2010億光年 公演情報 2010億光年」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
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  • 劇団初見
    上質でした。

  • 満足度★★★★

    人は誰も未知の大海に漕ぎ出す孤独な船
     早船聡さんの作・演出作品は数作拝見してきましたが、毎回新たな試みがあって驚かされます。『2010億光年』もまた然り。

     おおまかですが、空間は下手から順にリビング、ギャラリー、ベッドのある部屋の3つに区切られます。でも境界は曖昧で2つの場面が重なることもあり。中央上部に設置されたボートの存在感が大きく、額ぶち(10個ぐらい?)が天井から釣り下がっているのも抽象的なイメージを広げてくれます。

     登場するのはギャラリーを経営する未亡人とその弟、カメラマンとその妻、自称画家と盲目女性のカップル、座付き脚本家がいなくなった劇団という、生活スタイルも活動ジャンルも、人生の目的もバラバラな人々。舞台中央位置にあるギャラリーを支点に、徐々に人間関係がつながっていくのが小気味良いです。 最後には悩み、苦しみながら試行錯誤するそれぞれの人生が、舞台上で重なり、すれ違っていきます。人々が互いに光を放ち、乱反射するような、神々しささえ感じるエンディングでした。

     初日だったからかもしれませんが、空間全体が劇世界で満ちていない(舞台が埋まってない)ように感じたのは残念でした。でも最後の暗転時には、全ての登場人物たちをはじめ、作者の早船さん、周囲の観客らと一緒に虚空に浸り、出口の見えない闇を漂う心地になれました。私たちの誰もが、小さな希望と勇気をたずさえて未知の大海に漕ぎ出す一艘の孤独な船なのだと、劇場のイスの中で小さくなりながら、うなずきました。

     当日パンフレットに登場人物名と演じる役者さんの名前が並んでいましたが、役の名前だけだと誰が誰を演じたのか非常にわかりづらいです(役名を覚えていられないので)。左右のどちらが役名で役者名なのかも、パっと見ではわかりづらかったですね。実力も魅力も兼ね備えた役者さんが多数出演されていますので、改善を希望します。

    ネタバレBOX

     チェーホフ「かもめ」第一幕でトレープレフが上演するニーナの一人芝居や、劇中の演出家が気に入ったリルケの詩を、白塗りの前衛演劇として上演するのに爆笑しました。パっと見が既にしっちゃかめっちゃかだし、意味も意図もわからないのですが、「表現する」という人間の行為が愚かしく、愛らしく映りました。

     絵画、写真、演劇、詩、セックス(SM)・・・色んなことに没頭する登場人物たちを見て、「芸術」って何なんだろう、「わかってくれる人」って何だろうと考えてしまいます。人間はさまざまな表現で自分以外の人間と接し、わかり合おうとします。でもわかり合える人とは簡単にはめぐり合えないし、出会えたとしてもその人と結ばれるとは限りません。それに「わかる」と「わからない」の意味も人それぞれ。人間の内面は孤独でしかありえないと思い知らされます。

     「絵画も写真もなくたって生きていける。ただの色だよ!愚の骨頂だよ!」と、画家志望だったギャラリー・オーナーの弟(白州本樹)に言わせたことに感動しました。そんな絶望から生まれた覚悟の先に、芸術はあるのだと思います。

     長期出張の仕事を得たカメラマン(佐藤銀平)は、おそらく妻の待つ家にはもう帰らないでしょう(私はそう受け取りました)。彼もまた、自分をわかってくれる人に出会うために果てしない海に漕ぎ出す船。何億光年も先の、永遠にたどりつけなさそうな遥か彼方だとしても、それを求めて旅立ってしまう人間。リルケの時代から(その前からずっと)変わらない人間をあらわしていたのだと思います。
  • 満足度★★★★

    終わりなき未来に向かって
    作・演出の早船さんも、やはり変態(演劇人としてのほめ言葉です)であったことを確認させてくれる作品でした。
    ばらばらかと思っていた話のピースをきゅっきゅっとまとめ、未来に向かってというか、次の世に向かって進んでいく姿勢を感じました。

    ネタバレBOX

    一見無駄かと思えるものが、別な視点から観たときにその本質が浮き上がってくるという作品でした。すれ違う思いが切なく、その切なさを抱えながらも賢明に生きていこうとする人間の強さを感じました。
    どちらかというと、演劇の上演には向かない芸劇小ホール2での上演と言うことで、舞台美術などもシンプルな中で工夫が観られました。
  • 満足度★★★★

     
    観劇

  • 満足度★★★

    銀平さんはかっこいいような
    劇中劇の劇団はなんだったのかなぁ。

  • 満足度★★★★

    過去から現在を見出すラブ・ストーリー
    過去とは、未来とはなにか、あるいは「共に生きる」とはどういうことか――大きなテーマを、静かに、繊細に描いた美しい作品だったと思います。

    ネタバレBOX

    人間の「現在」と「未来」はすべて「過去」の中から生まれてくるものですが、その「過去」は「現在」によってくり返しその内容を点検され、書き換えられていくものでもあります。

    死んだ恋人のことを忘れられなかった女、その女との不倫の思い出にとらわれている男、有能な脚本家が脱退し迷走する劇団の人々……。ここには、それぞれに「過去」に翻弄され、「現在」を見出せない人たちが登場します。

    悩める男女が回想シーンや彼らへの“突っ込み役”でもある周囲の人々との関係を通して、改めて自分たちの「過去」と出合い直す(精算ではなく)、その先の「未来」はここでは描かれませんが、不恰好でも共感できる「現在」は確かに終幕にあらわれていました。(そしてそれは美しかった、と思います)

    率直に言うと、後半に明らかになる不倫相手の女性のトラウマ含みの恋愛の実体(それはカメラマンの男との関係とも深くつながっている)が、どうにも抽象的すぎるというか、なかなか身体に入ってこないな……とも感じたのですが(単純に好みの問題かもしれませんが)、その後の関係の帰結というか行く先については違和感を感じるところはありませんでした。

    ともかく、ダメ劇団が白塗りでリルケの「嘆き」の一節を演じるシーンが、終幕、あれほどの輝きを放つとは!涙が出そうになりました。練習シーンではあれほど失笑を誘っていたのに。そしてそんな展開も演劇ならではの仕掛けかな、と嬉しくなりました。

















  • 満足度★★★★

    みた
    会話のやりとりは、余計な説明を省いて、あれこれ想像させる余地があった。
    ありきたりな言葉、場面でも、演じる人の力で変わるんだなあって。
    ただこの劇場の、舞台を見上げる感じが、なにかちょっと、物語との間に距離感のようなものを生んでいた気がした。遠い世界の話ではないから、目線が同じか少し高い位置から見つめたかった。
    次作にも期待。

  • 観劇
    観劇いたしました。

  • 満足度★★

    芸劇でなくても・・・
    前評判の高さに期待値高めで行きましたが・・・思ったほどではなかったかも。
    細やかな描写や演技力の高さは判ったものの、なんだろう、間延び感っていうんでしょうか。なんだか眠かったです。
    気づけば周囲の観客も同じような人がチラホラ・・・劇場とのバランスの問題かもしれませんね。芸劇でなかったら、違った感想になったのかもしれません。
    臨場感がなくて、まったく劇中世界に入って行けず、とても残念な感じでした。

    ネタバレBOX

    芸劇eyes2010の第一弾。この後も初見の劇団のをいくつか観に行く予定にしてますが、少し不安・・・。
  • 満足度★★★★★

    静謐な、情感劇の秀作
    本当に、いつも思うのですが、早船さんて、どうしてこんなに女心がおわかりなんでしょう?
    淡々としたストーリー展開の中に、はっとするような珠玉の台詞やシーンが散りばめられて、上質な大人の芝居を、充分味わわせて頂きました。
    早船さんが、役者さんそれぞれに、思いを込めて、戯曲を書いていらっしゃるのだなあということも、観ていてジワジワ伝わって来ます。
    この作品を観て、眠くなってしまうタイプの男性は、きっと彼女の女心は、ちっとも理解できないタイプなんじゃないかなと思いました。
    我が家の夫なら、きっと最初から最後まで、眠っていそうです。(笑)

    作品にも、役者さんにも、大満足ではありましたが、どうも芸劇は、この劇団には広すぎる空間ではと思いました。こういう、芝居は、もっと狭い濃密な劇場空間で観たい気がします。
    冒頭のシーンでは、役者さんの台詞が割れてしまうのか、聞き辛い箇所がずいぶんありました。これも劇場の問題かもしれません。

    ネタバレBOX

    リルケの詩集からの劇中劇部分の本番シーンの演出が、実に秀逸でした。
    シェークスピアの「真夏の世の夢」にも、本編とは関係ない役者の稽古シーンが挿入されますが、これも、そんな味わい。稽古では、こんなダサい芝居観たくないと思わせて、本番はこんなにレベルアップしてしまうのかと、作者早船さんの粋な目論見に、思わず唸りました。

    ギャラリーオーナーの弟が、「写真も絵も演劇も、人をシアワセにはしない」という内容の台詞を言いますが、早船さんは、この芝居で、いや少しだけでも、演劇は人をシアワセにしたり、浄化したりするよという、内心のメッセージを、私達観客に届けて下さったのではという気がしています。
    粗筋で説明したら、陳腐になりそうですが、この登場人物は、皆リアルでした。私の嫌いなタイプの「静かな演劇」とは全然違います。 

    SMクラブの男が、尋ねてきた絵里が料理すると言った時に発する一言「から揚げ作ってね」。この一言だけで、いつも、目の見えない彼女を気遣って、好きなから揚げを我慢している、2人の生活を瞬時に観客に想起させます。
    この芝居で描かれていない日常の登場人物の有り様がリアルに伝わる…。 

    夫が長い撮影旅行に行こうとする時、出社前の妻が、昔似合ったミニスカート姿を見せながら、「急に似合わなくなる時を一緒に目撃したい」という時の、切ないまでの女心…

    あー、何て素敵な心象描写の数々!!!

    枚挙に暇がないけれど、本当に、珠玉の作品世界でした。
  • 満足度★★★

    物足りない
    情感あふれる台詞にじんわりしたシーンが随所にあり、
    役者も皆悪くない。女優陣も美しかった。
    それなのにどうも物足りない。

    ネタバレBOX

    唐突にSMに走る人妻のエピソードが腑に落ちない。
    売れない劇団の話もありきたり。
    そもそも群像劇なんだろうか?
    夫婦の話に力点が置かれていたように感じた。
  • 満足度★★★★

    やさしいお味
    卵かけご飯なのである。
    生卵と御飯としょうゆ。それだけで作っているのである。余計なものなど一切ない。ご飯は炊き立てなのか、冷や飯なのか、また冷や飯を水で洗っているのか、卵はといてからご飯に混ぜるのか、ご飯にぶっかけてから混ぜるのか、白身と黄身を別々に混ぜるのか、またメレンゲ状にするのか。
    全部ミキサーに入れて一緒くたにするのか。
    しょうゆは一滴それともドバッと?茶碗に盛るのか洋食器に盛るのか、陶器なのかプラスチックなのか、銀食器なのか。

    いろんな出し方をしてくれるが、卵かけご飯なのだ。威張っていないのだ。やさしいのだ。

    お勧めします。

    ネタバレBOX

    白州さん。初めて拝見する役者さんだったがすごく魅力的で自然と目がいっている自分に気づく。ふわっとさらっと、羽が生えているようなお方だった。
    売れない劇団員のみなさんのラストの劇中劇にも引き込まれた。
  • 満足度★★★★★

    全てに感情移入。
    いくつかのストーリーが独立しながらも相互に影響を与え、全体としては、夢を追いかけ続ける人間たちの挑戦と挫折を美しくもセンチメンタルに描いている。

    一人一人の登場人物が魅力的で、人物の設定が巧み。物語に自然に吸い込まれた。

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