遥かな町へ 公演情報 遥かな町へ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-6件 / 6件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    フランスからの逆輸入ということでしたが、意外に違和感は感じませんでした。原作を読みたくなりましたね。

  • 映像鑑賞

    満足度★★★★

    映像にて鑑賞。シアターXで上演というとつい1ランク上に注目し、劇場観劇は叶わなかったから配信を観た。大昔の新宿梁山泊以来久しく見なかった近童弐吉を劇団印象「瘋癲老人日記」で目にして今回二度目になるが、自分が目にしていなかっただけで役者稼業は続けていたようで(結構ニアミスで見逃していた舞台も..)。本作では近童氏のみ中原博史(現代及び中学時代)一人を演じ、他大勢は役及びコロス、またはコロスのみ(パンフにはカラスと書いてある)。主要な役として中学時代の父、母、祖母、妹、ポチ、同級生の島田、クラスのマドンナ永瀬智子、彼をライバル視する男子や漫画家志望の浜田。他のエピソードとして父が見舞いに行っていた幼馴染みの女性、父の戦友で母の許婚であった青年など。現代には妻と子ども二人がいるが、冒頭の紹介以降ラストまで登場しない。コロスたちはクラスメートを演じたり、博史の代わりを演じたりする。その時弐吉は自分を客観視する立ち位置にいる。
    谷口ジローと言えば作関川夏央/絵谷口の「「坊ちゃん」の時代」が思い出されるが、今作は谷口氏が自らの故郷を舞台に時間を遡る物語。ドキュメントなタッチにほんのりフィクショナルな風合い。導入は山田太一の「異人たちとの夏」のようなリアルな感覚を引き摺りながら事態を受け入れて行く過程が良い。14歳の自分に48歳の自分が遠慮なく混じり込んで14歳を満喫しているのも新鮮で、48歳の頭脳が若い身体を動かすのだから当然だが本人の自覚なくして成績良く英語ペラペラ、スポーツも優秀、達観した言葉を吐いたりするので、本当の14歳時代には言葉すら交わさなかった永瀬さんと親しくなり、恋心を打ち明けられてあたふたしたり。過去の時間のそうした「変化」を認識する中で、彼はこの旅の無意識レベルでのきっかけであった「母」の人生、その苦労を決定付けた「父」の失踪に思い至り、父が失踪した日が近づくにつれ、父の失踪を防ぐ事が自分の旅の目的だと思い定める。そしてついにその日を迎える。全てにおいて塩梅よく仕上がったストーリーで、成熟社会となった日本の「現代」の生の課題を掬いとる着地になっている。
    ただ、原作コミックが発表されたのが1998年、失われた二十数年の起点となり派遣労働の規制緩和、自殺率の上昇、日本型新自由主義によって今思えば組織防衛のために成長の契機を摘みにかかった時期で、政治を含めた社会の先行きが当てを失って彷徨い始めた頃である。今、見えてきた日本の構造的な課題は、「諦め」の深化との相殺で変化の契機になっていないが、「見える」段階に入って来たとすれば、この作品のトーンは「見えない」自分の現在地を過去に遡り、父の人生を見つめる事を通して発見しようとするファンタジーである。社会云々と書いたが最も生々しく己れの生のありかを定める父という存在(女性にとっては母、あるいはそれぞれ逆の場合、他の存在もあるかもしれない)に、気づかせる。
    2010年ベルギー、仏独の製作で映画化。谷口ジロー作品は仏で評価されているらしく、それが今回の共同制作に繋がったようである。舞台処理は欧州のクリエイターらしく機能的で生演奏の音楽、効果、奏者も芝居に加わり、コロスの細やかな動き、ちょっとした憎い演出が全編に効いている。例えば博史が公園のベンチで寝ている所へクラスの永瀬智子がやって来て二人して話し込む、という場面は空からの視点で観客は見る事になるが、見事に錯覚させる。
    弐吉の物語を総員で作り上げる「形」の中に演劇に対する演出家の思想を読み取るのは気が早いか。座高円寺の企画に参加しているイタリア人演出(これまで「ピノキオ」他三四作を演出)にも近い印象を持った。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2022/11/26 (土) 17:00

    表現がやや前衛的だったが、とっつきにくさは感じられず。マンドリンやギター、ベース等を使った音楽の生演奏ともマッチ。芸術点の高いステージ。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    思わぬ傑作。原作も読みたいと思った。
    小津安二郎『父ありき』や成瀬巳喜男の『晩菊』を想起。驚く程に人の心の深奥部まで到達している。
    浦沢直樹の大傑作『プルートゥ PLUTO』をベルギー人のシディ・ラルビ・シェルカウイが演出したものを昔観たが、作品の魅力をこそぎ落としたような舞台化。アートがやりたいのなら、オリジナルでやってくれ。原作の魅力はこんな安っぽいもんじゃない。日本漫画の外人アート化への危惧。今作もそんな偏見で凝り固まった嫌な目線で臨んだ。

    床に広げた巨大な白いシーツが人力で吊り上げられていく冒頭。時間の表現をそのシーツの揺蕩いで顕在化。上手にはギターやコントラバスや笛などの楽器、代わる代わる役者によって生演奏。車椅子を手に持った輪っか一つで表現したり、コロスのように一つの役を大人数で表したり、練りに練った工夫が随所に散りばめられている。
    主人公役の近童弐吉氏は学生服を着込み、そのまんまで中学生を演じてみせる。ニカッと溢れる笑みが痛快。
    主人公の妹と体育教師役の吉越千帆さんが可愛くて目立った。
    主人公の悪友役の松崎将司氏も大柄で魅力的。
    主人公の父親役、猪俣三四郎氏のミシンをかける佇まい。
    学校のマドンナ役の藤井千咲子さんは村上龍の『69』を思い出した。

    1998年4月9日、48歳の主人公(近童弐吉氏)は酒に酔って意識を失う。気付くと時は1963年4月7日、自分は14歳の姿に。訳も解らぬまま中学二年の生活を送る羽目に。人生二周目チートで無双、異世界転生モノ乗りの学校生活。そこで大切なことを思い出す。この年の夏休みの終わり、8月31日に父親が謎の失踪を遂げることを。何故、優しかった父は家族全員を捨てて去ったのか?果たしてその過去を変えることは出来るのか?

    ネタバレBOX

    父親の失踪の謎が物語の構造として効いている。その理由が本当に実存的なもので驚いた。出発のホーム、父親が息子に自らの本音を滔々と語るのだが、嘘偽りがない。取ってつけたような理由ではない為腑に落ちる。全てを語った方が良いのか、別の形で表した方が良かったのかは演出家の好みだろう。ラスト、現在に帰ってきた主人公と杖を突き老いさらばえたかつての父がすれ違う余韻。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    日本のマンガがフランスで人気があるという事は知っていましたが、谷口ジロー作品(日本で有名なのは『孤独のグルメ』)も大人気だなんて全く知らなかった
    何だかこういうのって嬉しいものがあります
    その谷口ジロー作品が外国の方によって演出され長きに渡ってフランス語圏で上演、大成功を収めているという、これもまた嬉しい事実
    今回はその日本版の公演という珍しいパターン

    本来原作に溢れているであろう日本情緒の面は差引いても、マンガでは出来ない演劇的表現多数、日本人キャストによる日本版という事でちゃんと方言を使われていたのも好印象でした
    主観的イメージで言えば世田谷パブリックシアターっぽい感じ(う~ん、伝わりにくいか)

    タイムスリップものとして かなりシッカリしたストーリー構成
    でありながら主人公がタイムパラドックス ガン無視で大いに青春リターンを謳歌しているのが面白い
    原作の趣旨がしっかり捉えられ描けているとみえ 絶えず惹きつけられるし、ずっと謎のままであった父親失踪の真実、とても丁寧に表現されていてもう腑に落ちまくり、腑に落ちて感慨深い
    大納得の面持ちでのエンディングとなりました

    大納得のトリプルコールでした

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    日本の漫画やアニメが海外で歓迎されているという話はよく聞くが、その実態は海外へ行ってみないと肌で感じられない。よくわからない。これは、日本の漫画がフランスで人気となり、それをスイスの仏語圏(?)の演出家が日本の若い俳優を使って劇化した作品の里帰り公演ということだ。フランス人はどう感じているのか興味を持って両国へ。カイは小さな小屋だが平日昼間の老若バランスのいい客で、ほぼ満席。
    30年ほど前に書かれた谷口ジローの原作は見たことはないが、舞台から察すると、世紀末に流行った自分探しのテーマのいかにも日本風の話である。
    中学生のころ、父親が突然蒸発し、母親に育てられ一応社会的には安定した立場がある48歳の男が、京都への出張のついでに、ふと故郷の倉吉によってみると、タイムスリップして、中学生時代に戻って、その父親の心情を探る。
    舞台は、大きな白黒の幕や歌舞伎のだんだら幕の色の大きな板などを巧みに使って、幕で切り取った舞台がいかにもマンガの駒割りの様にみせるところなど、細かい工夫がされている。この手で、観客からの視点を、天井から見ている(俳優が寝ているのを上から見る)視点にするところなどはうまいものだ。48歳の今の家庭と、14歳の少年の時の家庭と二つの家族のそれぞれを並行させて舞台は進む。二人の役者が同じ動きでタイムスリップをやって見せたりするのはフランス流合理主義だ。人物解釈もフランス人のセンスで、登場人物はみな幼いころから自立している。その中での父親の蒸発である。舞台からうかがえる原作はもっと、日本的な情感に支えられている父に託した自分探しだろうと思う。
    地球を半分回ったフランスのことだから、違うのが当たり前で、きっと、フランスでは、孤独に育つ子も日本より数多く(それは映画などを見ているとよくわかる)異国の漫画をきっとメルヘンチックに自分たちに引き寄せたのだろう。舞台となる倉吉は中国地方の知名度もそれほど高くない小都市だが、日本の作品だったら、その地域性は外さないだろうし、古い街の独特の家庭環境ももっとリアルになったに違いない。そのどちらが演劇にとって、いいかを言うのは、難しいが、こういうことから国際的な双方の理解が深まるのは長い目で見ていいことだと思う。現に、その感覚の違いを見るだけで、面白く見られた。しかし演劇的にどうかと問われたら、上演されたここ日本の両国では、演劇としてのリアリティが足りない。だから蒸発の理由もただの説明に終わってしまう。
    これは劇団協議会が文化庁と組んでやっている日本の演劇人を育てる会のプロジェクトの一つで、出演者は、文化庁の育成対象者が多い。皆まじめに取り組んでいるが、そしてぼろも出してはいないが、日本人の生活感のある演技や台詞を全く捨てている。それをフランス人の演出者に求めるのは酷と言うものであるが、日本で上演する以上そのへんをどう考えら上でのことかは観客に知らせるべきだろう。先日見た新国立劇場の鳴り物入りのイギリスとの共同開発の戯曲(私の一か月)も、関係者の苦労は十分に察しられるが、最終的に、観客が常に地域を離れられないということについては、さして考慮されてはいなかった。




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  11. 谷口ジロー原作の舞台「遥かな町へ」凱旋公演、スイス人による演出を日本人キャストで(コミックナタリー) https://t.co/OrGX97oYC3 9月の記事ですが、公演日が近付いてきましたので改めて。 #Yahooニュース

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