実演鑑賞
満足度★★★★
オフィスW観劇は3回目だろうか。劇としての進行の独特さ、というか場面を構成する各演技がジグソーのパーツを当てたような独特な間合いが毎回不思議なのだが(はっきり言えばたどたどしい)、今回もそれは変わらぬながら、テキストの力を感じた。題材(原典)の良さもありそうだが、日高哲英氏の劇伴も心なし「気」が入ってる(?)と感じられ、不覚にも胸に来る瞬間があった。
パンフの竹内一郎氏の文章によると同作品は俳優座に書き下され(2013上演)、その後今回を含めて2度再演されたが、そのいずれも脚色ないし演出が変っているという。状況により力点の置かれ方が異なり、今回はテキストは前回とほぼ変わらぬが作りは全く違うと書かれている。その言葉だけではどこがどうとは判らないが、この舞台の感動は芝居が「今」という時間に干渉している証左。史実の人、吉田久判事役には、俳優座初演では演出を担った川口啓史氏。風貌、声ともに、ひたすら法に誠実に仕えた一徹者の「らしさ」を備えて舞台を締めていた。