六月大歌舞伎 公演情報 六月大歌舞伎」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★

    夜の部は、かなり残念な出来映え
    歌舞伎を見始めて半世紀以上経つので、同じ演目を何度も違う演じ手で観ているわけで、どうしても、先人や、名役者の場合と比較してしまう自分がいます。

    歌舞伎公演は、同じ時に、世話物、時代物、狂言、舞踊等、ありとあらゆる種類の演目の、これまた全く異質な役を演じなければならないのですから、同じ役者さんでも、その公演の役で、向き不向きや、任に合う合わないの差が出るのは致し方ないことだと思いますが、今月の公演は、昼の部も含め、そういったことを顕著に感じた舞台でした。

    それにしても、自宅の茶の間での懇親会さながらにずっと私語を取り交わしてるおばさん達、「必殺仕置き人」のように、睡眠薬入りの吹き矢で、眠らせて、黙らせたくなりました。
    後ろの席の外人の同時通訳は、まだ外国語だから、ましだったのですが…。

    ネタバレBOX

    「吹雪峠」…吹雪の中、足元も覚束無く、フラフラしながらの出が、孝太郎さんお見事な演技。孝太郎さんの愛欲に生きるおえん、おえんに翻弄され、兄貴分を裏切る助蔵の愛之助のコンビは、共に手堅く演じていて、秀逸。ですが、最後に登場する、染五郎の直吉の演技に工夫がなく、女房と弟分に裏切られた渡世人の悲哀が感じられず、私は、そんなことありえないけど、誰か無名役者が大抜擢でもされての初舞台かと目を疑いました。
    昔、また旅物の島田正吾さんの名演や、孝夫さんの渡世人の立ち姿の美しさ等、あまりにも、名役者の舞台が目に焼きついているので、もうベテランの域にある染五郎さんのこの出来には驚きを禁じえませんでした。
    昼の頼家はあんなに良かったのに…。

    「夏祭浪花鑑」…これも、両手に余る程の団七九郎兵衛を観ています。吉右衛門さんは、昔はそうではなかったと思うのですが、最近、どうも、段取り芝居になってしまっているようで気になります。一場、二場は良かったのですが、大詰めの殺しの場面の演技が、気持ちがなおざりにされた演技に感じて残念でした。久しぶりに演じられる義平次役者さんだっただけに、これは大変惜しいと思いました。釣船三婦の歌六さんが圧倒的な存在感で、舞台を引き締めました。仁左衛門さんの一寸徳兵衛は、登場するだけで舞台が華やぎ、嬉しくなります。

    「かさね」…こちらの染五郎さんはとてもいいです。彼の踊りは、所作が大雑把なので、美しく踊るタイプの舞踊より、こういう芝居舞踊の方が向いていると思います。むしろ、かつて観た与右衛門では、孝夫さんの次に好きかも。
    時蔵さんのかさねは、台詞や所作は巧いのですが、柄が、こういう儚げなタイプの女性役には不向きなので、損をされているなと感じます。
    でも、いつもは眠くなる「かさね」、今日は、じっくり堪能させて頂けました。

    幕間に、舞台上で、俳優協会の表彰式があり、芝かんさんが、賞の授与をされていたのですが、ご高齢なんだなと痛感し、大変心配になりました。
    父の友人の鈴木治彦さんは、相変わらずお元気そうで、安心しましたが…。
  • 満足度★★★★

    夜の部
    夜の部観ました。
    「吹雪峠(ふぶきとうげ)」は、とにかく短くてシンプル。でも、シンプルすぎるかな。。。染五郎さん、愛之助さん、孝太郎さんはグッドだけど、作品があまりにも簡素でちょっと不満。

    「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」は、逆に話が冗長で途中飽きてしまった。ただ、後半の吉右衛門さんと段四郎さんの演技は圧巻でした!

    「色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ)」は、やはり染五郎さんが良かった。

  • 満足度★★★★★

    諸々に感慨深い松嶋屋4代観劇
    現仁左衛門さんが、孝夫さん時代から、もう40年以上のファン歴なので、今月の歌舞伎を見逃すわけにはいかないと思っていました。

    先代の仁左衛門さんから、千之助君まで、4代の松嶋屋さんの至芸を拝見できた幸せは筆舌に尽し難い思いです。

    故あって、もう一度、今再び観ておきたいと思った「頼朝の死」と、仁左衛門さんが、孫の千之助君と連舞する「連獅子」、共に万感の想いで観劇しました。

    千之助君、子獅子の所作が、手順舞踊にならず、懸命に心を表現しようとする様が心打ちました。
    親子での「連獅子」は数々観ましたが、孫ととなると希少ではないでしょうか。

    代々伝わる芸の真髄を見せて頂き、大満足です。

    ネタバレBOX

    頼朝の死」…大好きな真山青果の名作舞台。真山美保さんに、殊の外可愛がって頂いたせいもあるのかもしれませんが、青果以上に、腹芸の名戯曲を書ける劇作家はいないと信じています。
    子供の頃に観た時は、政子は単なる脇役の一人にしか映らなかったのですが、今、人生の紆余曲折を経験してこの芝居を観ると、政子の言う「家は末代、人は一世」の台詞は、とても胸に響きます。
    また、頼家の「将軍とは、有るを有りとも知られぬ身か。」の台詞も、痛切に聞こえます。
    頼朝の死の秘密を知りたい頼家。お家の名誉のために言えない重保と政子。愛する人を救うために、その秘密を漏らそうとして、愛する重保の手で、命を取られる小周防。
    一つの秘密を巡って、皆が苦悩し、悲劇へと突き進む哀切さがたまらなく哀しく。愛おしくなる名舞台です。
    私の席からは、広元役の歌昇さんが、死角になり、全く見えなかったことだけは甚く残念でした。
    誰でも、秘密は持っているけれど、家族や愛する人のために、口が裂けても言えない秘密を持つ人は、本当に辛い!歌舞伎の世界の役者さんにも、家を守るために、如何に黙して語らずの秘め事が多いのでしょうから、こういう芝居を演じている染五郎さんや、愛之助さんの心中もお察しするものがありました。
    それにしても、愛之助さんの重保の容姿、台詞回し、過ぎ去りし、孝夫ファンには嬉しすぎる風情でした。

    「梶原平三誉石切」…はっきり言えば、全く面白くありません。播磨屋さんも、若い時分は口跡も良く、血縁の役者さんの中では、群を抜いて名優だと感じていたのですが、どうしたことか、台詞も、変な癖がついて、聞き取りにくいし、個人的にかなり落胆ものでした。
    途中から、鶴ヶ岡八幡に居並ぶ平家の若い武将達の、「どなたの血縁か当てゲーム」を、勝手に楽しんで、過ごしました。

    「連獅子」…何百回も観たこの演目。親子の獅子でもジンとしますが、祖父と孫の舞いは、感無量です。仁左衛門さんの千之助君を見守る表情だけで、ウルウルしました。
    千之助君が、振りをなぞるだけでなく、獅子として、舞台に健気に存在する様に、心から感銘を受けました。
    思えば、昔、お父様の孝太郎さんが、楽屋でミニカーで遊んでいて、お父上に叱られていたのは、今の千之助君ぐらいの時でしょうか?
    歌舞伎ファンは、こうして、代々の芸の継続を、目で観て応援できるので、やはり、他の演劇とは異質な面があるのだなと、痛感しました。
    できれば、千之助君のお子さんの初舞台も拝見したいものです。
    それから、今回、初めて、法華僧の日門と、浄土僧の専念の、宗派の違いから起こるいざこざシーンが、個人的にツボになりました。愛之助さんが、念仏を唱える時のおりんの棒を勢い余って、半分折れてすっ飛ばしてしまうハプニングもありましたが、何とか事なきを得てほっとしました。

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