満足度★★★★
「芋虫」をマクラに「押絵と旅する男」を語る
イイ歳をして引き篭もっている兄をなんとか外界に引き出そうとした主人公は兄にノートPCを与えネットサーフィンを教える。そんななかから兄がハマったのは江戸川乱歩の世界で…という物語。
その兄が語る「芋虫」が前段となり、それをマクラに後段で「押絵と旅する男」を語るという構成で、その押絵の図柄が「芋虫」の内容であったり、終盤で兄のノートPCがあたかも押絵であるかのように思わせたりするのが上手い。
さらに古びた日本家屋を表現した装置や、襖戸の内と外を瞬時に逆転させて見せる手法(部屋の外から襖に向かって呼びかけて襖を開けて入った途端に部屋の中の様子になる)も見事。