ぞうれっしゃがやってきた 公演情報 ぞうれっしゃがやってきた」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    パリッと明快で判りやすい舞台。でもって繊細な感覚を織り込んでいる。
    子どもに届ける、という要素は青☆組の志向に合致する所があり、舞台表現の質をぐっと引き上げたに見えた。特に、、汽車ぽっぽの振りは秀逸で動き一つ一つは平易だが気味がよい。覚えたくなる。
    笑みに包んだ悲しみに嘘が見えないシチュエーションと題材ではあるが(福寿奈央の本領でもあるが)、日常と非日常の中で双方向的な交流が可能な波長でもあり。
    擬人化された物語なのだが、象という動物の知性、神秘性を思わされる。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    ドヴォルザークの「新世界より」第2楽章のメロディに詞を付けた『遠き山に日は落ちて(家路)』を始め、「新世界より」の曲が印象に残る。沢山の唱歌、リズミカルな振り付けや打楽器が愉しげで、口笛やオノマトペが効果的。9名の役者は列車になり、象になり、子供達に兵隊に空襲にと变化(へんげ)していく。このメンバーの強みは普遍的な話が出来ること。子供を対象に物語を伝えようとする場合、かなりの技量が必要とされる。

    昭和24年、日本にいる象は名古屋の東山動物園のエルドとマカニー、二頭のみであった。東京の中学生の少女が、妹に本物の象を見せてあげたいと手紙を書いたことから、子供達に象を見せる為の列車、ぞうれっしゃが走ることとなる。
    少女は戦前に父親と上野動物園で象を見たことがあった。父と二人きりで出掛けた唯一の想い出。その父は徴兵され出征したまま帰ることはなく。
    走るぞうれっしゃの中、妹に知る限りの象の話を聴かせる少女。昭和12年、木下サーカスから東山動物園にやって来た象は四頭いた。

    主人公の少女とエルドを演ずる福寿奈央(ふくじゅなお)さんが素晴らしい。全身を使っての表現で視覚的に飽きさせない。汗だくの熱演。役者のレベルが総じて高い為、何時の間にか妙な親近感を覚えていく。
    「銀河鉄道の夜」を思わせるぞうれっしゃの旅、上野を出発して名古屋の東山動物園で象に会うまでの短い間に、少女や観客は「ほんとうの幸い」を見つけることが出来るのだろうか?

    ネタバレBOX

    多分加筆部分なのだろうが、鼠一家の話から虎の兄弟の亡霊の話などに違和感を感じた。語るべきは徴兵された飼育係や父親の行く末、象達や姉妹の淡々とした日常風景の積み重ね。二頭の象と姉妹との邂逅(同一人物が演じている為、物理的には不可能だが)こそがこの物語の目的地なのだ。

    本物の象を見ることが子供の夢になれた時代。戦争(強大な暴力)に屈服させられ支配されていく個々の自由。ただただひたすらに無力で時が過ぎるのをじっと堪らえて待つだけ。唯一、ぞうれっしゃに現れた死んだ父が「会いたい時にはいつだって会える」と主人公に伝える場面が仄かに希望と灯る。心で思い描き記憶から紡ぎ出せたのなら、例えそれが妄想だったとしても充分にまた逢うことが出来る。この、ぞうれっしゃのお話も遠い遠い昔の誰かの記憶を想像力のバトンで手渡したものなのだから。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    #ぞうれっしゃがやってきた #青☆組
    主宰の #吉田小夏 さんの人柄が滲む「子供たちにも見せる」演劇。あうるすぽっとで上演された「モモ」もそうだ。今作は、動物を入口にして、戦争の愚かさを考える道が未来へとつながっている。そうした、作品の持つ価値や意義をよく理解したキャストが、子どもたちを作品の世界へ誘い、大人たちをノスタルジーと共に、未来に平和を届けることを決意させる。子どもたちにとって「演劇って楽しいね」だけにとどまらない豊かな出会いになっているに違いない。
    劇団員のみなさんの笑顔に、毎公演、日常の営みでくすんでしまった心の目が洗われる。今作は、お尻にまわした左人差し指から伝わる感情にウキウキと涙した。山下飼育員の #大石丈太郎 さんの声にうっとりした。歌やダンスはもちろん、カンパニーへの #清水ゆり さんの融合を感じる。
    象の恋も、人間の恋も、美しく切ない。
    セットの壁が、横向きの象2頭にも、正面を向いた1頭の象にも見えたのは自分だけだろうか。

    ※振付も演出の吉田小夏さんと知り、修正加筆いたしました。失礼いたしました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    2年前の短編上演も興味があったけど、そのときは「親子のためのおしばい」として上演されていたので遠慮してしまった。今回の長編版は約90分。青☆組の吉田小夏さんらしい丁寧な作りで、不覚にも序盤から何度かうるうる。

    ネタバレBOX

    童謡の『汽車ぽっぽ』が、元々『兵隊さんの汽車』という出征兵士を見送る歌詞で作られたもので、戦後に作詞者の富原薫によって現在の題名と歌詞に改められたものだというのは、恥ずかしながら今回初めて知った。

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  1. 観てきた!に素敵なご感想をいただきました!ありがとうございました。ちなみに、今回のダンスシーンの振付師は演出の吉田小夏本人です。>公益財団法人武蔵野文化事業団 吉祥寺シアター「ぞうれっしゃがやってきた」08/07(土)~08/11… https://t.co/HnC0mS8CC2

    2年以上前

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