BOX1 「キリン」 公演情報 BOX1 「キリン」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★★

    elePHANTMoon 風
    旗揚げ公演とのこと。だけれど旗揚げとは思えないしっかりした演技だったと思う。登場するそれぞれのキャラクターはまったく共感できない人たちだ。だけれどそれは、非日常でもなく、非現実的でもない、グレーの空気感が漂っていた。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    大学のサークル室での出来事。ここでの登場人物は7人。序盤、一見、普通そうな大学生たちだったが、ある事件をきっかけに普通じゃない、つまり全員が闇を抱えた大学生に変貌していく。この時点でelePHANTMoon を思い出す。あの時の芝居だって、一人として共感できるキャラクターは居なかった。ここでも同じ。

    宗像の恋人が宗像の目の前で不審な死に方をした経緯から、安田は伊刈に「もしかしたら宗像が殺したんじゃないか?」などと言ったばかりに、伊刈は宗像に告げ口をする。そんな安田を問い詰めるように宗像はドライバーで安田の横腹を刺してしまう。その刹那、どっと流血して気を失って安田は倒れてしまうが、そんな瀕死の安田を目の前にしても、同じサークルの仲間たちは動揺するどころか、表情一つ変えずに普通にしている。

    筧はそんな状況の中、携帯電話で家族と冷静に話しながらも緊迫感は全く感じられない。鼻歌でも歌いそうな感じだ。安田の妹の晶子は死体のように転がってる兄を見て、「こんなのがあるから汚い」と、まるで家畜のように扱う。要するに全員が他人事なのだ。

    交通事故で死んだとされている安部の恋人は宗像だったが、どうやらもう一人の彼の恋人はゲイの安田だったことが解り、宗像は安部の浮気相手だった安田を憎んでいたことも刺した理由の一つだった。一方、宗像を好きな伊刈は宗像の為に部費の50万を使いこんでしまう。だがそのうちの30万は宗像が安部に貢いでしまう。つまり、伊刈は宗像に貢ぎ、宗像は安部に貢ぐ。

    筧は幼いころ事故で神経をやられて痛覚障害になっていた。だから人の痛みも他者から受ける痛みも感じない。そして晶子は幼いころ両親を一度に亡くして記憶喪失になっていた。だけれど母親が編んでくれたマフラーが形見と言って大事にしている傍ら、母親の指を切り落として大事そうに持ち歩いていた。

    それぞれの抱えた闇を解明している、そんな緊迫した状況のなか、軽いノリの小林がノー天気に「安部をひいちゃったのは俺だよ。良くあることだから。」と告る。この告りかたも、なんだか春の日に桜でも見に行ったような緩い言い方なのだ。

    そんな中、部外者の橋村だけが、探偵のようにまとめ役となってこういった状況に陥ったさまをナビ役で明快になぞ解きをしていくのだが、橋村のキャラがひじょうにいい。このキャラはファンタジーなら魔法使いや預言者が良く似合う。しかし、この橋村さえも、人が一人死んだってのにやけに冷静で何事もなかったように退室してしまうのだ。

    どのキャラクターも排他的で責任回避型なのだ。重要な場面でもあまりそんな意識がないのか、深刻さが抜け落ちてる。ひと一人死んだからって、騒ぐことはない。良くあることだから・・・。なんて聞こえてきそうだ。

    終盤の終わり方が、幕を突然降ろされたような幕引きだったけれど、この舞台を観たとき、恐い、と感じた。日常のどこかにこんな感じってあるんじゃないかってマジに思ったからだ。リアルじゃないけど、リアルに思えるこの情景はきっと泣き叫んで憎しみから人を殺す状況より、石につまずいたようにあれ?っと殺してしまう普通さが怖いのだ。


  • 満足度★★

    はあ?
    死を考えるより先に
    演劇を考えろ。

  • 満足度★★★

    改善の余地は多い気がする
    人の死。と言うものに関しては、良く表現しようとはしていた。
    が、登場人物の性格設定が甘い気がする。
    表現したい事が先に立ちすぎて、観客が感情移入し易い現実的対応が、
    芝居上蔑ろにされていたように思われた。
    インパクトは強かった。です。

    ネタバレBOX

    まぁ確かに、左腎臓部分刺されても、太い血管避けていれば。
    そうそうTVドラマみたいに刺しただけで、すぐに死ぬような事は無いですが。
    血糊の出し方はリアルでしたねー。

    各登場人物の表現の仕方が、最初から飛ばしすぎてました。
    小林君の登場みたく、マイペースで普通の学生風に出して。
    喋らせていけばよかったのではないかと思いました。で。
    だんだん、あれっと観客に思わせてズラしていけばよかったのに。
    妹さんと無痛症のお姉さんは、その点うまくやってました。

    さて、途中登場の謎のお姉さん。
    ストーリーテラーとしては必要だったと思われるのですが、
    いかんせん、登場シーンに関しても。正体に関しても。
    説得力が無さ過ぎます。キャラは面白い分、もったいなかったです。

    前半の、いきなりな傷害事件やらテロ話。
    完全においていかれて、呆然と展開見ていましたが。
    阿部君の死の真相やら、ゲイのカミングアウトの話は、
    思いっきり笑えました。ですけど、
    話の引っ張り方や展開の起伏が、もっとバランス良ければ。
    さらに出来が良くなったrと思いますが。いかがなものでしょうか。

    ラストの小林君の鬘とか、謎のお姉さんの正体とか。
    裏の設定いろいろ作ってあったんだろうなぁ。と想像にかたくないのですが。
    ひとつひとつの出来事に対する、個々人の現実的対応(反応)の推敲が、
    不足しすぎて、前半部の話の弛みになったと思うのです。

    伏線の張り方も甘すぎます。
    テロがあるなら、警察車両がなんか集まってるの言葉に加えて。
    声明文の書かれたビラとかもって部屋に入って来させるとか。

    妹の宝物。母の指に関しても。はじめて見た人が、
    いきなり人の指と見抜くことは出来ないと思うけど、どう思います?

    今後の課題。傲慢かましてよかですか?
    テーマは良かった。役者さんもがんばっていた。
    出来事の動機も納得できた。あとは、現実的な各登場人物の対応を、
    観客に納得させる展開が必要と感じます。

  • 満足度★★★★★

    どうしてキリン?
    私の頭では内容と題名が全然結びつかなかったのですが、もしかしたら見てる側の目線かなあ...?

    殺したり殺されたりがあんなふうに日常に入り込んできたら超やだ。後味の悪いストーリーで、登場人物の中で一番まともなのは誰だろうと帰りの電車の中でずっと考えていましたが、今もまだ答えが出ません。

    気分は胃下垂。

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