実演鑑賞
満足度★★★★★
べし観る! 華5つ☆。途中休憩15分を挟み約3時間の長尺だが、全く長さを感じさせない。流石文学座も関わっているだけのことはある。例えば女性の立ち居振舞いにしても(和服の着こなし、歩き方、正座の姿勢、仕方等)当時のキチンとした作法である。現代の日本では殆どみることができないが。(追記11.7)
実演鑑賞
満足度★★★★
この作品のテーマは、「言語学者、民族学者 金田一京助の伝記」でしょうか、それとも「少数民族アイヌに対する差別問題」でしょうか。いつも地味な脇役の文学座 助川嘉隆が熱演です。3時間にも及ぶ芝居ですが、アクセントを付けたのは、サンドアート、白黒の画像が舞台に映し出されます。『銀の滴降る降るまわりに』はアイヌの神謡のひとつ。「梟の神の自ら歌った謡」知里幸恵の編訳『アイヌ神謡集』(1923年)に収録されている言葉が出てきます。2013年の文化座の舞台を思い出しました。
実演鑑賞
満足度★★★
国語学者の金田一京助は、啄木の舞台では、学友の役でよく脇役登場する。後年辞典編纂でも高名になった。この舞台は最近珍しい実話に沿った金田一京助の伝記劇である。金田一は日本のアイヌ語の未踏の分野に踏み込んだ学者で、言語と差別問題が賑やかな昨今、上演企画が上がったらしい。戯曲作者(八鍬健之助)は始めて見る人で北海道の出身という。あまり経験のないグループの新しい挑戦にあれこれ言うのも気が引けるが、二三感想を。
皆が実生活を話生半可に知っている時代を舞台に上げるのは実に難しいものだが。まず、斜めに正面をとって横長に組んだ舞台にちょっと張り物を出しただけで明治から昭和までの舞台を見せるのは、伝記劇は実録が基盤だからリアリティに欠けすぎる。登場人物はほぼ五十年も劇中年をとるのに、金田一を始め時代と共に変わっていかない。奥さんは旅館の若女将みたいだし、反抗する息子はタウンボーイである。見た目だけでなく年をとれば人間変わる。そこの面白さも伝記劇のポイントである。
日本家屋の上下(カミシモ)の設定’(皆無意識に配慮するものである)で演技するのは常識だが、出入りを始めまるで配慮がない。
脚本が焦点を見失っていて、アイヌの言語の研究秘話なのか、金田一本人の伝記なのか、学者の家庭のホームドラマなのか、大きく構えて言語を巡る歴史もの社会劇なのか、締まりもなければデコボコもない。アイヌ語を始め、日本辺境言語の研究(これは面白い話題だった)の研究の進捗もよくわからない。各エピソードが団子刺しになってしまっている。
肝心のアイヌ語の代表的なユーカラを語るところは、あるに違いないと大いに期待していたのにほんの一節おざなりにあるだけだ。言語伝承の話だけにたとえ三分でも上手くやれば全編大いに締まるのにと残念に思った。
と、目をつむりたいところも少なくないが、井上ひさし亡き後、久し振りに正統な伝記劇を目指す若いグループが出てきたことは今後に期待しなければなるまい。目新しく効果があったのはマッピング風のサンドアートの映像。客席は半分足らず、の反応だった。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/11/03 (金)
圧巻でした。素晴らしいの一言です。3時間の舞台も長く感じませんでした。サンドアートも素晴らしかったです。言語学をやっている人にはぜひ見てもらいたいです。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/11/02 (木) 19:00
明治〜昭和の国語の歴史、アイヌ語研究の裏話が満載。日本で暮らすいろんな人間の使う言葉から我々のアイデンティティー形成の歴史を語った傑作。難しいことを話しているのに、笑いを交えて楽しく見ることができました。