センの風とムラサキの陽(池袋演劇祭・優秀賞受賞) 公演情報 センの風とムラサキの陽(池袋演劇祭・優秀賞受賞)」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
1-9件 / 9件中
  • 安易に戦争をネタに取り上げてはいけない。
    人がたくさん死ぬ話になるのだ。どう考えたって盛り上がる。盛り上げの為に人を殺してはいけない。例え創作物であっても。だから安易ではいけない。
    その点、彼らは安易ではない。生きるか死ぬかであればみな生きる事を選びたがるだろう。しかし生きる先には何があるか、その重さ・辛さまでをしっかりと描いている。
    初演から大々的に代わった部分もあるが、当然貫いている部分もある。そもそもの芯の強さは変わらない。

    ネタバレBOX

    冒頭の原子分裂をイメージさせる演舞。これは中盤以降でもう一度やってもよかったのではないかなと。冒頭では綺麗さが先に来て、上演最初の掴みとなればそれだけでもよくて。中盤以降に原子分裂の意味が分かった上で、あれを無音の中でゆっくりやるとか緊張感を持たせて見せられたらきっと恐怖や悲壮を覚えたと思う。冒頭のあれが何だったか気付かないままだと勿体無い。
  • 満足度★★★★

    生き残った者
    「バッコスの祭」の芝居にはいつも泣かされている。今回、ここでも「泣けた」という感想が多く、先に観た友人が「目が腫れるほど泣いた」と言うものだから、ミニタオルを手に観たが(笑)、予想したよりもウェットではなく、抑制のきいた芝居だったので、むしろ好感が持てた。
    作者はもとより、出演者らも広島に足を運び、関連資料に当たるなど、時代背景について相当勉強を重ねたと聞く。
    4年前、池袋演劇祭にこの作品(初演)で出場し、入賞を果たせず、今回は再演で受賞ということで、まずはおめでとうございます。
    池袋も3年連続で受賞しているそうで、着実に実績を積み重ねているようで喜ばしい。

    ネタバレBOX

    オープニングの「原子」を連想させるボールを使ったパフォーマンスのチームワークの素晴らしいこと。戦争物をやってもこういう演出にやはり「バッコス」らしさがある。
    食堂の娘で実は戦争未亡人の雨宮真梨、新聞記者の金子優子、大学の研究者の田仲晶の女性陣が出色。特に金子は、これまでの印象とまったく違い、新境地を開いたのではないかと思う。
    核の研究をしていたが、特攻を志願する主役・名越青年の丹羽隆博は、坊主頭もりりしく、相変わらず身体能力に優れ、アクロバティックな演技と共に独特な雰囲気を醸し出す。劇中劇で森の石松を演じるが、かねてより彼には石松が似合うと思っていたので、嬉しいサービスとなった。
    辻明佳は名越の姉役。いつもより背がスラリとみえ、別人の印象だった。
    海軍少佐の石井雄一郎は、ガッチリと脇を固める。「バッコスの祭」は石井あってこその丹羽である。石井は歌舞伎俳優顔負けのきれいな江戸弁を遣える人で、いずれ、新門辰五郎を演じてもらいたいと思っている。ヘアメークの意見もあり、あえて坊主頭にはしなかったそうだが(どんな理由なのか?)、この時代、入営しなくても男性は坊主頭を強いられたのだから、石井だけでなく、研究室仲間の仁科役・上田直樹も本来は髪を短くしてほしかった。上田は今回、いつもの2枚目ではなく、コミカルな演技で客席を沸かせた。
    柿谷広美はバッコスでの母親役が板についてきた。若手の座組みで老け役がうまい客演者は貴重だ。新劇団員の倉橋佐季は元気があってよい。
    ほかのかたも指摘していたが、国家機密を、一新聞記者や戦意昂揚のための市民劇団員意倍で、までが知っているという設定は引っかかった。劇中劇の「蒙古襲来」では原子爆弾を名刀に例えているのだが、劇団員は知らずに演じていたほうが哀れさも共感もあったと思うのだが。
    また、そういうことで言えば、金子、田仲の好演を貶めるつもりはないが、この時代、政府中枢にパイプを持ち、命懸けで国家機密に関わる記者や研究者が女性であるというのも時代的に無理があり、違和感があった。初演は2役とも男優が演じたので、今回は座組の関係なのかもしれないが。バッコスの史劇は時代考証よりテーマの骨子を重視するので、あえてフィクションで乗り切るという意図なのかもしれない。
    丹羽の演じた青年は、日本上空の外でエノラゲイを撃墜させようとして失敗し、生き残る。最後に「平和が来るのがこわいです」と彼は言う。この台詞が重い。終戦を迎えたとき、日本人の何人かはそう思ったに違いないし、そう思わせた国の罪は大きい。
    戦争は悲惨だが、生き残った名越がこれから背負う「生の重さ」を思うとさらにやりきれない気持ちになり、そこを描いた点に共鳴する。
  • 満足度★★

    劇団初見!
    戦争ものを観るのは今回初かも。役者は熱演(特に劇中劇)

    ネタバレBOX

    戦局が悪化の一途を辿る中、「原爆研究」を戦意高揚演劇に利用して国が大芝居をするストーリーはまあまあかと。
    エピローグが蛇足に感じた。晴生が生きているのも、小野が長崎に帰ると言うのも。その前のシーンで深雪が剣を振り、神風として晴生が上昇気流に乗る。二人が重なるシーンで終るのも良いかと勝手に感じた。
    劇中劇「蒙古襲来」の辻さん、雨宮さんのカッコいいこと。生き生き演じていたように感じる。剣劇が得意なのでしょうか?次回公演がそうなら観たい。
  • 満足度

    ギャップを乗り越えられず。
    ポイントを下げて申し訳ないのですが・・・ 個人的に合わなかったです。
    好評の様なので、マイナー意見と自覚した上でコメントします。

    ネタバレBOX

    開演当初から感じた違和感が、最後の最後まで払拭されず
    作品に入り込めないままのラストでした。

    演技面では戦時中にも関わらず、全員 元気すぎるな、というのが最も気になりました。陰惨な状況の中でも元気にふるまっている演技だったのでしょうが、だれもお腹が減っていないような健康的なイメージでした。

    内容では『女性の社会進出は戦後』という固定概念があったため、ギャップを感じました。当時も一部、活躍する職業女性はいたのでしょうが、男性より前に前に出てくる女性は朗らかなのか蓮っ葉なのか。

    セットの汚しの不自然さ(落書きの様に書きつけられた数式の字の丁寧さや、おそらく無造作になるよう貼られた新聞の配置の綺麗さ)
    血色の良すぎるメイク など 内容以外の違和感も大きく作用したと思います。

    粗探しをした様で申し訳ないのですが、テーマがテーマなだけに 文献等をどれだけ読んで反映させたのか・・・一般的な戦時中のイメージから敢えて離れるなら、それをどう自然に見せるか等 工夫された部分が伝わってくればと思いました。


    上記の様な お芝居への感想を抜きにしても
    安易に賛成も否定もできない難しい題材だと感じます。

    当時の人の死生観とは、どういったものだったのでしょうか・・・。それを考えるきっかけとして、大多数の観客には貴重な作品だったと思います。
    個人的な印象で作品に入りこめなかったのが残念です。
  • 満足度★★★★

    今回も激アツ!
    忠臣蔵に続いて2度目の観劇。
    役者の熱意に支えられた熱い展開の中に、演出的な創意工夫の散りばめられた、流石!の作品でした。

    ネタバレBOX

    たったひとつどうしても気になったのが、少佐の髪型。
    軍人に見えなかった~。
    諸事情あるでしょうが、短髪も似合ったんじゃないですかね?
  • 満足度★★★★

    3回連続受賞、おめでとうございます!
    戦争モノだけど
    オリジナルのフィクションを織り交ぜた作品。
    戦争モノ特有のやるせない悲惨さはあまりなく、
    きちんと主張が伝わってきて良かった。

    舞台セットと、照明の色合いがとても好感。
    演技の一体感も、劇団のチームワークと舞台への情熱を感じられて良かった。

    池袋演劇祭の賞も3回連続となる受賞が決まったそうで、
    おめでとうございます。

    ネタバレBOX

    わりとベタな、というか基本の笑いをしっかり取れるところに
    役者の実力を感じる。それぞれ呼吸があっていて、
    スムーズに話に入り込めるし、安心感がある。
    前回は殺陣をみせてくれたけど、今回はなし。
    動きも身体ができていて、いい。いろんな表現、いろんなインパクトがある。
    劇団の良さをしっかりもったグループだと思う。

    ちょっと気になる点を挙げると、
    途中、仁科が研究を辞めて、戦闘機で出撃するくだりから
    ちょっと展開が突然すぎるかなあと感じた。
    主人公の名越も、いきなり熱血に切り替わったように思える。
    それから、日日新聞の記者がキレイな女性なんだけど、
    「アンタまるで未来人だな」という台詞が出た時は一瞬、実はそうなんです!
    みたいな展開になるのかと想像してしまうほど、スマートでクレバーで
    ちょっと時代にそぐわないかなぁという印象。

    でも、今回の日本も原爆を研究しているという話、構成は好印象。
    気の利いた台詞も展開も好み。尾を引く悲壮感がなく、優しい話だった。
    だから主張がストレートに伝わりやすい。

    個人的には
    特攻を志願する主人公の、
    特攻に対する心情の吐露は共感だった。

    戦時中の作品を演じるとき、
    本当に生きるか死ぬかののっぴきならない状況で
    いったい自分だったらどうするかを
    役と向き合って真剣に考えるのが
    役者や演出家の務めであると思う。
    それをしっかりやっている感じがした。

    また、
    「悪魔を眠らせて、生まれ変わらせてやるんだ」という
    主旨の台詞のセンスが好きだった。

    池袋小劇場はもう何年も来てなかったけど、
    間口が広くて、劇場の大きさの割には舞台の広がりを感じられて良かった。
    セットの組み方も良いおかげで、客席もしっかり舞台空間に取り込んでくれる。
    背もたれがないのと、クッション有りとはいえ、イス自体が硬いので
    ちょっと尻はいたかったけど…。

    舞台の使い方も良いし、装置も良いし、
    暗転を多用しない工夫が勉強になりました。

  • 満足度★★★★★

    観ました!
    戦争ものはだからきらいなんです。
    涙無しでは観られないから・・・

    すばらしかったです。
    切り口も良くて引き込まれました。

    ミドルランな公演なのでまだまだやってます。
    是非是非!!!
    皆さん見てください!

    ネタバレBOX


    「日本は本当にうつくしい」
    にやられました。

    君たちが美しいよ!

    結果は分かってるはずなのに、違う結末を望んでやまなかったです。
  • 満足度★★★★★

    熱い演技と華のある女優陣!!
    原子爆弾を研究していた教授と学生のそれぞれの思い、それぞれの行動に感動しました。

    ネタバレBOX

    原子がぶつかるようなパフォーマンスでスタート。粒がだんだん大きくなっていったので核分裂というよりは核融合かとも、失礼!

    最初、教授は戦時下の日本で原子爆弾の開発に没頭するだけの科学者かと思っていましたが、日本でも原子爆弾が今すぐにも作れるぞというメッセージを新聞記事や演劇を通して派手にアピールすることで、アメリカに対する抑止力にしようとしていたことが明らかになりました。

    そして、初めから実際には原子爆弾を作れないことが分かっていて、戦争終結を進言していたことに感動しました。

    一方、日本の勝利のために研究していた学生の、原爆を積んだB29を撃墜するために特攻機に乗り込もうとする心意気に、特攻隊の無意味さを理解している私も、もしそれが実現していたら数十万人の命が救われたのではないかと思うと心が痛みました。

    教授と学生は全く異なる行動を取りましたが、どちらも日本を救おうとする気持ちに変わりはありません。

    広島にいた人々は、劇団員も含めて死亡し、飛んだものの目的が果たせなかった学生は生き残り、実家の長崎に向かうという東京から戻ったばかりの教授の言葉に、さらに悲しい結末を予感しました。

    演劇を通してのアピールということで、その一環で行われた劇中劇も効果的でした。その劇団には前田亜季さんやもう少し若いころの田中美里さんのような女優さんもいて可愛かったです!!
  • 満足度★★★★★

    最後は涙涙・・・
    戦争中の本来暗い物語に、地域劇団の物語をエピソードに加えて明るいタッチで描いたのが成功している。お陰でラストは涙涙だ。

    中心的な役者が上手いのはどこの劇団でもだが、今回、脇を固める役者が非常に良かった。

    食堂の娘を演じた雨宮真梨の明るさとその裏にある影に感動。劇団の脚本家を演じた稲垣佳奈美もいつも明るくて素敵だった。新聞記者役の金子優子、海軍少佐役の石井雄一郎、大学教授役の田仲晶らが特に魅力的だった。

    この劇団、毎回観ているがどんどん作品の完成度が高くなっている。今回の作品、私は今までの中で一番好きだ。

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