冬に舞う蚊 公演情報 冬に舞う蚊」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
41-49件 / 49件中
  • 新聞の社会面の記事を
    ドキュメントできっちりと見せられたような内容だった。物語そのものは、どこかで実際にありそうな、あるいはあると言われているのを聞いたことがあるようなというものであり、展開も想像の範囲を超えてはいない。この作品ではそれらの状況をどこまで描けるかとか、その中の人間をどこまで掘り下げられるかに重きがあるのだろう。個人的には、哀しいかな、どの人物の中にも自分がいるような気がして気が重かった。遠からず崩壊の道を辿るであろう会社と、亡くなった社員の妻が訴訟に勝利しそうなことを予想させる展開が多少の希望(?)を感じさせる一方で、その妻の自責の念が永遠の泥沼に向かってしまいそうで、また気が重かった。しっかりとそんな気分にさせてくれ、考えさせてくれるということは、とてもよくできたいい芝居なのだと思う。

    ネタバレBOX

    演劇的表現だとはわかっていても、オフィスの人がみんな大きな箱に座っているのを意識すると、なんだかおかしくて……。西田課長代理にも、その役をやった大塚秀記さんにも、健康のために少し体重を減らしてくださいと言いたくなった(ただし、自分のことは棚にあげて)。どうぞご自愛ください。
  • 満足度★★★★

    世知辛い
    きっちり見せてくれる大人の芝居。
    登場人物がみな加害者であり被害者でもある描き方は好きだ。
    弱者は社会に潰される蚊ということか。あぁ、人生…。

    ネタバレBOX

    主人公が幼さ過ぎるんじゃなかろうか?堅い枝ほど折れやすいとはいうものの。
    ラストシーンの蒻崎さんはいいね。
  • 満足度★★★★

    丁寧な演出
    社会人なら誰しも直面するであろう歪んだ価値観、そして必ずしも誠実な世界でない現実を丁寧に演出されています。
    張り詰めた職場の空気を役者全員が作り出す緻密な演技で生まれる緊張感が本当に素晴らしい。
    前作もとてもいい作品でしたが、本作も期待を裏切らないいい作品でした。

  • 満足度★★★★

    2011初芝居~
    目の前で行われたのは、息詰まる日常の連続。そこに激しく共感する自分がいる。所々に見られる笑えるシーンもどこか乾いてる。ただただ表現される、どこにでもある日常が、どうしてこんなに息苦しいのか。まさに昨今を象徴するような作品、新しい年を迎え浮かれた世間が迫る、根拠のない希望じゃごまかされない閉塞感。現実がここにある。

    ネタバレBOX

    秋葉原の無差別殺人やワーキングプアやホームレスのニュースを見てもいつも思うのは、明日にも自分にも起こりうる現実だなぁと感じることだ。過労で首を吊った主人公の自殺の原因を巡り、現在と過去が混ざり物語は進むが、悪いのは、上司でも同僚でも家族でもないのだ。もちろん主人公自身も悪くない。では何が悪い、何が息苦しいのか…。観劇後に、僕は何かのドレイになりたくないな、もっと楽しい演劇を、そして共感して心震わす余裕のある、人間らしい当たり前の日常を生きていたい。そう思わせる良作。

  • 満足度★★★★★

    初日から満席でした
    初日から、キャンセル待ちの方がいる、人気ぶりでした。
    現実から、目をそらさず、真摯に取り組み、骨太の重厚感を感じた、意味と価値のある作品でした。実力のある役者さんばかりで、見応えありました。

    ネタバレBOX

    サラリーマン社会を舞台に、しているが、バイトや専業主婦でも、人と関わらずには生きてはいけない社会の中、見たくない聞きたくない現実を、どう対処するかが大事だと思えました。

    派遣社員に不正の証拠を見せてしまう事さえ、当たり前になってしまってる社風の中、真っ直ぐな主人公の行動に、もう少し方法を考えて行動すべきでは?と思いつつ、戦う姿勢の大事さや、逃げ道の大切さも、考えさせられました。

    それぞれの立場によっての正義や本音も違い、味方のようで実は裏切ってたり、力になりたくても現実が邪魔したりと、痛い部分もあるが、まだ良心が残ってる人がいたのが、救いでした。

    主人公が選んだ道は、悲しいものですが、諦めなければ開ける道もあるはず、手遅れになる前に、やれることも必ずあると、信じたいと思える作品で、観劇始めは、これにして良かったです。
    現実しっかり見ないと、夢も見れないもんne~♪と思えました。

    そして何よりも、こんな現実を、題材に選んだ姿勢に、賞賛を贈りたいと思いました。
  • 満足度★★★★★

    グッときました。
    濃密な内容で観ている方をグッと引き付ける芝居だった!また役者がみんな上手い。脚本演出ともとても評価できる。コメディーしか解からないぼくですが、凄く感情が入りました。観て良かったです。

  • 満足度★★★★★

    初日から完成度が高い!
    今は数少なくなった社会派の劇団。今回は特に世相を切り取った問題作。一歩間違えると暗くて辛くてという風になりがちなところを、役者の確かな演技でしっかりと見せる。

    本格派の本物志向の演劇フアンにはオススメ。
    サラリーマンは涙なしには見られない。実は今、この舞台にとりあげられたような出来事があちこちで起きている。その世相の切り取り方もお見事。

  • 満足度★★★★

    濃厚でした。
    建設会社の不正を看過できない正義感ある社員と、その他の社員たちとの確執が描かれた、重苦しい雰囲気の作品でした。時間軸を前後に行き来する構成も分かりやすく、内容は重いながらも安心して観られる作りになっていたと思います。

    悪いことだと分かっていてもそれを続けざるを得ない上司や、依頼人のことより自分のことを優先しているようにも見える弁護士など、善悪がはっきりしているキャラを描いていないところがリアルで共感できました。

    テーマは好みで脚本もしっかりしていましたが、物語としてはありがちなものに感じました。もう少し意外性を出して欲しかったです。終盤の展開が畳み掛け過ぎで戯画的に見えて、それまでのじっくりと醸し出されていた緊迫感が薄れてしまったのが残念でした。

    演出としてはオーソドックスで伝えたいことががはっきり伝わっていたと思います。ただ、映画や小説では表現出来ない、生の舞台表現だからこそ表現できるものをもっと打ち出して欲しかったです。

    役者は多少演技がオーバーに感じる箇所もありましたが、初日であることを感じさせない安定感で素晴らしかったです。課長代理役の大塚さん
    と、弁護士役の今里さんの演技が特に印象に残りました。

    あまり新年早々にふさわしい雰囲気ではありませんでしたが、濃厚な空気感を堪能して楽しめました。

    ちなみに、この作品内で行われている不正を「談合」と呼んでいましたが、正確には「癒着」じゃないのかなと気になりました。

  • 満足度★★★

    濃密な舞台ではありましたが…
    もう一声、この作品ならではの独自性がほしかったように思います。
    冒頭すぐに結末がわかっているのに、最後まで観て、観客の立場としての意外性に欠けていました。

    役者さんは、皆さん、達者で、大熱演!!
    良いお仕事をされているばかりで、観ていて不快に思うような部分はないのですが、少し、細部に拘りがもう少しあってほしい気がしました。

    ネタバレBOX

    建築会社の不正と、そこに働く社員の悲哀を描いた作品ですが、全て、どこかで聞いたような内容で、この芝居ならではの、独自性がなかったのが、とても残念でした。

    観客として、芝居の進行に連れて、新たに判明する事実がないのが、もうひとつ舞台にのめり込めない原因だったように思います。

    脚本構成はなかなかお上手なので、もう一声、この作者ならではの工夫が観たかったと思います。

    女子社員の服装が毎度同じなのも気になりました。三橋さんは、日が替わっても、着たきりすずめ。野村さんは、最後だけ上着を着ていましたが、これは、セクハラよけの対策とも取れますし…。

    また、主人公の富島が、不正に加担しないと決めて、退社する時に、ホワイトボードに書いた文字が、私の席からは読めず、後で、その文字を見た登場人物が動揺したり、憤慨したりする度、何て書いてあるの??と気になりました。ひとりぐらい、悔しがるついでに、暗誦してほしかったと思います。

    最後の場面、妻が夫の苦悩を知らずにいたことを後悔し、「ごめんね」と言うところで、終幕となるのも、予想がつき、やや肩透かしを食いました。

    志賀が、事実の告白をして、それを裁判でも述べると約束するのも、やや安易な展開に思います。
    告白すると約束しても、そうはしないのではと、観客に感じさせるラストの方が、真実味がありそうに思ってしまいました。
    現実社会って、そんなに甘くありませんから…。

このページのQRコードです。

拡大