六月大歌舞伎 公演情報 松竹「六月大歌舞伎」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    諸々に感慨深い松嶋屋4代観劇
    現仁左衛門さんが、孝夫さん時代から、もう40年以上のファン歴なので、今月の歌舞伎を見逃すわけにはいかないと思っていました。

    先代の仁左衛門さんから、千之助君まで、4代の松嶋屋さんの至芸を拝見できた幸せは筆舌に尽し難い思いです。

    故あって、もう一度、今再び観ておきたいと思った「頼朝の死」と、仁左衛門さんが、孫の千之助君と連舞する「連獅子」、共に万感の想いで観劇しました。

    千之助君、子獅子の所作が、手順舞踊にならず、懸命に心を表現しようとする様が心打ちました。
    親子での「連獅子」は数々観ましたが、孫ととなると希少ではないでしょうか。

    代々伝わる芸の真髄を見せて頂き、大満足です。

    ネタバレBOX

    頼朝の死」…大好きな真山青果の名作舞台。真山美保さんに、殊の外可愛がって頂いたせいもあるのかもしれませんが、青果以上に、腹芸の名戯曲を書ける劇作家はいないと信じています。
    子供の頃に観た時は、政子は単なる脇役の一人にしか映らなかったのですが、今、人生の紆余曲折を経験してこの芝居を観ると、政子の言う「家は末代、人は一世」の台詞は、とても胸に響きます。
    また、頼家の「将軍とは、有るを有りとも知られぬ身か。」の台詞も、痛切に聞こえます。
    頼朝の死の秘密を知りたい頼家。お家の名誉のために言えない重保と政子。愛する人を救うために、その秘密を漏らそうとして、愛する重保の手で、命を取られる小周防。
    一つの秘密を巡って、皆が苦悩し、悲劇へと突き進む哀切さがたまらなく哀しく。愛おしくなる名舞台です。
    私の席からは、広元役の歌昇さんが、死角になり、全く見えなかったことだけは甚く残念でした。
    誰でも、秘密は持っているけれど、家族や愛する人のために、口が裂けても言えない秘密を持つ人は、本当に辛い!歌舞伎の世界の役者さんにも、家を守るために、如何に黙して語らずの秘め事が多いのでしょうから、こういう芝居を演じている染五郎さんや、愛之助さんの心中もお察しするものがありました。
    それにしても、愛之助さんの重保の容姿、台詞回し、過ぎ去りし、孝夫ファンには嬉しすぎる風情でした。

    「梶原平三誉石切」…はっきり言えば、全く面白くありません。播磨屋さんも、若い時分は口跡も良く、血縁の役者さんの中では、群を抜いて名優だと感じていたのですが、どうしたことか、台詞も、変な癖がついて、聞き取りにくいし、個人的にかなり落胆ものでした。
    途中から、鶴ヶ岡八幡に居並ぶ平家の若い武将達の、「どなたの血縁か当てゲーム」を、勝手に楽しんで、過ごしました。

    「連獅子」…何百回も観たこの演目。親子の獅子でもジンとしますが、祖父と孫の舞いは、感無量です。仁左衛門さんの千之助君を見守る表情だけで、ウルウルしました。
    千之助君が、振りをなぞるだけでなく、獅子として、舞台に健気に存在する様に、心から感銘を受けました。
    思えば、昔、お父様の孝太郎さんが、楽屋でミニカーで遊んでいて、お父上に叱られていたのは、今の千之助君ぐらいの時でしょうか?
    歌舞伎ファンは、こうして、代々の芸の継続を、目で観て応援できるので、やはり、他の演劇とは異質な面があるのだなと、痛感しました。
    できれば、千之助君のお子さんの初舞台も拝見したいものです。
    それから、今回、初めて、法華僧の日門と、浄土僧の専念の、宗派の違いから起こるいざこざシーンが、個人的にツボになりました。愛之助さんが、念仏を唱える時のおりんの棒を勢い余って、半分折れてすっ飛ばしてしまうハプニングもありましたが、何とか事なきを得てほっとしました。

    2

    2011/06/13 23:22

    0

    0

  • きゃる様

    父が劇評家だったお陰で、我が家には、歌舞伎役者さんの写真集がたくさんあるのですが、その写真集の若かった孝夫さんと今の愛之助さんが大変面差しが似ていて、いつも、愛之助さんの舞台を拝見する度、孝玉コンビの名舞台を記憶の中で、ブレンドして、往時を偲んで楽しんでいます。(笑い)

    染五郎さんは、青果芝居には、とても似合う役者さんで、今後は、染五郎さんと愛之助さんが、青果芝居を極める役者さんになって頂けたらなあと、今後の歌舞伎公演を楽しみにしているところです。

    お父様とお兄様が東宝歌舞伎で、好き勝手な演目を上演できていた時分、播磨屋さんだけは、伝統歌舞伎をしっかり体得されていた筈でしたが、どうも、最近は、お兄様の影響を受けてしまっているのかなと、やや残念な気がしています。

    2011/06/27 13:25

    KAE様

    なかなか意味深なご感想も入っていて、興味深く拝読させていただきました。

    私も青果ものはすごく好きで、「頼朝の死」はいつ観ても、よくできたお芝居だなぁと感心します。歌舞伎以外では(といっても歌舞伎のお家ですが)萬屋錦之介の頼家、中村賀津雄の畠山重保に、時蔵の小周防の座組みも印象に残っています。

    錦之介さんは真山青果作品が好きで、彼を可愛がった巨匠・伊藤大輔監督作品と共通するものがありましたね。

    最近、若い演劇人の中に、真山青果に興味を持っている人たちがいることを知り、嬉しく思っていたところです。

    愛之助さんの重保は、なるほど見ものだったことでしょう。私も機会があれば観てみたいです。


    松嶋屋さんは、4代になるんですねぇ。確かに例がないでしょうねえ。
    亡くなった母が関西歌舞伎時代、先々代仁左衛門さん(我童さんの追贈を数えると)に可愛がっていただいていて、松嶋屋三兄弟の子供時代をよく知っており、「そういう人は珍しいよね」と言うと、「長く生きてるからよ」と言われたけど、なるほど、我々もそういう年齢になりましたね(笑)。
    良い跡取りに恵まれて幸せなお家ですね。KAEさんのお家もですが(笑)。

    私はいまだに前名のほうが親しみがあり、前名で呼んでしまいます。母がそうで、いつも注意していたけど、いまは自分がそうなって(笑)。

    愛之助という名前も私は老け役が得意だった先代のほうを思い出すし、仁左衛門さんは孝夫と言ってしまいます。

    吉右衛門さんの「石切り梶原」はなんとなく目に浮かぶ(笑)。そうですか、難がありますか。














    2011/06/27 04:54

このページのQRコードです。

拡大