満足度★★★
戦争いついて考える最初入り口
戦争モノはなかなか扱いにくいし、中途半端な覚悟で
触れてはいけない題材なんだなあって思いました・・・。
ソフトな感じなので戦争について考える「入り口」と考えれば
入りやすかったです。若い世代とかは、見たほうがいいかも
このシリーズ、と思いましt。
満足度★
「限界」に酔っている
内容が浅いというのは私も感じましたが、それ以上に「限界」を演じることに酔っていて、冷静な視点を持ちえていないことが気になりました。果たして悲惨さを悲惨に演じることが表現でしょうか? 観る人に強い印象を与えるために手法を選び、計算をする必要があるかと思います。
このことは例えば「笑い」一つとっても感じました。いったい何のための笑いなのか(皮肉なのか、批判なのか)が分からない場面がいくつかありました。
また「東京から疎開してきた女性」、「千葉の漁師だった脱走兵」など、作品世界を膨らませる可能性がある設定がほとんど生かされていないことも残念でした。
そしてラストですが、全員が生き残る話にすべきでは? と思いました。そうでないと何と比べて「フツーの生活」なのかが分かりません。生き残った人間が当時の生活を振り返るという構成にしたほうが、普通の人々の普通の営みに着目した意味も際立ったのではないでしょうか?
満足度★★★★
沖縄戦慰霊の日に観劇
6月23日、千秋楽、沖縄戦慰霊の日に観劇した。劇団主宰の44北川さんはわざわざこの日を千秋楽に選んだそうです。芝居が終わり、44北川さんのとても控えめで感じの良い挨拶があり、全員で黙祷しました。
今回、沖縄からもご高齢の戦争体験者が観劇に来られていて「いい芝居でしたよ」と涙を流しながら舞台に合掌して会場を後にされたのが印象的でした。本作を観て感動した沖縄のかたもおられたのは救いでした。感想は十人十色だと思います。
「フツーの生活」というタイトルの字面が戦争物にしては軽すぎる印象で、観る前にほかのかたのレビューを読むとかなりの酷評に愕然とし、とても不安になりました。
私は商業演劇の企画がどのように立てられるのかは知りませんが、本シリーズは初演ではなく再演ですし、安易に新国立の企画をまねたとも思えません。当日パンフレットを読む限り、作・演出の中島さんは現地で取材もなさったそうですし、作品に対する誠実さはじゅうぶん伝わってきました。
「ガマ」を取材し、「取材でガマの中に入ろうが、本を何冊読もうが現実との間にはきっと随分差があって、ガマと一口に言ってるけれど、それぞれのガマにそれぞれの現実があって、また人間一人一人の現実だって違うだろうし・・・。」とあり、「この物語は体験者でもなく、沖縄生まれでもない人間が、触れにくく語りにくい物語だと思います。それでもあえて、今回この物語に関わろうと思いました。これから続いていく未来のために・・・。」という一文は鉛のように私の胸に重く沈み、部外者の傲慢な姿勢は微塵も感じられません。作・演出家も戦時中の沖縄を描くことに戸惑いや苦悩を抱えながら、作品に取り組んだのでしょう。出演者の一人である兵士役の佐藤正和さんも、ご自身のブログで、出演俳優たちと沖縄のガマを見学したことに触れ、「沖縄に行って、戦場になった場所をまわって、話を聞きました。知らなかったことに、罪悪感にも似た気持ちになりました。自分は役者なので、なんとか舞台で表現して、同じように知らない人たちにも伝えたいと思うようになりました。創作表現だから、観る人によって色んな感想を持たれるのは当然だと思います。で、自分の拙い芝居でどんな風に伝えられるのか…(中略)暗い暗いガマの中のお話ですが、彼らの笑顔を想像してもらえるような芝居になっていればいいのだけど。今回、それだけを考えて作りました」と綴っています。初演のときより今回、再演のほうが気が重かったと、作者、出演者、異口同音に語っているのが印象的で、彼らなりに作品への責任感は強く感じているようです。
「何があっても生き延びよう」というのが北川さんのメッセージだそうで、それはしっかりと伝わりました。いまだ基地問題が解決せず、琉球の時代からの蹂躙の歴史を思えば、本土の人間としては沖縄に対して拭いようのないうしろめたさを抱えているわけですが、日本とアメリカが戦争した事実も知らないと答える子供がいる時代、たとえステレオタイプの描き方であっても、このような作品が上演されることは十分意義があると私は思いました。
ため息をつく
非常に不愉快な作品であった。
浅知恵の脚本、精神的にも知的にも未熟な俳優達。
情報は多く、けれど、消化されていかない物語は、垂れ流された自己満足の世界に観客を閉じ込めた。
こうすれば泣かせられる、センソウモノノツボハココ、そんな小手先が匂った。
沖縄という問題に対し、戦争という問題に対し、それがどれほど繊細なテーマであるか。
それを伝えるだけの覚悟があるのか、強い信念があるのか。
今一度問いたい。
沖縄の方の目には触れさせたくない舞台
これは、正真正銘、ただの普通のシバイに過ぎませんでした。
脚本、音響、セット、演技、全てが、芝居そのものでした。(虚構に過ぎないという意味です)
私の子供の頃、外国映画で描かれた、日本紛いの日本のような、戦時中の沖縄の描き方に唖然、慄然!!若い小劇場作品かと、目を疑いました。
生半可な知識しかない脚本家が、先人の名作家が書いた珠玉の台詞を、アレンジしてランダムに繋ぎ合わせ、まことしやかに舞台に乗せた、そんな浅薄な芝居としか、私の目には映りませんでした。
途中退場された男性がいましたが、私と同じ思いで、居た堪れなかったのではないかと、思いました。
ただ、知らずに芝居を観に行っただけの私でさえ、沖縄の方々に後ろめたさを感じてしまう、そんな絵空事の空疎な芝居でした。
これは、沖縄の抱えている重い歴史に対する冒涜とさえ、私には感じられました。
当パンを読むと、これは劇場側から持ち出された企画で、プロデューサーも作者も、ただの頼まれ仕事だった模様。製作側の、必然から生まれた公演でない、間に合わせ舞台なら、さもありなんと納得できる凡作。
「フツーの生活」という、この題名、戦時中の普通の生活を描くのではなく、どうやら、普通の生活をしている、現代製作陣が、戦時中の沖縄の実情なんて、度外視して、普通に作った、シ・バ・イでした。
今年、観劇したことを後悔した、最初の舞台となりました。
満足度★★★★
真っ向勝負
予備知識なく初見。中島さんの作品は何度か拝見していましたが、こんなにも骨太な作品は初めてでした。“沖縄”について、多少は本やテレビで知る機会はありましたが、戦争の実際を舞台で観たのは初めてな気がします。福島さんの役が国民学校の先生で、主人公の少年を軍国少年に育ててしまった苦悩がひしひしと伝わってくる、名演でした。