アンネの日 公演情報 アンネの日」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.8
1-9件 / 9件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    石原燃脚本、東京演劇アンサンブルの傑作『彼女たちの断片』を思い起こさせる。全ての登場人物の人生が徐々に重なり合って協奏曲となり、共通項である“生理”を入口とした女性論、人間論が紡がれる。それぞれの初潮を迎えた時のエピソードから、それを人に伝えた時の気持ち、その時の相手の反応。女性だったら誰もが抱え隠し持つ経験。人によって歓びだったり痛みだったり恥辱だったり優しさだったり。

    初潮から閉経まで女性の生理期間を日数として数えると、最大にして9年間だと語られる。女性の一生の内、9年間は生理中だということ。男性には想像もつかない。
    かつて中米の人と結婚した知り合いの女性が、高地の生活環境での生理が重過ぎて帰国したことがあった。その時は「へえ、そんな辛いもんなんだ」位の感想だった。
    自分にとって生理とは全く感覚的に掴めないもので、今回初めて知ることばかり。こういう教育こそ学校でやるべきだと思う。女性だけでなく男性こそ知るべきだ。皆こんな辛い思いを当り前に繰り返しているのか?

    プラカードやスケッチブックをラウンドガールのように抱えたアンネ・ガールズの入退場、椅子と机をマスゲームのように配置していくスマートな演出。背景の壁は残雪の残る山の岩肌を思わせる。

    アネモネコーポレーション生理用ナプキン開発部、サブリーダー、李千鶴さんは身体に害のないオーガニック(化学合成された成分を含まない製品)生理用品の開発を提言。突然の提案にリーダーの林田麻里さんは難色を示すも、ザンヨウコさん含め同期で未婚の女達が中心となり社内のコンペ企画に参加することに。

    ツワッチ役林田麻里さん、見事にニュートラルな立ち位置で物語のバランスを担った。
    ドイカナ役李千鶴さんの親友の死が物語の核となる。何故、そこまでオーガニックに拘るのか?
    個人的MVPはタボ役ザンヨウコさん。この人が口を開くたび、客席がどっと沸く。幼い頃に親が離婚、父親と祖母に育てられた生い立ち。

    鬼の企画部部長、オキョウさん役伊藤弘子さん。離婚して息子を育てている。更年期と閉経について語る。
    コンノ役橘未佐子さん、母親に愛されなかったトラウマを、結婚して出産した今も抱えている。

    エイカ役葛木英(くずきあきら)さん、好奇心旺盛なボーイッシュな化学者。初潮を教室で男子にからかわれたトラウマ。突然の謎の結婚に社内は興味津々。
    企画部の若きエース、サヤカ役瑞生(みずき)桜子さんは永作博美みたいな清純派顔だが、かなり気が強そう。邪悪な役を観てみたい。
    リオ役真田怜臣(れお)さん、本物のトランスジェンダー。整形なしで辺見マリ似のこの美貌。

    勉強になった。
    世の中、本当に知らないことばかり。

    ネタバレBOX

    生理とは果たして何の為にあるのか?
    人間以外だと一部の猿や蝙蝠、ハネジネズミやツパイなどの哺乳動物にしか見られない。他の動物だと発情期の子宮内膜の充血だけだったりする。
    月に一度、妊娠可能になった女性は受精の為に子宮内膜に厚いベッドを敷く。しかし受精しなかった場合、子宮内膜のベッドは剥がれ落ち、血液とともに子宮口から排出される。これがずっと繰り返される。
    最近の主流になっている学説は受精卵選別説(子宮内膜には受精卵の状態を把握し見分ける能力があり、確実に子孫を残す為に子宮内膜を常に新鮮な状態にしているというもの)。

    『アンネの日記』に記されている14歳のアンネ・フランクの綴った一節。「生理があるたびに(といっても、今までに三度あったきりですけど)面倒くさいし、不愉快だし、鬱陶しいのにもかかわらず、甘美なひみつを持っているような気がします。」
    オランダ・アムステルダムでの隠れ家生活でこんな文章を書ける感性。
    忌まわしき忌むべき穢れ、不浄、恥ずべき汚らしいことと長らく日本では禁忌化されてきた月経。
    1961年(昭和36年)、27歳の主婦・坂井泰子(よしこ)さんが設立したアンネ株式会社。「アンネナプキン」(日本初の使い捨てナプキン)の登場は女性を解放し、日本を世界一のナプキン先進国とした。

    RCサクセションの『いい事ばかりはありゃしない』の一節、
    「月光仮面が来ないのとあの娘が電話かけてきた」
    「月光仮面」の意味が「月のもの」だと知った時は驚いた。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    佳作!
    冒頭の独白から何故か涙が込み上げる。真に女性の思いを理解出来ていないかも知れないが全編通して台詞が沁みてくる。
    ラストの部長の言葉、刺さる。
    そして2人の新たな関係性の始まりに性別を超えた人としての生き方を考えさせられた。
    とても良い舞台だった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/01/18 (木) 14:00

    #アンネの日
    舞台上演する前までは女性の生理用品の開発者による内容だと思っていたので、男性ひとりで観劇するのには少しだけ抵抗はありました。しかし実際観劇したらコミカルに描かれており会場内からは笑い声を聞こえる楽しいお芝居でありました。身近にいる女性が月一回訪れる生理をこんなに公の場所で訴えかけてくれた事は意義深いことだと感じました。日本では生理休暇は制度としてあるですが利用される方はまだまだ少なく感じます。ドイツ等のヨーロッパは生理休暇制度事態もないと記憶しています。昨今自然災害でも生理用品の支援についても異論が多発している中でとてもいい機会【女性の生理、それに伴う苦労話の題材で】を観劇出来てありがとうございました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ネタバレ

    ネタバレBOX

    serial number『アンネの日』を観劇。

     以前は風琴工房という劇団名だったが、改名したようだ。
    今作は再演で、代表作である。
     チラシとタイトルから『アンネの日記』の『記』を外しているので、何か企みがあるのではないか?と勘繰っていたが、どうやら全くの勘違いのようだった。
     月経の話だ。男性の理解力の無さ、都度感じる痛みと心の悩み、社会での女性の立ち位置、世界での男女差別まで話を広げていき、『アンネの日』という言葉の由来と意味の説明もしていく。
     8人の登場人物の初潮体験談から始まり、キャラクターを均等に掘り下げ、厚みを持たせてくる。この始まり方に女性観客は頷き、未知な世界への男性観客の誘導は見事で、出だしは上々だ。そこから自然素材を利用した生理用ナプキン・プロジェクトが物語の中心になり、肌に直接触れる故の繊細さ、素材へのこだわり、科学的根拠、商品作りを通して経験者の痛みをひしひしと伝えてくる。成功に導く奮闘記でもあるが、背景だけに留めておき、描かれるのは登場人物たちの初潮から閉経までの生き様だ。そこに性同一性障害を問題提起してくるので、誰もがその問題に背を向けずにはいられない。
     作家の志もそうだが、男女年齢問わず、展開の面白さが最大の魅力だろう。人気作品というのは頷けるのである。
     初演(2017年)の頃と時代が変わってきているので、その都度、背景を踏まえて改訂され、数年おきに再演出来る貴重な作品であるのは間違いない。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/01/20 (土) 18:00

    何となく認識していた生理の知識を深めるとともに改めて考え直す機会になった。
    登場人物のセリフに自分の気持ちを代弁するものを感じるシーンがあり、より引き込まれた。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    男性糾弾のメッセージが飛び交うかと思いきやバランスの取れた学びの多い舞台だった。終活に励むような年齢になって女性の生理の勉強をしても学んだ知識を応用する機会がないのが残念ではある。

    まあしかし「生理の負担(と出産の苦しみ)がない代償として神はいくつかの能力を男性から奪った。優しい心、他人への共感能力、協調能力、コミュニケーション能力…」と考えると少し男性にも同情の余地が出てくるような気がしませんか。…しないか、残念。

    推しの瑞生桜子さんは透明感を保ちつつ大人になっていて、そのまま成長されることを願うばかりだ。他の7人の方々(ひとからげで御免)も役者さんってうまいものだと久しぶりの観劇に感心の連続だった。

    おまけ:アンネ株式会社は、かつて存在していた、ナプキンやタンポンなどの生理用品を製造・販売する会社。1993年(平成5年)に東証1部上場のライオン&ユナイテッド製薬(日本)株式会社と合併した。
    2002年(平成14年)ライオンが生理用品から撤退、エルディタンポンをユニ・チャームへ譲渡。
    出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/01/17 (水) 19:00

    座席1階

    生理用ナプキンの開発に取り組む会社での女性8人の群像劇。詩森ろばの名作の再演だ。扱いにくいテーマだったかもしれないが、それぞれ8人の初潮体験から幕が開き、次世代の製品開発に向かっていくという物語の流れがとても印象的。それぞれの個性が丁寧に描かれ、分かりやすい。8人の熱演も光る。価値ある2時間を体験すべきだ。

    特徴的なのは、8人の中に性同一性障害の女性がいることだ。彼女は子どものころ、「神様、私にも生理をください」とお祈りをし、「女の子としての欠陥がある」と悩んでいた。その彼女が入社した経緯や、配属先の理由、部局横断の開発チームに加わるかどうかなどの展開は、その背景にいる会社の男性らの思考も含めて理不尽さや差別的扱いも浮き彫りにする。
    生理の体験ができない男性には、女性がどのような身体的、精神的な苦労を重ねて生きているかを想像するきっかけになる。男女が共に活躍する社会を目指すのであれば、この劇作は政治家や行政の人たちにぜひ見てほしい。多くのヒントが詰まっている。

    これは見ないと損するぞ、皆に言おうと思いながら夜の下北沢を後にした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/01/13 (土)

    それぞれの初潮体験から始まり、日本における女性の立場や地位に関して考えさせられました。
    もうこの年になり、それぞれに「あるある」頷きながら、だからこそ今後どうしていったらよいのかと問題提起されたとも感じました。
    演劇ならではのことですね。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/01/12 (金) 19:00

    ノンケミカルの生理用ナプキンを作ろうとする女性8人の群像劇。再演。面白い。観るべし!観るべし!!観るべし!!!(4分押し)130分。
     2017年、「風琴工房」名の時代に三鷹で上演された作品の再演で、初演も観ている。初潮の告白などインパクトあるセリフが多いが、開発に伴う苦労を乗り越えようとする技術者ストーリーとして観たい。女性であるがゆえの苦労など、2017年の頃と変わらない(モノによって悪くなってる)状況があることは悲しいが、舞台の女性達は力強い。8人のキャラクターがしっかり描かれ、巧みな俳優陣が巧みに演じているが、理央のキャラクターが初演とはちょっと違ったテイストになっていたのが印象に残る。

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