覗絡繰 公演情報 覗絡繰」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★★

    語る力
    物語や階層を渡る語り口に手練があって
    立ち止まることなく物語に惹かれることができました。

    ちょっと驚くほどに
    刹那の密度を作る力を感じました。

    ネタバレBOX

    2つの物語を3つの階層で語っていく体なのですが
    奥に入り込めば入り込むほど
    しっかりと空気感が作られていて・・・。

    単純に場面が並べられているというのとは違った
    観る側を世界の深さに落とし込んでいくような力が
    舞台にありました。

    なんだろ、
    物語の刹那にすっと観る側の息をとどめるような力があって・・・。
    語られる時間が漫然と流れるのではなく
    要所要所に絵面が作られている感じ・・。

    物語に閉じ込められる閉塞感が
    観る側に押し付けられるのではなく
    なにか物語の流れに逆らわずに
    そこまでついて来てしまったような感覚があって。

    特に覗絡繰の終盤の絵面には
    綺麗と言うのとは少し違う
    引き込まれるような魅力があって
    その色に柔らかい恐ろしさを感じるほど。

    それぞれのシーンにステレオタイプではない
    このお芝居だから感じられるような
    色があることに瞠目しました。

    強いていえば、一番外側の世界の描き方が
    物語たちを支えるにはすこし脆弱な感じがして・・。
    そこが作りこまれれば
    冒頭と最後の語り口も
    もっと際立って見えるのではなどと・・・。
    そこがちょっと惜しい気もしたことでした。

    ☆☆★◎△△○○
  • 満足度★★★★

    「声きも」らしさが出た作品

    長くログ・インエラーが続き、すぐに感想を書きこめませんでした。あしからず。
    前回の「百年時計」よりも「声きも」の特徴がよく出ていて楽しめた。
    わずか4人の登場人物なのに、熱量が凄い。
    山本タカさんには今後も期待できそうだ。
    詳しくはネタバレで。

    スタッフの話ではチケプレ応募も盛況だったとのことだが、その割に「観たい!」「観てきた!」の登録が少ないのはどうしたことだろう。せめて当選した人は登録してくれてもよいのではないだろうか。

    ネタバレBOX

    弟役の後藤祐哉の語りの力が素晴らしかった。浅草の街の光景や部屋の饐えたにおいが眼前に現れてくるようでコント集団「神と仏」のときとは別人のよう。
    兄役の石綿大夢、父親と芋虫の川名幸宏、弟の彼女役の加藤みさきらが繰り広げる官能的で大胆な演技に感心させられた。
    学生とはいえ、このメンバーはいくつかの難しい芝居に挑戦してきているので、安定感がある。
    押絵とノートパソコンが一体化するなど、乱歩の世界を現代人にもわかりやすく伝えたのはお手柄。
    乱歩の文学的本質に迫っている点も興味深い。
    トマトを眼球に見立てて潰すなど、この劇団の演出家らしい表現だと思った。
  • 満足度★★★★

    「芋虫」をマクラに「押絵と旅する男」を語る
    イイ歳をして引き篭もっている兄をなんとか外界に引き出そうとした主人公は兄にノートPCを与えネットサーフィンを教える。そんななかから兄がハマったのは江戸川乱歩の世界で…という物語。

    その兄が語る「芋虫」が前段となり、それをマクラに後段で「押絵と旅する男」を語るという構成で、その押絵の図柄が「芋虫」の内容であったり、終盤で兄のノートPCがあたかも押絵であるかのように思わせたりするのが上手い。

    さらに古びた日本家屋を表現した装置や、襖戸の内と外を瞬時に逆転させて見せる手法(部屋の外から襖に向かって呼びかけて襖を開けて入った途端に部屋の中の様子になる)も見事。

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