公演情報
「気骨の判決」の観てきた!クチコミ一覧
実演鑑賞
満足度★★★★
翼賛選挙で非翼賛議員への選挙妨害の訴えを認めて、1945年3月に選挙無効、やり直しの大審院判決を出した吉田久の物語。裁判所と、吉田の家と、鹿児島の出張尋問の場面で構成。東條英機が音頭を取る翼賛選挙に、異議を挟もうという吉田に、さまざまな嫌がらせがくる。息子には赤紙、本人には尾行監視、家は「非国民」と攻撃され、家族は配給でも差別を受ける。
5人の裁判官の合議内容など不明な点が多い史実を、ドラマチックに脚色して、大変感動的な心に響く舞台だった。
保身のため選挙有効を主張した陪審判事が、妻に「今の姿を息子に見せられますか」私たちができるのは、病気と戦う息子に「希望を教えること。私は息子には希望を教わったんです。今度は私たちの番です」と言われて、自らを振り返る。
(竹内一郎の盟友平石耕一の「センポ・スギハアラ」にも、子どもに親の生き方を示すという場面があった)
「青臭い理想」にいつまでしがみつくんだ、というセリフがあるが、吉田の青臭さを恐れずに、堂々と貫く姿が胸に染みる。希望と、理想が、巨大な力の理不尽に屈しない。
雑用係から苦学して判事になった吉田の、「法律とは、弱いものに希望を与えるものだ」という言葉が胸を打った。
吉田役の川口啓史が、ゆっくりとあわてない静かな演技で、信念の人を好演していた
実演鑑賞
満足度★★★★
オフィスW観劇は3回目だろうか。劇としての進行の独特さ、というか場面を構成する各演技がジグソーのパーツを当てたような独特な間合いが毎回不思議なのだが(はっきり言えばたどたどしい)、今回もそれは変わらぬながら、テキストの力を感じた。題材(原典)の良さもありそうだが、日高哲英氏の劇伴も心なし「気」が入ってる(?)と感じられ、不覚にも胸に来る瞬間があった。
パンフの竹内一郎氏の文章によると同作品は俳優座に書き下され(2013上演)、その後今回を含めて2度再演されたが、そのいずれも脚色ないし演出が変っているという。状況により力点の置かれ方が異なり、今回はテキストは前回とほぼ変わらぬが作りは全く違うと書かれている。その言葉だけではどこがどうとは判らないが、この舞台の感動は芝居が「今」という時間に干渉している証左。史実の人、吉田久判事役には、俳優座初演では演出を担った川口啓史氏。風貌、声ともに、ひたすら法に誠実に仕えた一徹者の「らしさ」を備えて舞台を締めていた。