満足度★★★
装置は使わずにロープ4本のみ
B兵器的な黴によって壊滅的な被害を受けた町を描いたもので内容はワカり辛かったものの、表現方法が非常に面白い。
いろんな催しがあるイベントの中の1作ということもあり装置は使わずにロープ4本のみであれやこれやを時に具体的に(例えば冒頭で十字路だったのが十字架になったりとか、最後はハンギングロープだったりとか)時に抽象的に見せるスタイル。
まっすぐに置いたロープに縦の波を送るなんて「あぁ、そういえば子供の頃やったっけ」なんて懐かしかったなぁ。
満足度★★★★
闇の中に醗酵するもの
究極の環境に置かれた時、人間はどんな行動を取るのだろう。もしも何者かに試されているとしたら?それが姿を現さないとしたら?あまりにも恐ろし過ぎて身震いすることすら忘れてしまいそうだ。本作は、生物兵器の実験台になったとある町の話。人々が恐怖感を抱く隙を与えずに生物兵器を投入したため、人々はただ、崩壊してゆく様を見届ける間も無く息絶えていく。悲しくて、絶望的だ。
蜘蛛の巣に囚われ、身動きのとれない小さな虫のように無力な人間たちの複雑な境地が、妖しく醗酵する黴と艶やかに絡みあう。体をくねらせ宙に舞うように町を泳ぐ黴。心に届くまえに皮膚の上をすべり落ちる言葉。とぎれとぎれの会話。断絶された線路。絶滅する生命体。歩いても歩いても光のない、温かさのかけらもない世界で人間の本能が絶叫する。