているような目付きも見てみたかったと思いました。

    それにしても、たった3人の役者でこれだけのことができる素晴らしさには感服します。チャラ男は本当にチャラ男らしくて良かったです。跡取りとしての覚悟もできたようで何よりでした。

    ソース焼きそばのつーんとした匂いの他に、延髄のつーんとした匂いも漂ってきたように感じました。
  • 『サブウェイ』
    正直好みではなかった。
    やろうとしている内容はよくわかった。
    ただどうしても世界に入っていけなかったのは、私自身がテレビをあまり見ないから、そしてこの作品で訴えようとしていることが私自身に必要なことではなかったからかもしれない(笑)

    しかし、あそこまでテレビに固執する必要があったのだろうか?
    別の何かでも可能だったような気もするし、またネタの層が非常に浅かったのは、脚本家の勉強不足のようにも思える(いや、これに関しては笑っている世代の方が似通っていたことからの推測です)。

    終盤の台詞にあった“雑!”って言葉が一番しっくりきた。

    と書いているものの、全面的に否定なのではなく、この作品に関してはただ“合わなかった”というのが一番しっくりきているだけです。申し訳ないです。

  • 満足度★★★★★

    『エダニク』
    いやはや、面白かった!
    前情報を得ずに乗り込んだからハラハラしながら、しかし期待もしながらの観劇。構成はある種、想像通りの展開ではあるがそれがまた素直に観させてくれたのは、リアルな言葉回しと簡潔にまとめた工場内の説明だったように思える。
    3人の出演者で90分もの時間を豊かに過ごさせてくれた脚本に拍手!
    個人的には原氏の繊細な演技がたまらなくよかった。
    気になった点は冒頭。どうしても観劇後に思い返してもしっくりこない。
    あと夏氏が見せていた後半のリアクションの取り方にリアリティが感じられなかったのがもったいないと思った。

  • 満足度★★★★

    重層的な『サブウェイ』(極東退屈道場))
    重層的な物語構造を用いて、故郷を喪失し都市で地下鉄に乗る人々の孤立感が描かれた作品で、短編コント集のように見せかけながらも実は緻密に関連性を持たせている脚本が見事でした。基本的にはコミカルな雰囲気ですが、ところどころにゾクゾクさせる怖さがあり印象的でした。

    地下鉄をテーマにしたドキュメンタリー映画の撮影という劇中劇的な構成で、曜日で分けられた各章ごとに1人ずつインタビューの体裁のモノローグがあり、同時に字幕で旧約聖書の『創世記』が表示され、直接は関係しないながらもかすかに関連しているような距離感が絶妙でした。
    ベタなギャグからマニアックなネタまで様々なタイプの笑いを挟みながら、次第に社会的な視線を感じさせるシリアスな雰囲気に移行するかと思いきや、それまでの流れを打ち壊すような怒涛の急展開があり、タイトルの「サブウェイ」がとんでもない所に繋がり、唖然とさせられました。
    クライマックスの後の終盤のシーンは再演に際して付け加えられたのことで、メディアのあり方が問われている最近の状況をシニカルに描いていて面白かったです。『創世記』の物語も終盤になって現実との繋がりが見えて来て興味深かったです。最後の観光ガイド風に話される台詞が素晴らしく、とても心に響きました。

    役者8人は皆個性的でキャラが立っていてチャーミングでした。時折見せる冷徹な表情が怖くて良かったです。人情劇的な劇中劇のシーンでの大げさな臭い演技も楽しかったです。1人だけ他と異なる衣装で狂言回し的な役割を演じつつ、iPadを用いた字幕操作も担当していた中元志保さんの奔放な感じが素敵でした。

    開演前の趣向(真夏の會のメンバーが出演)や、駅や車内のアナウンスに様々な台詞が被さるシーンなど、演出も新鮮で楽しかったです。演出とは別に同時並行的に作られたというダンスも効果的でした。
    おそらくスノッブな感じにならないように敢えてそうしたのだと思いますが、脚本に対して演技や演出の精度が少々低く感じられる部分があり、勿体なく思いました。最後のシーンは映像と同期させてカッチリと見せて欲しかったです。

    すごく笑えたり泣けたりする分かり易い内容ではないのですが、とても共感できる作品でした。次作もぜひ東京公演を行って欲しいです。

  • 満足度★★★★

    「エダニク」を観た
    流石に横山拓也(売込隊ビーム)の本だけあってナンセンスコメディカラーの強いオモチロ可笑しい芝居だった。役者3人も熱演だったけれど、夏がすこぉ~しだけあがっていたような感じ。原真の演技力が素晴らしい!

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    序盤、元ニートのいかにも軽そうな茶髪男・伊舞(夏)が「屠場一日体験」と銘打って、職人たちの休憩所にもなっている研磨室に現れる。腕に自信のある職人2人はそんなちゃらちゃらしたイマドキ男を叱咤すべく説教じみた会話になるも、このイマドキ男こそが、伊舞ファームの跡継ぎ御曹司だということを理解した沢村(原真)は態度を豹変し、今までの暴言を詫びて急に遜ってしまう。笑
    俗に言う強弱の世界なのだが、世の中というものはそんなもんだ。

    伊舞とは3歳しか違わない沢村のしっかりした考えとニートだった伊舞のジェネレーションギャップな会話が可笑しい。ある意味、不毛な会話劇なのだが、価値観も考え方も真逆な二人に会話が成り立つはずはなく、その隙間だらけの絶妙さが実に面白いのだ。伊舞自身も自分の御曹司という立場を熟知していて、段々と少しずつゆっくりと偉そうになっていく態度。それに反して恐縮しまくり、縮こまる沢村。

    しかし、玄田(緒方晋)だけは、大きな取引先の御曹司だろうとなんだろうと考えを曲げない、遜らない。笑  この3人の不毛なまでのバカバカしい会話が楽しかった。

    また屠場という場所設定も、解らないことだらけで興味深々だった。専用屠場の話、工場ライン、別屠室、解体、屠畜銃の話など内容はエグイが、知らない世界を知らされるというのは、観客にとってワクワクドッキドッキな秘密基地を見ているようで新鮮だった。

    文句なしに面白い!こうなったら「サブウエイ」も一見の価値ありでしょ。観に行く。

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