ジゼル・ヴィエンヌ『こうしておまえは消え去る』 公演情報 ジゼル・ヴィエンヌ『こうしておまえは消え去る』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-7件 / 7件中
  • 満足度★★★★

    日本では中々出会えないと思う。
    男と女と暴力と殺人、そして森と霧。日本人の感覚だと中々産み出せない作品だと思う。

    まず、装置に度胆を抜かれる。

    あれ、

    にしすがも創造舎に森が出現してました。

    どこから持ってきたの!?ってゆー大木がにょっきり、にょき生え。踏みしめた落ち葉の音すら超リアル。

    それらを覆い隠すように時折、出現する霧。

    半端ない霧。

    音楽がまたカッコいい。

    森を怖いと感じるアノ感覚を、廃校の体育館で再現しちゃったのがトテツモナイ。

    日常の中から非日常へ踏み込んでしまって「不味いぞ」と分かっているのに引き返せない、不安なんだか、通り越して気持ち良くなっちゃってんだかってゆーアノ感覚が鮮やかに甦らされる。

    そして俳優の存在。
    台詞を発さなくとも雄弁に語られる身体を通して、舞台の森を更に身近に感じる。


    東京の都会ど真ん中の室内で森を体感する不思議な舞台でした。

    視覚と聴覚を完全に支配される、それは美しい舞台でした。

  • 満足度★★★★

    そうして消えるのか
    慌てて千秋楽に間に合った。
    演劇というよりインスタレーションのようにも感じるモノで
    終演後にはフクロウにも触れることが出来て幸せだった。

    ネタバレBOX

    いくつかの人としてのカタチ
    未来を臭わせたかと思うと終焉を感じさせたりと断片的に見せる
    断片的に感じるのは生き物のように時にまとわりつき
    猛々しく全てを覆い隠したかと思うと静かに引いていく霧による効果だ
    潮の満ち引きのように繰り返す霧の生き物のような動きに
    次第、日常は遠ざかり目の前の暗い森に目を懲らし集中する自分

    こうして消え去る・・・・
    肉体という思考のある生き物としての塊が土に帰す以外にも
    常軌から切り離される人としての感覚、
    浮遊する自我を体感したような面白い体験だった
  • 満足度★★★★

    精緻な宗教画を鑑賞しているようでした
    舞台の造形があまりに美しく完璧で、かつ人の心象風景を描いているから、観ているといつのまにか舞台上に心が吸い込まれていくような不思議な感覚を覚えました。

  • 満足度★★★★

    テーマパークのアトラクション
    迫りくる霧が樹海に、水底に、人の心の奥底につれていってくれました。エロティックでホラーな空気は大人向け。

  • 満足度★★★★

    圧倒的な美
    人間、人形、動物、美術、音、光、霧、それぞれの要素が拮抗して、緊張感のある美しさが表現されていました。芝居やダンスを期待していた人には拍子抜けなのかもしれませんが、舞台は総合芸術であることを強烈に感じさせる作品でした。
    生き物のように動き舞台を覆い尽くす霧や、まるで自然光のように滑らかに変化する照明の「演技」が素晴らしかったです。
    非常にリアルな表現なのに、逆に現実離れして見えるという不思議な印象を受けました。

    音楽に関しても、激しいノイズから微かなアンビエントまで、先鋭的で刺激的でした。当日パンフを見ると音楽のスティーヴン・オマリーさん、ピーター・レーバーグさんの他にも、協力者として秋田昌美(メルツバウ)さんや、ツジコノリコさんやジム・オルークさんの名が。アヴァンギャルド音楽好きな人は必見だと思います。

  • 満足度★★★★

    他で観れる可能性はなかなかないと思う
    F/Tはすごい!
    F/Tでしか観られない喜びをまさに味わった。

    これと同じものを他で観れる可能性はなかなかナイと思う。

    演劇の中でもかなりアートの域に近い作品。

    ネタバレBOX

    2列目で観劇。細部までよく見え隅々まで確認…
    ハイパーリアルな霧深い森が本当に広がっていた。

    山で突然霧が立ちこめたときのように辺り一面真っ白になることも。
    しかも霧が立ちこめると肌にしっとりきたので本物のミストだと思う。
    エステのミストサウナみたいに吸い付いてくる感じがある。

    台詞はかなり少ない。
    天井に近いかなり上部スクリーンに日本語訳がでるので
    2列目はこの点ではかなり辛かった。

    そして静かに静かに進む。

    体操選手の完璧な美のくだりは少し????
    本物の世界中の体操選手をかなりの数見たことがあるので、
    ちょっとここだけはリアルさが個人的に感じなかった。
    (この女優さんが元体操選手なのかもしれないけれど…)
    少し太いかな…。迫力あるけど美しさは感じられず。

    リアルといえば、森には本物の鷹(ハリス・フォーク)と
    梟(オオフクロウ)が飛び、リアルに鳴く…名演技。
    日本人の鷹匠が操っていた。

    ジゼル・ヴィエンヌの人工身体としての人形は出番が少し。
    これをもっと見たかった。




  • 満足度★★★★

    良質のミュージックPVを観た感じとでも言うか
    F/Tの海外勢には前回もとても刺激を受けた(日本勢も凄かったけど)。
    今回も刺激的。
    音(音楽)とビジュアルの融合が気持ちいい。
    トリップしちゃうよ(笑)。



    (これからご覧になる方へ>字幕の数はそれほど多くないですが、舞台の一番上の黒いところに出ます。また、どんなものにせよスモークが嫌いな方は一番前(あるいは前方)の席はお勧めしません)

    ネタバレBOX

    舞台には、なんだか本格的な森が鎮座していた。うっすらとスモーク感もある。
    そして、開幕と同時に大量のスモーク、さらに轟音(音量は小さいがイメージとしての轟音)。
    ん? これって、まるで SUN O))) じゃないか、と思ったら、とたんに楽しめそうな気がしてきた。

    本来は緊迫した空気の中で進行する物語なのだが、音楽のライブのような感覚で楽しめた。
    後半の女性の歌もとてもいい。それは舞台の上のビジュアルとセットとして、いいのだ。

    結果、長いミュージックPVを観た、という印象。どこのどの場面を切り取っても「画」になる作り込みがされていた。
    このまま映像で観ても十分楽しめるのではないかと思う。

    もちろん、ライブ感は「肉体」があることと、台詞との関係による緊縛感が醸し出されているところにあり(沈黙も)、そこはヒリヒリしながら楽しんだと言ってもいい。

    冒頭の体操女子のシークエンスは、一瞬「?」と思ったのだが、見ていると、これってもっともっと同じパターンを繰り返してもいいんじゃないかと、思ってくる。轟音には、うんざりするほどのリピートがお似合いではないかと思ったのだ。
    それによって、さらに絶望感が高まったのではないだろうか。

    もっとも「絶望感」というには、あまりにもカジュアルな印象で現代的であり、逆に根源的でもあろう。それが「死」に結びつくという図式は短絡的ではあるが、「そんなものかな」というようなドライな感覚で受け止めてもいいのではないかと思ったのだ。

    そして、森(で)は求めるものを返してくれるし、隠してくれる。

    ラストの猛禽類の演技には驚いた。

    大量のスモークは、前に座る観客もきれいなシルエットになっていて、ライティングの妙技とも言え、美しいものだった。
    スモークは、薬品系ではなかったようなので安心した(水蒸気のものか?)。
    これだけ大量のスモークが、あのイヤな匂いのするヤツだったら、確実に外に出ていた。
    ……夏だったら、涼しげでなお良かったかも(笑)。

    で、帰宅して、当パンを見て驚いたのだが、音楽には SUN O))) のスティーブン・オマリー氏がかかわっていたのだ。な~るほど、と言うか、な~んだ(笑)。
    しかも、ジム・オルーク氏やメルツバウの秋田昌美氏も関係したとなると、音楽的な気持ち良さは当然とも言えた。
    そして、それらプラス、音響効果なのか、実際の外の音なのかが判然としないところが、また素敵なのだ。

    「ライブ演奏」のクレジットにも、スティーブン・オマリー(!!)の名前があるのだが、最後に出て来てもよかったんじゃないかな。

    ちなみにyoutubeにあったSUN O)))のライブ映像。まさにネタバレか?
    http://www.youtube.com/watch?v=VSoal5Zegpo&feature=relatedv=VSoal5Zegpo&feature=related

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