聖なる炎 公演情報 聖なる炎」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
1-6件 / 6件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    新劇団縦断でキャストされた俳優座プロデュース作品。
    この劇場シリーズ、このところ、昔々のフーダニット・ミステリをよく上演する。これもサマセット・モームのほぼ、百年前!!(1928年)の戯曲で、ちょうどのフーダニットが流行し始めた頃の影響か、フーダニット(犯人捜し)である。
    一部屋のセットに登場人物7/8人というのは二十世紀中盤までの西欧現代劇の設定の標準で、このシリーズがよくフーダニットを上演するのは地方公演の効率を考えてのことだろう。第一幕は登場人物の紹介で、二幕冒頭で事件が起き、登場人物が集まったところで関係者第三者にみえる看護婦(あんどうさくら)の、これは殺人事件だ、という告発。第三幕では、名探偵は出てこないし、さしたるどんでん返しもないがが、登場人物の隠れた秘密が少しずつ明らかになるサスペンスの中で、犯人は絞られていき犯人と同期が犯人と動機が明らかになる。フォーマットとしてはフーダニットミステリなのだ。
    俳優座劇場は一世代前の現代劇上演を想定して作られていて、このごく普通の邸宅の一杯飾りのセットがよく似合うし、プロセニアムの舞台も落ち着く(美術)土岐研一)。百年前、第一次世界大戦後、、飛行機事故で半身不随人飛行機事故で半身不随となってしまった一家の長男モーリス(田中孝宗)。献身的な妻(大井川皐月)や、母(小野洋子)独身の弟(鹿野宗健)近隣にすむのインド在留当時からの古くからの友人(吉見一豊)に囲まれ看護婦(あんどうさくら)付きで、て平穏に暮らしている。
    その一幕が開けて、暗転で二幕、冒頭、昨晩何事もなく部屋に引き取った長男が急死したことが判明する。
    ここからはフーダニットで、物語は、一家には部外者の雇われ看護婦と昔からの近隣の友人の目から一家の秘密が解かれていく。 看護婦が、昨晩のうちに致死量の睡眠紛失紛失していた事実を公職の責務として公にすると宣言する。もう一つ、ここに、公とこの事情という貸せも現れる。
    紛糾したところで幕が下りて休憩。第三幕は、謎解きだが、フーダニット劇の捜しよりも捜しよりも人間関係の謎が追求されるが、結局明らかになる真犯人は意外にも・・・。

    この作品は確か劇団民芸の初演だったと思うが、(1975年宇野重吉・演出、その後は78年、俳優座プロデュース、末木利文・演出)で。それからだって五十年。古めかしさは否めないが、人間関係でみると、今なお通じる男女の物語でもある。
    俳優は各劇団から出ていて、あまり知らない方も多い。妻役の大井川皐月はもっと派手な出の方が生きると思うし、母親役は(小野洋子)は二幕までにどこかで毅然としたところを見せていないとなじめない。一幕しか出ない殺される寝たきりの主人公は、ベッドが横向きで顔が見えないのは一工夫あるべきところだろう。各劇団寄せ集めのキャスティングだから仕方が無いとは思うが、皆真面目にやっている割にはドラマが盛り上がらない。全体にフーだニットよりも現代劇として見せようとしていて、そこが今とずれて、合わなくなっている。15分の休憩を挟んで2時間25分。


    ネタバレBOX

    結論がここがフーダニットのような追求の結果というのではなくて、事態の収拾を図った真犯人が現実を生きるものが八方丸く収まるという現実的な選択がベストで、そういう判断の下ですべての人間は暮らしているのだ、というアイロニカルな結論で幕が下りる。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    (^^♪オレがむかしサマセットだったころ父さんはモーニングセットで母さんはゲームセットだった。
    などと昭和のギャグの真似を作ってしまった。
    というのはまるで自分がサマセット・モームの生まれ変わりではないかと思うくらい先が読めたからである。もちろん転生したはずはなくこういう古典は部分部分がいろいろなドラマなどで借用されてお馴染みになっているからである。そういう事情を差し引いても満足度は普通だなあ。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ワーグナーの「トリスタン・・・」を聴いた後でプロポーズをするなんて頭おかしいんじゃないか・・・なんて思いながら観ていたが、モームがわざわざ「トリスタン」を台本の中にもってきたのはああいうほのめかしだったわけか。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    大井川皐月さんの舞台を観るのは多分7作目。男勝りの強気キャラが多かったが、今回は美貌のヒロイン、ステラ役。まさにこういうのが観たかった。まだ幾通りにも方法論はあるであろうこのキャラ。この役は月船さららさんなんかにも演って貰いたい。新婚一年後に旦那が墜落事故に遭ってしまった新妻、ドラマの要。
    事故で下半身不随になった屋敷の長男、モーリス役は三浦春馬っぽい田中孝宗氏。寝たきりだが明るい好青年。
    主治医のハーヴェスター医師役は加藤義宗さん、コミカルで吉村崇っぽい。
    住み込みの看護婦、ウェイランド役はあんどうさくらさん。凄く独特な存在感を発し続けている。
    モーリスの母で屋敷の主、タブレット夫人役は小野洋子さん、岡田茉莉子のような気品。
    一家がインドに赴任中、現地で検察官に就いていたリコンダ少佐役は吉見一豊氏。加藤武演ずる等々力警部を思わせるムードメイカー。タブレット夫人との古く長い付き合いを感じさせる。
    モーリスの弟、コリン役鹿野宗健氏はハンサムでスマートな中西学。グアテマラでコーヒー農場を経営。

    アガサ・クリスティのミス・マープルものっぽいミステリー。サマセット・モームの1928年に発表された古典なので、実に解り易く面白い。人間の表面と内面の乖離。明るい笑顔に包まれた屋敷、裏に回れば誰もが嘘をつき、疑心暗鬼を抱え、自分を卑下し絶望する。誰もが誰かをじっと疑っているような人間ドラマ。凄く上品な空間が心地良い。
    是非観て頂きたい。

    ネタバレBOX

    第一幕のMVPはあんどうさくらさん。荒井晃恵さんにも似た存在感。長男の心不全による急死の真相が、彼女の烈火の如き怒りで正体を露わにしていく展開。

    第二幕は小野洋子さんの滔々たる語りが全てを持って行く。

    殆ど登場しないメイドのアリス役増田あかねさんが何か関係してくるな、と睨んだが何もなかった。

    音楽の入れ方や選曲がダサい。(この伝統的な方法論に意味があるのかも知れないが)。

    今朝長男が亡くなっている状況にも関わらず、妻は義弟との不貞で妊娠をカミングアウト、弟は一緒にグアテマラに行こう、看護婦は彼をプラトニックに愛していた、母親は全部知っていました・・・、もう少し彼の死を悼んでくれ。何か喜劇っぽくもあるシチュエーション。オチで「実は死んでいませんでした」とモーリスが出て来るのではないかとさえ危ぶんだ。

    タイトルの『聖なる炎』の意味は性欲のことではないか。肉欲は醜くプラトニックな精神的な愛こそ崇高とされているが、それに異を唱えたのでは。同性愛者だったサマセット・モームにとって、1895年に投獄されたオスカー・ワイルド事件の衝撃は大きかった。英国の性犯罪法では1967年まで同性愛は犯罪行為。モームは英国を離れ世界各国を旅する生活にうつる。1965年に亡くなったモームは極めて慎重に同性愛者であることを隠し続けた。
    タブレット夫人の独白はモームの本音だったのでは。決して世間的には許されない同性愛、けれど自分にはどうしようもない熱情。例え間違っているとされても、確実に自分の胸に灯っている炎。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    真相を探るミステリー仕立ての吸引力とともに、人間の心のさまざまな奥底をのぞき見させる。まずは戯曲がピカイチ。俳優陣も素晴らしい。特に女優陣のそれぞれの役柄を現出させる演技が見応えあった。2時間35分、とくに長男が謎の死を遂げてからの2時間は目が離せない緊迫した舞台だった。

    健康な若い妻が、夫が不能に陥った後の性欲がどういうものか。罪だとわかっていても不倫に落ちる欲望と人間の倫理の関係は、川と堤防の関係に似ている。家庭のために燃える恋を諦めざるを得なかったつらさ。どんなに献身しても報われない愛、嫉妬。人間にはさまざまな心があり、相手によって人物が変わる。夫人を中心に、人間心理の真理に触れたセリフの数々が胸に響いた。

  • 実演鑑賞

    上演時間は、約2時間35分(途中休憩含)。

     適材適所のキャスティングの妙があり、
    理性や論理だけでは割り切れない人間の本質の部分を
    鋭く突くと同時にサスペンス劇というか推理劇的な要素も
    織り交ぜ観る者の興味をぐっと惹き付ける
    巧みな物語展開が冴える会話劇。

この公演に関するtwitter

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  1. 俳優座劇場プロデュース公演 『聖なる炎』終演致しました。 観に来て下さった皆様、キャスト・スタッフのみなさん、全ての人に感謝。本当にありがとうございました。 全員初めましてとは思えないほど みんな積極性を持って取り組む活気ある現… https://t.co/J0prJld5YR

    1年以上前

  2. 2月の「ベスト・ファイヴ」 1. 新国立研『ブルーストッキングの女たち』 2. 彩の国『ジョン王』 3. シス『ケンジトシ』 4. 劇団協『血は立ったまま眠っている』 5. 椿組『まっくらやみ、女の筑豊』 これに、俳優座『対話… https://t.co/fnDcku1BMg

    1年以上前

  3. 2023.3.4俳優座劇場 聖なる炎 2回目🔥 結末を知った上で、原作も読んだ上で観る今日は、前回とは違った景色が見える気がします☺️ https://t.co/l2h3Dj17Wj

    1年以上前

  4. 俳優座プロデュース公演『聖なる炎』、本日千穐楽です!!! ラストワンステ。 大事に挑みたいと思います💪✨ https://t.co/BNcDLiidni

    1年以上前

  5. あかねさん😭ありがとうございます!! 増田あかねさんご出演中の俳優座劇場プロデュース公演『聖なる炎』は明日まで! https://t.co/7wIV1b5zWK

    1年以上前

  6. 宗健が出ている舞台『聖なる炎』を観てきた‼︎ 最後までどっちに転ぶか分からない展開好きだ☺︎ そしてセットが美しい 明日まで俳優座劇場で上演してます‼️ https://t.co/NHhn01ze1E

    1年以上前

  7. 東京演劇道場『わが町』と俳優座劇場『聖なる炎』を続けて観た。この二作を知った当時は、ワイルダーもモームも同性愛者だとは知らなかった。改めて見直すと、一見若い男女の恋愛が中心のようで、実は決して報われない愛情を抱き続ける女性や、共同体から弾き出された男性の比重が大きいと気付いた。

    1年以上前

  8. 本日22時半よりTwitterスペースで開催。舞踊評論家の森菜穂美さん(@ladolcevita416)、元読売文化部記者の澤野未来さん(@mikuswn)と。   ほかに宝塚花新公、俳優座劇場「聖なる炎」などなど。 https://t.co/0gZ8NOlSnx

    1年以上前

  9. 本当に思い出せないレベルの久々にストレートプレイ観てきました。俳優座プロデュース公演。聖なる炎。面白かった。本当に観てよかった。本日アフタートーク付き。写真撮影O.K.でした。 https://t.co/rgc6UJNNZ2

    1年以上前

  10. 舞台『聖なる炎』なかび!劇中では………な2人ですが楽屋はにこにこ仲良しです☺️❤️ https://t.co/0C3N1icwDp

    1年以上前

  11. 俳優座劇場「聖なる炎」補遺。何の科学的根拠はないのだが、この劇場にはその手の芝居を客席に極上に届ける「蔵付きの菌」があるのではないかと思料。長年のコメディの笑い声が染み付いた恵比寿のエコー劇場で喜劇を観ると、他所ではないようなドッカンドッカンの笑いが来るような気がするのと同じ。

    1年以上前

  12. 俳優座劇場「聖なる炎」観劇からの帰途の途中、焼鳥日高で夕飲み。生ビール、ホッピー黒(中を三回追加)。牡蠣フライ(牡蠣好き)、ポテトサラダ、焼鳥皮と焼きトン・シロ、焼きトン・シロ追加。 https://t.co/XHG3E7YGVi

    1年以上前

  13. 【舞台出演情報】現在上演中・俳優座劇場プロデュース公演『聖なる炎』に あんどうさくら が出演してます。ぜひ劇場までお越しください。 上演期間:2月26日(日)〜3月4日(土) 会場:俳優座劇場 https://t.co/UMtbq9kr2J

    1年以上前

  14. 俳優座劇場『聖なる炎』S. Maugham, 小笠原響。飛行機事故で寝た切り状態のモーリス(田中孝宗)急死。妻(大井川皐月)、一時帰国中の弟(鹿野宗健)と恋仲。看護婦(あんどうさくら)は嫉妬から検死を要求。母(小野洋子)の告白。人… https://t.co/GHosVrGEk3

    1年以上前

  15. 晩飯 2023.2.26(日)17:00 俳優座劇場「聖なる炎」良かったわぁ。で、終演後反省会。話しはは尽きず…。 記憶の限り、ハイボール×4、黒ホッピー×2、芋焼酎お湯割り×1。 帰宅して缶酎ハイと焼きビーフンハーフ。… https://t.co/u6NEkRlwsN

    1年以上前

  16. 2/27 今日の公演 聖なる炎/俳優座劇場 ケンジトシ/シアタートラム 行きたい場所をどうぞ/サザンシアター 時間よ止まれ/小劇場B1 じりりた/トップス

    1年以上前

  17. 昼飯 2023.2.26(日)13:00 俳優座劇場「聖なる炎」をマチネで観る。 ランチは大戸屋で豚サバ定食、五穀ごはん少な目。 朝が遅かったので、ちょっと満腹…。 https://t.co/9SUEeBsZsz #六本木ランチ #大戸屋六本木店 #豚サバ定食

    1年以上前

  18. ㊗️俳優座劇場「聖なる炎」初日 ✨おめでとうございます✨ 今日から一週間、スタッフ・キャスト皆様 欠けることなく怪我もなく完走できます様に😊 楽しみます🥰

    1年以上前

  19. 2023年2月13日中スポ21面「小野洋子『深い親子愛届けたい』」 俳優座劇場プロデュース公演『聖なる炎🔥❤️‍🔥』モーム人気作 翻訳の小田島創志さん 演出の小笠原響さん https://t.co/w6Njfbj4Fl

    1年以上前

  20. 小野洋子「みんなで〝火〟ともしていけるか」 26日開幕、俳優座劇場プロデュース公演「聖なる炎」(中日スポーツ).. @Yahooより https://t.co/mF78kwh0Wh #Yahooニュース

    1年以上前

  21. に公演情報とインタビューの記事を載せてくださいました!! ありがとうございます😊😊😊 小野洋子「みんなで〝火〟ともしていけるか」 26日開幕、俳優座劇場プロデュース公演「聖なる炎」:中日スポーツ・… https://t.co/xevCWB6gz1 #聖なる炎 #東京中日スポーツ

    2年弱前

  22. 小野洋子「みんなで〝火〟ともしていけるか」 26日開幕、俳優座劇場プロデュース公演「聖なる炎」(中日スポーツ) https://t.co/5PvO7IAlsF

    2年弱前

  23. 小野洋子「みんなで〝火〟ともしていけるか」 26日開幕、俳優座劇場プロデュース公演「聖なる炎」(中日スポーツ) https://t.co/njVA7a4Pbc

    2年弱前

  24. 厳選お勧めエンタメ情報です。 小野洋子「みんなで〝火〟ともしていけるか」 26日開幕、俳優座劇場プロデュース公演「聖なる炎」(中日スポーツ) https://t.co/zHzubD8JA9

    2年弱前

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