夜と森のミュンヒハウゼン【9/20千秋楽】 公演情報 夜と森のミュンヒハウゼン【9/20千秋楽】」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-7件 / 7件中
  • 観劇記録
    かなり古いけど、書きます。

    今でもこの作品を観られたことを幸せに思う。
    ずっとあの空間にいたかった。
    以来、あれほどの演劇を観ていないのではないかと思うほど。
    石村みかさんは非常に繊細で心が細かく揺れるような演技をされていました。
    早船さんの世界観は恐ろしいくらい繊細で、大胆で、震えました。

    以上、観劇記録でした。

  • 満足度★★

    気持ちいい
    劇空間だった。

  • 満足度★★★★

    会場に入った瞬間から物語ははじまっている
    会場に足を踏み入れると、星のホールを森に作り上げてしまった美術に圧倒されました。
    本当に森の中にいる感じ。

    ホールに入って手前側にデザインされた木が立っていて、それを抜けるとテーブルを中心とした舞台と客席が広がります。

    最近星のホールは独特の空間作りをする舞台を沢山見せてくれて、本当に贅沢な空間だなあと感じます。

    ネタバレBOX

    最後の方に怒涛のように明かされているので、最初は単なるファンタジーのように話が進みます。

    森を彷徨う女性が「自称医者」に連れられて、兄妹ふたりだけで森の中に暮らす家を訪れる。
    このファンタジーさが最初受付けず、ちょっと引いてしまいました。
    けど、病気の少女を演じる高畑こと美さんの初々しさと笑顔に引きつけられました。パタパタと家の中を走ると髪がフワっと流れる姿が魅力的で素敵でした。

    物語はコラージュ的に時間も場所もポンポン飛んで、見ているとかなり混乱します。
    でも、最後の最後に明かされる秘密によって、今までのフラストレーションが一気に、気持ちのいいくらいに解明されて、逆に今までの話がスッと消化されていきました。

    10年ほど前に誘拐されてそのまま殺されて森に埋められた少女とその少女に拾われた飼い犬。そしてその森に迷い込んだ元看護師で、不倫の末病院も辞めさせられあてもなく彷徨う女性。

    女性が少女を連れて森を出てゆく。森は焼けてしまう。

    切ないラストにすっかり満足。
    会場から出るときは自分もその森から出てゆく少女と同じ道を歩いて出てゆくという事で、会場の森がまた違った姿に見えるのも印象的。
    そこまで考えて作られた素晴らしい舞台と演出だなあと思いました。

    そして、無邪気で愛らしい妹を好演した高畑こと美さんの今後に注目したいです。
  • 満足度★★★★

    心を刺すファンタジー
    いきなり、ディズニーランドのパビリオンに迷い込んだような雰囲気。
    落ち葉を踏締め、客席に座って、新たな早船ワールドの展開を心待ちしました。
    でも、遅れて来たお客さんはどうなるのかと、ちょっと余計な心配が。

    始まってみたら、すっかり森の住人になった気分で、舞台に集中できましたが、時折、スタッフが装置移動に姿を現すのは、雰囲気を壊した気がします。
    それに、こういう舞台では、あまりリアルな装置や小道具は不向きかもしれません。 
    いつもはあまり説明台詞のない、早船戯曲。今回は、逆に、心情を本人に語らせる台詞が多かったけれど、それはそれで、心に沁みました。

    最後の、銀平さんの台詞に、思わず涙がこぼれました。

  • 満足度★★★★

    童話的
    展開からリアルとの接点は怖い

  • 満足度★★★★

    夜の森は現実逃避のメルヘン
    一見、メルヘン。
    現実を見たくない、現実を直視できない、そんな現実逃避が生んだようなメルヘン。
    メルヘンの皮を被った現実が暗い森のように口を空けていた。

    劇場内に入ったときから、夜の森にのまれていた。

    ネタバレBOX

    客席に案内されて驚いた。なるほど森の中。
    これだけで期待が高まる。

    普段はまずそんなことをしないのだが、タイトルにある「ミュンヒハウゼン」って、「ほら吹き男爵だっけ?」と思いつつ、ちょっとネットで調べてみたら、「ミュンヒハウゼン症候群」なる言葉が出てきた。

    どうやら、病気であることで自分に関心を持ってもらいたいばかりに、より重症であることを装う精神的な疾患のことをいうようだ。

    さらに、「代理ミュンヒハウゼン症候群」というものもあるようで、これは、自分ではなく、自分に近い者、例えば、子どもなどを病気に仕立てて、それを看病する自分に関心を集めるというものらしい(先日観たコマツ企画の「新釈ヴェニスの呆人」がまさにそそういう内容だった)。

    これが頭の片隅にありつつ、この舞台を観たのだが(観ていて途中からそのことを思い出した)、物語そのものが、確かに「ほら吹き男爵」よりも、「(代理)ミュンヒハウゼン症候群」のほうが腑に落ちるエピソードが散りばめられていた。
    そもそも、「ミュンヒハウゼン症候群」は、「病気に関わる事、関わらない事に関係なく独特の世界を作り上げるエピソードを創作する空想虚言癖を伴う事が多い」(Wiki)ということもあるというのだから、より意味深。

    もちろん、その症状そのものが出てくるわけではないのだが、殺されてしまい、そのことを自覚していない妹サキを育てる犬クロは、もともとサキに飼われていたのだが、兄だと言い、さらにサキを病気だと偽り、森から出ないようにしている。
    その行為は、サキを傷つけないように、というよりは、自らの存在価値を妹を世話することで見出しているのであろう。本当ならば、サキを成仏させてあげて、両親のもとに帰してあげなくてはならないのにだ。

    看護士アユミは、不倫相手の子どもを病院で担当している。子どもは、アユミが提案した別の薬により、快方に向かっており、子どもの父親に感謝されている。
    しかし、実は、子どもが完治し、退院してしまうと、子どもの父親、つまり不倫相手と人目をはばからず会える機会がなくなってしまうという矛盾をはらんでいる。
    そこで、子どもの快方に向かう中での、アユミの妊娠も病気ではないのだが、本当なのかどうかが疑われる。

    森では、ホワイトソックスの一見無差別な殺戮が続き、それは、森に住む者同士の疑心暗鬼を生んでいる。

    誰の話が本当なのかわからない。ホワイトソックスの幼少のエピソードは、誰がウソをついているのかわからないし、バニーがホワイトソックスに手紙を書いているのもウソかホントか不明。
    そもそも、手紙によってホワイトソックスが殺して回っていると言ったユニコーンの言葉だって、本当なのかどうかわからない。
    ジュンク堂でバイトをしているキンタが医者であるのはもちろんウソだし、兄と言っている犬も、兄であることはウソ。
    誰が何を考えているのかわからず、そのことが不安を呼ぶ。そして、その不安は、ホワイトソックスという具体的な恐怖で現れてくる。

    暴力に対抗するために、結局、ホワイトソックスごと森を焼くという選択をするのだが、それは、とりもなおさず、ホワイトソックスが殺戮の最終段階として選択していたものと同じだったという皮肉。
    正義の暴力はあり得ないのだ。

    ウソと現実(しかも厳しい)と虚構がないまぜになった夜の森。
    無差別に殺されてしまったサキのエピソードとホワイトソックスによる無差別の殺戮がシンクロしている。
    アユミが不倫相手につかれている「ウソ」も森の中にはたくさんある。

    森は現実社会の鏡なのかもしれない。
    現実逃避のためのメルヘン(森)の役割は終わってしまった。
    役割を果たした森は、焼き払わなければならない。
    それは、サキの解放にもつながる。

    看護士のアユミが、死者の世界でもある森の中に迷い込み、本当は見えないはずの動物たちの姿が、人形(ヒトガタ)に見えるということは、もちろん、アユミにはサキを連れ出す役割があったのだろうが、それよりも「死」に近づいていたことにほかならない。
    妹サキの切なく哀しい現実、後味のよくない現実が、文字通り太陽のもとに晒される。しかし、そのことによって、サキだけでなく、アユミも救われたのだ。

    そうなると、アユミが持つスーツケースの中身が、とても気になる。

    ストーリーとは直接関係ない、個人的な感想なのだが、アユミの演技はうますぎると言うか、きれいにすべてが流れていくように感じた。美人看護士という仕事は十分果たしているのだが、ベタな不倫関係ながら、問題を抱えて、森の中を迷い、本来見えないはずの姿を見てしまうのだから、何かもっと「ひっかかり」のようなものを、その姿に感じたかった。
  • 満足度★★★★

    逆手にとること

    雰囲気作りが秀逸だった。会場に入った途端飲み込まれる。

    会場が、23区外かつ駅からのそこそこの距離という、あまり利便が良いとは言えない立地を逆手にとった作品作りだったように思う。詳しく書くのは避けたい。
    余計な音楽がないのも好み。
    また、作家の文体が独特で、たとえば川上弘美とかの女性作家を思い出させて、いつの間にかそれが心に染み入ってくる。

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