実演鑑賞
満足度★★★★
1950年代、まだ戦争の傷跡が生々しい東京の下町 台東区・隅田川言問橋のたもとに実在したバタヤ(廃品回収業)部落、アリの街が舞台。物語は、そこで社会奉仕活動を続けた北原怜子(さとこ)さんとポーランド出身のゼノ修道士を中心とした実話を舞台化したもの。今の世に当時の時代背景を描いて、どこまでリアルに伝えることが出来るか。そして描かれているような尊い教えと活動を強く訴えると、宗教への過度な依存といった印象、偏執した啓蒙劇といった捉え方をされる危惧がある。その微妙な感情というか感覚を回避するための観せ方、それが演劇×生演奏×ダンス×歌といったエンターテイメント作品にした理由のように思える。彼女の足跡を忠実に描いた評伝劇、その時代背景は、今の日本におけるコロナ禍、世界に目を向ければ侵攻といった状況に重なる。特に国内では自主自立と共助を強く意識させる内容だ。
公演は約3年の時を経ての再演になるようだが、今 上演する意味は何か。当日パンフに主催挨拶として岩浦さち さん(アリの街実行委員会/自由の翼)が、「再び『戦争がもたらすもの』を考えたり、『現代を生きる私たちの精神的な糧になる何か』を追い求めたりするときに、お客様の『道しるべになるヒント』が落ちているかもしれない」と記している。慈愛に満ちた内容が、どれほど今の社会に伝わるか。28歳で夭折した社会活動家がいたこと、その活動を知ることが出来たこと、その人生について大いに学んだ。
(上演時間1時間30分 途中休憩なし)
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/10/09 (日)
価格3,500円
9日17時開演の千穐楽を拝見(90分)。
2018年6月に同じ浅草九劇で『アリの街のマリアとゼノさん』
2019年7月に北(ほく)とぴあのドームホールで『風の使者ゼノ』
と過去2回も観ているので、アリの街の人々に献身的にその身を捧げ、病に倒れて早逝された”アリの街のマリア”北原怜子(きたはら・さとこ)氏をめぐる一連のストーリーは十分承知しているはずであった。
にもかかわらず、脚本が整理された?のか、今回、改めて…いや、過去2回以上に、自身の不甲斐なさを恥じるとともに、心洗われる思いがした。
その原因の一つと思われるのが、二度目の北原怜子役となる升野紗綾香さん。
久しぶりに拝見する升野さんの表情・声・所作…とりわけ療養先からアリの街に半年ぶりに戻ってみて、自身の役割が他の人間に”奪われていた”ことを知ったあたりのシーンでの、ある意味、聖女ではない・人間らしい葛藤のさまを表現した、魂の演技には強い感銘を受けた。
90分ほどの舞台だったが、ホンマに良いものを”魅”せて頂いた。感謝!
実演鑑賞
満足度★★★★★
生演奏にミュージカル、ダンス、歌と盛りだくさんの楽しいお芝居でした。
アリの街って、はじめて知りました。
そこのマリアさんと神父さんのお話も、感動作でとてもよかったです。
神父さん役の役者さんが、本当に優しくて穏やかで素敵でした。
マリアさん役の役者さんも生き生きしていて魅力的でした。