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満足度の平均 3.5
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  • 満足度★★★★

    現在のこととか、そうじゃないこととか
    3.11以降、書き手は皆、この問題にぶつかるようだ。「現在のことを書きたい、しかし”そのもの”ではなく、演劇とか表現とか、そう呼べるような作を乗せたい」
    本作も、そのような作家意識に格闘したひとりの劇作家の作品だ。
    舞台上で起こっていることは全部、虚構だ。
    そして、作意が確実に存在している。
    これが演劇の紛れも無いことで、現実と彼岸との距離を明確に描き出したとき、作品は自立するのだと、前に誰かから聴いた。
    この作品は、そういう意味でとても自立した作品である。
    そして、聴こえ方によっては、ミイラの居る深い石室の中へ、そっと引きづり込まれそうになる。
    演出家と俳優との企みによって、この試みはより深い心の闇へと誘う。

    ネタバレBOX

    シンプルなセット、役者と言葉だけが浮遊する舞台。
    この作品は、海外に持っていってもある程度は評価されるのではないかと、思う。
    大阪弁で書かれているけれども、テーマ自体はローカルな話でもなんでもなくて、「思い」とか「苦しみ」とか「怒り」とかいう感情は、どこまで残せるものなのかという話でした。
    最後に日の丸が出てきたのは、議論が分かれるだろうけれども、ノルウェーでの極右のテロ事件のあったすぐ後なので、ゆっくり考えていかなければなあ。という課題も出来ました。
    とても思弁性に富んでいて、なおかつテンポがよい、お芝居でした。
  • 満足度★★★

    過去と未来以外の「いま」
    一見シンプルなのに、自分の想像力を超えた奥行きのある作品でした。観劇途中で『わからない』で思考が停止してしまうのが悔しいなぁ。それは、多分自分の中でもう少しでストンと心に落ちそうで、落ちるとすげー楽しいんだろうなって想像出来るから悔しい。もう一回観たらもう少しわかるかも。アフタートークを聞いて、作品の魅力をより実感出来ました。

    ネタバレBOX

    主観的に言語化してしまうと、せっかくの奥行きのある世界が限定されてしまいそうで怖い。でも、どうしても3・11を想像してしまいました。

    境界線とミイラの話。私達は同じ人間がひいたはずの無数の境界線に囲まれて生きていて、逃れようとしても逃れられないし越えることは難しい。どんな時代に生まれてどこにいてどんな境遇でも、それでも境界線の中の『そこ』で『いま』を生きていくんだなぁと突き付けられました。見えないものが視覚化された白い物質に全身覆われた女はやがてどこかへ消えていく。ミイラは未来で目覚めて言葉を食べる。境界線は放射能汚染地域との境目、白い物質は放射性物質、汚染地域で触れられることなく長い時を経た先でヒバクして亡くなったミイラは、目覚めた先で何を見るのか、なんて感想で止まってしまいました。

    坂手洋二さんとのアフタートークも刺激的でしたが、やはり会話の要所でついていけず。でも創作過程や作品についてのあれこれはやっぱり聞けて幸せでした。モノトーンな印象、作品内の主語について、境界線について、ミイラについて、、、などなどのあれこれ。

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