実演鑑賞
満足度★★★★★
加害者側の発言はあまり聞くことがないのでフィクションではあるけれど膨大な取材に基づいているのだろうと期待してでかけてみた。冒頭の加害者の母の願いに被害者の父母が最後にどう応えるかを予想し、どのように2時間後にそこに着地させるか作者のお手並み拝見である(最近はどうもこういう嫌味なスタンスになりがちだ。そういう年頃なのだろう)。各人の建前、本音、自分も気づいていなかった内心が的確に披露され、大いに引き込まれた。役者さん、皆さん上手すぎだ。
ただ沢山の事柄を全部盛りにしたところに作り物的なにおいをじわじわと感じてしまった。
実演鑑賞
満足度★★★★★
表現がきつく、不快・嫌悪感を強く感じる向きも居るだろうから観る人を選ぶ一面も。開始早々、被害者遺族が凄愴な心持ちを吐露する場面では、隣席の方が肩を震わせているのが分かる。重い題材を扱い、130分間8人の演者が出ずっぱりで主張し合うのだが、決して暗いだけに止まらず、演劇ならではのLIVE感と緊張感、醍醐味がたっぷり詰まったとても見ごたえのある舞台。
実演鑑賞
満足度★★★★
近年評価の高まるオーストラリアの戯曲。
粗筋と感想を目にして、これこそ自分が観るべき作品だと足を運んだ。
入場時に「必ず開演前にお読み下さい。」と配られる紙。
「一部、性暴力についての強い表現がございます。」との警告。「途中で会場を出ることは自身を守る行為です。」と不快なら我慢せず途中退場することを劇団側から促している。一体これから何を観せられるのか?異様なムードの会場。
観客が体験するのは地獄の光景。2回レイプ事件を犯した性的サディズム障害の青年スコット。刑務所で臨床心理士にOKを出されて仮釈放、弟の働くスーパーに勤務。そこで美人で良家の出である女子大生の客に目を付ける。ずっと我慢しようと様々な方法を試みるもどうにもならない。彼女のマンションに侵入し、帰宅と同時に室内に滑り込む。両手を後ろ手に縛り上げ口を塞ぐ。お気に入りのSM雑誌のグラビアを見せて、想像の限りを尽くして凌辱。罵倒殴打内出血虐待暴力性行拷問屈辱苦痛懇願、詰め込まれたコーラの瓶。彼女は絶望の果てに死ぬが、スコットは「殺意はなかった」と語る。
医療刑務所にて終身刑で服役中のスコット(声のみ山田貢央氏)。
今日一室に集められた8人。
被害者の父デレク(斎藤淳氏)、母バーバラ(安藤みどりさん)は今も地獄の日々を送っている。
加害者の母コーラル(山本順子さん)、姉ゲイル(天明屋〈てんみょうや〉渚さん)、弟ミック(辻井亮人氏)、叔父ボブ(河内浩氏)。
スコットを担当した臨床心理士ローリン(佐藤あかりさん)。
「修復的司法」の調停人・ジャック・マニング(八柳豪〈やつやなぎたけし〉氏)。
「修復的司法」とは罪に対して国家が罰を与える「応報的司法(刑事司法)」では、本当の意味での解決にはなり得ないとの考え方から生まれた。直接的な「被害者加害者対話」を通じて、被害者の回復と加害者の更生について当事者及び周囲のコミュニティの者が話し合うこと。性善説のようなぬるいイメージが付きまとうが、この試みに一体どんな意味があるのか?それとも何もないのか?は見てみないことには分からない。
この場にいないのは加害者と被害者だけ。
誰に一番感情移入して観ることになるのか?
被害者の母親役の安藤みどりさんがヤバかった。
実演鑑賞
満足度★★★★★
強姦殺人事件の被害者の娘の父母と、加害者の母、姉弟、伯父。さらに調停人のマニングと、性犯罪者の更生に取り組む心理療法家、8人出ずっぱりの会話劇。被害者遺族の夫婦は、怒りと憎しみをぶつけ、加害者の母は「私たちも痛みを抱えています」「それでも私の息子なんです」と許しを請う。弟は「殺人犯の弟」の烙印を押された恨み、終身刑の兄スコットに死んでほしいと、被害者遺族と同じ気持ちだと叫ぶ。大学卒の姉は、弟の貧しく放置された生育環境を考慮してほしいと自説をぶつ。心理療法家の女性は「彼は良くなっていた。釈放を求めた判断に誤りはない」と自己弁護する。
遺族の母は「あなたたちは私たちの痛みを理解する入り口にも立っていない」と迫り「奪われたのは未来だけではない、娘の過去も奪った」と。アルバムを見ると、悲惨な最後に至ることが思い出されて、アルバムもみられないと泣き崩れる。
どこにも救いの見えない前半から、どう何らかの結末を引き出すのか、目が離せない。
出演者はみな熱演で、ヤマ場では本当に互いに泣いていた。加害者の母を演じた山本順子は、貧しく弱く哀れな母親そのものだった。2時間10分休憩なし
実演鑑賞
満足度★★★★★
観客と非常に近接した演技空間で、あれほど緊迫したドラマを演技できる俳優たちの力量に舌を巻いた。
サイコパス的な性犯罪者をめぐる加害者側家族と被害者側家族の対話で、最後はやや都合よく物語がまとめられてしまうきらいがあるが、登場人物たちが対話の果てに事実と自分の後悔や責任に向き合っていく模様が描かれる。第1弾のときほどマニングは誘導的でない。
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2月の「ベスト・ファイヴ」 1. 新国立研『ブルーストッキングの女たち』 2. 彩の国『ジョン王』 3. シス『ケンジトシ』 4. 劇団協『血は立ったまま眠っている』 5. 椿組『まっくらやみ、女の筑豊』 これに、俳優座『対話… https://t.co/fnDcku1BMg
2年弱前
『 対話 』お陰様で一昨日千穐楽を迎え、全日程を終えることができました。 ご来場いただきました皆様、公演に関わっていただきましたすべての皆様に、感謝申し上げます。 全14公演。本当にありがとうございました。 https://t.co/Oo86MngtMx #劇団俳優座 #俳優座
2年弱前
俳優座『対話』⑤ タイトルにもなっている「対話」に求められるものを痛感した。✳︎公演は終了しています。
2年弱前
俳優座『対話』④次第に観客の共感を加害者家族に寄せ、さらに外側へと向けていく戯曲(デヴィッド・ウィリアムソン)は、心理ドラマの教科書のよう。でも予定調和に終わらない。話すことでしか癒されないものがあると示しながら、最後まで全員が強烈なエゴを持ち、自分でそれを守る姿に、
2年弱前
俳優座『対話』③犬丸治さんが「こんな芝居を続けていたら俳優は壊れてしまわないか」とツイートされていたけど、演じるのも観るのも覚悟が要る。しかも冒頭でいきなり犯人の母が、遺族の感情を逆撫でする要求を持ち込む。つまり、被害者サイドへの共感マックスから話をスタートさせ、
2年弱前
俳優座『対話』②1年前、娘の命を暴行事件で奪われた夫婦、犯人の母、姉、弟、叔父、その前の逮捕の際に犯人を担当した心理カウンセラー、そしてファシリテーターが小さな部屋に集まる。行われる対話は当然、謝罪、拒否から始まり、罵倒、説得、分裂などをたどるのだが、そのうねりが凄まじい。
2年弱前
俳優座『対話』①最近、ずしんと来る作品が多いけれども、これはひと際。「修復的司法」という、事件の加害者と被害者がファシリテーターの進行のもと話し合いを行うという、大半の日本人からすると、どの立場を想像してもつらくて思考停止になるような制度を借りて書かれた、直接的で徹底的な会話劇。
2年弱前
観劇☕️ 他人に打ち明けることで解放される感情や思い。傾聴する力。たぶん人間があまり得意でないことを無理矢理やらされるときの顔をしてる。すっぱい顔。 舞台美術にも注目。アフタートークで細部の話が聞けて面白かった… https://t.co/ROA0aGu850 #俳優座 #対話
2年弱前
劇団俳優座『対話』は昨日、全ステージが終了。中央:八柳豪 撮影:古元道広 サイトに他のカットもあります。 https://t.co/aktYN9DG2K https://t.co/525NCWGc2G #対話 #俳優座
2年弱前
俳優座『対話』 https://t.co/m2GJwmgr6t @YouTubeより デイヴィッド・ウィリアムソン、森一 「修復的司法」を扱うジャック・マニング三部作の第2弾。強姦殺人犯の母親(山本順子)はマニング(八柳豪)… https://t.co/55x3CRU9dp
2年弱前