わが町 高円寺 子ども食堂 公演情報 わが町 高円寺 子ども食堂」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2021/11/20 (土) 19:05

     高円寺の町を昔から最近に至るまでをずっと冷静に第三者の目線で見つめる巨木の精を中心に話が進み、そこに高円寺の住民たちが幾人か登場し、最終的に子ども食堂が高円寺の町にできて今に至るまでを、一人ひとりにスポットを当てつつ、全体の歴史の流れもすんなりと伝わってきてわかりやすかった。
     一人親家庭の大変さや、その子どもの孤独、離婚問題、一般家庭における親と子どもとの感覚のズレ、世代間の違いなどを丁寧に、それでいてさり気なく描いていて、そういった社会問題について、改めて真剣に考えさせられた。
     また、料理人だった男がかつて少女に出会ったときに、少女を助けてやれなかったことがきっかけで料理人を辞めているが、その少女が親になり、家が貧困なこともあり、その娘が居場所がなく、孤独に耐えて、イジメに耐えていることを知り、子ども食堂を始めるにあたっての料理人を申し出るに至るまでの物語が印象的で、感動した。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     実践の大切を訴える作品。

    ネタバレBOX

     演技レベルではまだまだ作為が目立つ者が多く中盤迄学芸会のような演技が続くので参った。が、描かれている通り子ども食堂に集う子供たちは、母子家庭、離婚した父子家庭で父は出張が多い為父不在の折は祖父母の家に住み乍ら兄が8歳の妹の面倒を見る日常を強いられている等実際に起きている事例がベースになっており、新聞の社会面でも報じられることが増えたこともあって大体の様子は聞き及んでいる方も多かろう。だがこのような困難を背負う子供達に具体的な支援策を講じ、実施する大人の数は決して多くはあるまい。そうしたくても出来ない大人も多かろう。マジョリティーの相当部分の人々が生きることに必死な階層に落ち込む傾向が続いているからである。こういった事情から今作で描かれているように子供という社会的弱者に皺寄せが来る。
     この劇団の作品は初めて拝見したが、今挙げたような問題に気付き、具体的に助け船を出す必要を感じ、実践して行ける人々の念を今作で訴えていると感じる。その真摯な姿勢が、多くは貧困に起因する困難な問題群が、日常生活に食い込んでくる様をキチンと認識させ今作を描き上演させたのであろう。中盤から閉まってきた。この優しさと演劇的実践に敬意を表し☆4つ。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    これは面白い。休憩無しの三幕。第一幕は1989年(平成元年)、第二幕は2014年、第三幕は2020年。
    言う事を聞かない犬と散歩する坂口さん役の大村敏氏がこの劇団のシンボルキャラクターで、綱だけを手に持ち右往左往してみせる。下手で生演奏の尼理愛子さん。薩摩琵琶と鳴り物となっているが、見たこともない寸胴鍋のような物を奏で続けている。見事に不思議な空間を醸成。
    井上秋音さんが桃園川の河童として、この世界(高円寺界隈)のガイドを務める。語られるのはゲーム好きの少年一家と、かなりドギツい母親に追い詰められている少女の一家。母親に罵倒され続ける少女役、池田愛花さんは薄幸そうで嵌り役。
    第二幕になると、河童は清水のりこさんに交代。それぞれの一家のその後が語られる。芸歴64年の林与一氏がさすらいの天才料理人として登場。林与一氏は一人語りのオチで「なーんだ、ここは大根畑かよ。」とメタギャグ。その林氏と大村敏氏の対決を密かに心待ちしていたのだが叶わず。更に第三幕は誰も予想がつかない展開に。構成は無茶苦茶なのだが、筋の通った思索に感心。ソーントン・ワイルダーなんか何の関係もないだろう。イカれているがこれはアリ。
    会場で開催されている展覧会も良かった。出演者でもある武蔵氏のアクリル絵画や五味岩夫氏の水彩画、村山理世氏の写真展。是非足を運んで頂きたい。

    ネタバレBOX

    第三幕は墓場。登場人物の半数が死者として墓に立ち尽くす。高齢出産で亡くなった藤井れおなさんが人間世界を覗きに行く。余りにも人間世界の時間の流れが速すぎて茫然としてしまう。こんな流れの中で自分はぼんやり生きていたのか?と世界の真実に気付いてしまう。無力感に打ちのめされて墓に戻ると深夜一時、旦那が「これからどうしていいか分からない。」と泣きじゃくっている。何の解答もない素晴らしい演出。
    「子ども食堂」は余り印象に残らなかった。

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