わが町 高円寺 子ども食堂 公演情報 演劇なかま高円寺「わが町 高円寺 子ども食堂」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    これは面白い。休憩無しの三幕。第一幕は1989年(平成元年)、第二幕は2014年、第三幕は2020年。
    言う事を聞かない犬と散歩する坂口さん役の大村敏氏がこの劇団のシンボルキャラクターで、綱だけを手に持ち右往左往してみせる。下手で生演奏の尼理愛子さん。薩摩琵琶と鳴り物となっているが、見たこともない寸胴鍋のような物を奏で続けている。見事に不思議な空間を醸成。
    井上秋音さんが桃園川の河童として、この世界(高円寺界隈)のガイドを務める。語られるのはゲーム好きの少年一家と、かなりドギツい母親に追い詰められている少女の一家。母親に罵倒され続ける少女役、池田愛花さんは薄幸そうで嵌り役。
    第二幕になると、河童は清水のりこさんに交代。それぞれの一家のその後が語られる。芸歴64年の林与一氏がさすらいの天才料理人として登場。林与一氏は一人語りのオチで「なーんだ、ここは大根畑かよ。」とメタギャグ。その林氏と大村敏氏の対決を密かに心待ちしていたのだが叶わず。更に第三幕は誰も予想がつかない展開に。構成は無茶苦茶なのだが、筋の通った思索に感心。ソーントン・ワイルダーなんか何の関係もないだろう。イカれているがこれはアリ。
    会場で開催されている展覧会も良かった。出演者でもある武蔵氏のアクリル絵画や五味岩夫氏の水彩画、村山理世氏の写真展。是非足を運んで頂きたい。

    ネタバレBOX

    第三幕は墓場。登場人物の半数が死者として墓に立ち尽くす。高齢出産で亡くなった藤井れおなさんが人間世界を覗きに行く。余りにも人間世界の時間の流れが速すぎて茫然としてしまう。こんな流れの中で自分はぼんやり生きていたのか?と世界の真実に気付いてしまう。無力感に打ちのめされて墓に戻ると深夜一時、旦那が「これからどうしていいか分からない。」と泣きじゃくっている。何の解答もない素晴らしい演出。
    「子ども食堂」は余り印象に残らなかった。

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    2021/11/20 23:20

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