満足度★★★
微妙&不思議な感覚‥
舞台はほぼ素舞台(個人的には好感が持てるけど)‥。ところどころ笑いはあるけどコメディというわけでもないのかな。全体的にシニカルな感じ。自分の好みに合うなぁと思える部分もあればそうでない部分もあったりでちょっと微妙で不思議な感覚‥(この劇団の舞台を観るのは初めてだけど、これが「多少婦人」ワールドなのかな?)。
3話目だけ作風がぜんぜん違うなぁと思ったら1、2話目とは作家が別なんだ。3話目は言葉遊びが秀逸で着眼点は面白かったけど、ワンシュチュエーションであの長さはさすがに長いなぁ。でも3話目が一番個性的だった。出来ればもうちょっとくだけた感じにしたほうが、とっつき易く(観やすく)なって良いと思うんだけど。上演時間1時間50分、新鮮な体験だったけど観ててかなり疲れた‥。役者はそれぞれ良かったと思う(特に女優陣)。
満足度★★★
大きな課題を残して・・・
酒井作品短編2作+渡辺作品1作の公演スタイルが定着。
3本立てというのは、往年の宝塚歌劇や歌舞伎の見どり狂言と
同じスタイルで、料金もリーズナブルに設定し、初心者にも観て
もらいやすい狙いがある。
見方を変えれば、それが逃げにもなるわけで、試演会に終わって
しまう危険もはらむ。
旗揚げから観続けてきて、そろそろ問題点も浮き彫りになってきた。
フライヤーにまったくコピーライトがなかったが、HPを見ない人もいるから
もう少し、内容をほのめかす文章がほしい。
今回作品だけに限れば★2つが妥当だと思ったが、キャスティングの妙や
役者の頑張りに1点プラスし、★3つとさせていただいた。
以下、長くなるのでネタバレで。
満足度★★
これで上演するのかあ?
作風の好き嫌いに個人差があることは当然ですが、
こんなに練られていない脚本なのはなぜなのかと疑問。
公演終了なのでネタバレオープンで。
第一話「帰郷のすすめ」
連絡もよこさない姉が2年ぶりに帰ってきたら、両親が
二人の居候を住ませていて頭にきました。という話。
姉の「見ず知らずの他人を住ますなんて解せない」という
気持ちを軸に、追求の会話がコメディ調に進みますが、
「下宿賃貸って、普通に第三者じゃない?」と論点に疑問。
下手に出ていた両親が「親」の気持ちで逆上でもするかと
思って見守ってましたが、そういう事件もなく幕。
シチュエーションコメディというほど、セリフを推敲したような
印象も受けませんでした。なぜウケるのかが不思議でした。
第二話 「無節操にひっくり返る。ならばせめて美しく。」
三話の中では出色の出来。出演者の役回りもはっきりしてます。
これは短編らしくまとめられていて、大変おもしろかったです。
誰でも少しは持ってるマイノリティーへの回避が、増幅していて
素直に想像できる作品。長さもちょうど良かったです。
第三話 「ガネーシャ・トランスポート」
前半の雰囲気は嫌いではなかったのに‥
文字遊びを使うのは、小林賢太郎などが得意としていますが
アイデアはおもしろいものの、この程度の完成度で、どうして
上演してしまったんだろうと、かるく怒りすら覚えました。
絶対に「よし、これで完璧だ」と思ってないはず。思えない。
不自然だし、驚きもないし、巧妙でもないし、中盤gdgdだし。
文字入れ替えがただやりたくてやったのか?と疑ってしまう。
最後もちらかりすぎた話を強制的にきれいに片付けようとする
感じが否めず、この数十分、なに見せてきたの?という感想。
「勢いがあって~」という感想文は、内容には不足を感じたという
婉曲ないい方です。演者さん独り独りはよく練習をしたのだろうと
努力と気持ちが伝わってくるだけに、中身が残念で仕方ないです。
次回作に期待を込めて、少し厳しめに感想させてもらいました。
満足度★★★★
堪能しました
関係性に絡み取られるような家族意識、安心できそうな共感が変質した緊張感、意識下に潜む恐怖、とか 様々なことを想い巡らせることができました。
想像していた以上に観劇パワーを要しましたが、果実は大きかったです。
堪能しました。
満足度★★★★
新感覚の言葉遊び
「かえる」に関するショートストーリ2人、ミドルストーリー1本のオムニバス。
「帰郷のすすめ」は、2年ほど、音信不通だった娘が突然、帰宅(かえる)するところから物語が始まる。久々にかつて自分が使っていた部屋に戻ると、そこには別人の荷物が。その荷物は、娘が突然出て行った寂しさを紛らわせるために、両親が新しい家族として迎え入れた娘と同じ年のころの同居人(赤の他人)の荷物であった。事態を飲み込めずに両親への不振が募るものの、ストレートに思いをぶつけることができずにいる娘、また、十分な説明を行うことができずに娘との距離を測りかねる両親。こ両者をつなぐべ奮闘する妹、そして、KYな同居人。これらのメンバーが織り成すかみ合わない会話の妙。
笑わせたいのか、笑ってほしくないのか、微妙なラインを行き来する演出がとても面白かった。
「無節操にひっくり返る。ならばせめて美しく。」は、5人の一般ユーザーが集まったモニターアンケートで、繰り広げられる女と女の勝負。主催者の意図とはまるっきり別に、モニターアンケート常連の二人の女は、お互いが多数意見を取ろうと、主導権争いを行う。ここでの「かえる」は、オセロのように、意見が「ひっくりかえる」ことにちなんでいる。「帰郷のすすめ」ほどではないものの、会話の妙を感じることができる作品。
「ガネーシャ・トランスポート」は、医療ミスと臓器移植がテーマにした本公演のメイン。「かえる」とは、医療ミスによって、危篤に陥った患者が「生き返る」ことをあらわす。ルイスキャロルのタブレットにヒントを得、臓器移植の是非を巡る倫理観を絡めた、言葉遊びに満ち溢れた脚本は見事の一言。ヒンズー教の、障害を取り去り、財産・幸福をもたらすといわれるガネーシャ神を登場させ、重層的な入れ子状態で展開されるスト-リーは謎解きを含み観客を飽きさせない。
それぞれに、言葉の妙味を味わうことが出来るなかなかよい舞台であった。