JACROW#30『鋼の糸』 公演情報 JACROW#30『鋼の糸』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-8件 / 8件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    現代日本経済史を踏まえ、時流に翻弄される企業ならびに人々を描いて巧み。会社員(どころか会社合併も(!))経験がある身としてそこまで極端ではないにせよ「あったあった」な出来事や「いたいた」な人物が続々出てきて身近に感じるったらありゃあしない(爆)。
    それでありながらユーモアも交えて娯楽性も持たせるのはJACROWの真骨頂。
    ところで時々昭和の政治家たちがいるような気がしたのはσ(^-^) だけか?(笑)
    なお、当日パンフレットの登場人物の名前からピンとくるものがあったが、終演後に改めてネット検索したら事前に気付いた3人以外の名前も「ソレ」に関連しており「そういうことか♪」と得心。

  • 映像鑑賞

    前回の田中角栄をテーマにした作品から続いて観劇。
    工場が好きなのもあってか、バブル期の鉄鋼産業、新日鐵や川崎製鉄など少しは知っているので色々と思いを馳せました。こないだまでもあったはずの飲みニケーションが、コロナ禍で昭和くらい昔のものにも思えてしまいました。
    今回は配信で見ましたが、良くも悪くもやはり観劇は劇場がいいと実感。

    ネタバレBOX

    上手い役者や時代の濃さはあったけれど、予算や時間など注ぎ込んできたものは前回の方が凄みがあったので、パワー不足も自分は感じてしまった。配信だからというのも理由の一つかも知れず、劇場の空気に触れていればまた違っただろう。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    同じ劇団、というか同じ作家の企業物はいくつも見たが、ワンパターンにならず、一作一作特徴があって異なることに感嘆する。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2021/06/01 (火) 14:00

    座席1階

    田中角栄など自民党政治家の栄枯盛衰を描いた作品など、社会派劇で名高いジャクローが、今度は企業合併や出世競争だけでなく、働き方改革まで取り込んで、見ごたえのある2時間にまとめた。

    昭和から平成にかけて、右肩上がりの経済成長とバブル崩壊、その後の長期不況という歴史の中で、日本企業は様々な姿を見せてきた。「出世争いは企業の活力」というセリフも出てくるが、今も基本的には変わっていない男社会の感覚かもしれない。
    その競争社会では、「24時間働けますか」という、ジャパニーズビジネスマンをたたえるような流行歌に乗せて、栄養ドリンクが売れまくった。それが時を経て令和の世となり、残業などもってのほか、ワークライフバランスという印籠でもってして働き方をお上が中心になって変えようとしている。働く女性たちも男性とともに世の中を支える時代なのだから、男社会の感覚はお上に言われなくても払拭しなければならない。私見だが、この舞台はそうした時代の変化への対応にあえて真正面から取り組まず、バブルのころに入った新入社員の出世や人生を中心に置いて描き、昭和・平成時代の企業社会を生き抜いた観客の共感を得ている。

    ライバルに勝つ営業成績を上げろという経営陣と、働き方改革だから残業はさせられないという所属長の板挟みになって咆哮する役員手前の部長が悲しい。「クライエントの秘密情報を取ってこい、それが営業成績向上の決め手だ」との𠮟責は、それが会社のためであり、自分のためであるという彼らの共通認識である。そういう昭和・平成の企業戦士の常識が、部下である所属長の抵抗によって打ち砕かれる。もちろん、所属長たちはその常識を分かっているのだが、自分の立場上、部下を残業させてまでその仕事を命ずるわけにはいかない。それこそ、部下の離反を招くどころか責任を問われることになろう。部下をがっつり働かせてなんぼの世界は終わり、部下をうまく休ませるのが優秀な管理職なのだ。

    この舞台でも「じゃあどうすればいいのか」という答えは出ていない。会社の経営陣は「働き方改革の中で、成績を上げるやり方に知恵を絞れ」と言う。だが、その経営メンバーは24時間働くような従来のやり方で成績を上げてのし上がってきた連中だ。答えなど持っているはずはない。知恵を絞れという号令は無責任そのものであり、できもしないことを部下に押し付けている最悪の上層部である。「やればできる」という精神論で前線の兵士を破滅に追い込んだ旧日本軍の精神構造と全く同じである。
    非常に面白い舞台だった。が、欲を言えば、そこまでつっこんでほしかった。

    ネタバレBOX

    上にも書いたが、前作で出色だった田中角栄役の狩野和馬のイメージが強烈で、それが色濃く残っている自分にとっては、角さんがサラリーマンの出世競争をしている、という感じにどうしても見えてしまう。田中角栄が抜けないのだ。そのイメージを一生懸命わきに押しやりながら舞台に没頭するのは疲れてしまった(笑)
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    体育会系営業部の千葉鉄と、自由闊達(という名のぬるま湯)のFSS営業部が、鉄鋼再編で合併し、それぞれの社員が、昇進と左遷、天国と地獄、をみていく。社内の派閥の絆=しがらみや、出世競争、腹のさぐりあいと意地の張り合いは、誰もがどこかで見に覚えのあることなので、身近に感じられる。だからあまり説明がいらない。そこで2つの営業部の社風の違い、ミナト自動車の仏資本参加入りとコストカッター社長の赴任、2つの鉄鋼会社の業績の逆転から、対等という名の吸収合併など、どんどん話が進んでも十分ついていける。上司と部下の浪花節的絆と切り捨て、その逆転と、波乱万丈の会社員人生の悲喜こもごもを楽しく見られた。

    結果を出すために頑張るのか、働き方改革で無理はしないのかの対立も、結果がすべての男社会で、当然残業覚悟でやると思ったら、あに図らんやワークライフバランスの主張が優勢。私は寂しい気がした。古いわけではない、やっぱり成果を出すために脇目もふらず突っ走ることに生きがいを感じると思うのだ。

    一緒にみた女性は(結構キャリアウーマンなのだが)「完全に男社会の話でへどがでそうだった」と。それだけ芝居がリアルだったということで、これは褒め言葉です。ひさびさの男のロマン全開の浪花節的ビジネスドラマ。2時間、満喫しました。

    舞台の奥に、素通しで見られる廊下を作って、部屋を出ていくときに底を歩きながらの姿が見えるのは、非常に効果的だった。部屋の外での素顔や、焦り、諸々の感情を付け加えて、まさに舞台に奥行きを与えた。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    昭和・バブル期(1980年代半ば)から平成(2019年頃)にかけての約35年間のビジネス史を、ある合併企業内の出世競争を通して描いた骨太作品。合併するまでのダイナミックな過程はサラッと流し、拮抗していたライバル会社で働いていた人々との出世競争(勢力争い)、及び現代の労働環境の変化、時代状況や社会事情に翻弄されるサラリーマンの悲喜交々を描く。もっとも悲哀がほうが前面に出ていたが。
    何となく自分が働いていた(現在も進行形だが)時期に重なるので、懐古的な気分で観劇。ただ、合併後の組織内という観点が、物語の世界観を小さくしているような気がした。
    ちなみに「鋼の糸」とは、実に含蓄あるタイトル。観劇しないとその意図が解らない。
    (上演時間2時間 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、正面に回転式の木扉のようなものが並び、その奥に通(透)し通路らしきもの。上手・下手側にそれぞれ長テーブルとOA椅子が数脚あるのみ。場面転換に応じて動かし、それによって情景や状況を立体的に構築していく。作り込まない造作によって素早い変化が可能になり、物語のテンポも安定しており心地良い。

    梗概…千葉製鉄と富士鋼管というライバル会社がグローバル化に対応するため合併する。同規模の企業であれば、合併後の役員を含めたポスト争いは苛烈であろう。企業体質が違えば色々な面で不整合が生じる。組織内の不協和音は人間関係から生じていることを浮き彫りにする。学閥・派閥(ここでは大学ラグビー部の先輩後輩)等を絡め抜き差しならぬ状況を丁寧に描く。人事の思惑がサラリーマン人生に大きな影響を及ぼす。80年代は残業(サービスも含め)は当たり前、過労死という見出し新聞もよく見た。物語は営業部門を中心に描いているため、過剰接待・カラ出張等、世相を反映した出来事を巧みに取り入れる。
    しかし、時代を経て長時間勤務の見直し、それに伴いコンプラやワンオーワンミーティングといった台詞が出ることによって、政府主導の”働き方改革“をイメージさせる状況へ。時代状況の変化は、労働環境(働き方)の変化に繋がり、昔(少なくともバブル期)流の働き方は通用しなくなる。そして人の意識(終身雇用)も変化し起業家する動きも見える。しかし企業の利潤追求は変わらず、目標・計画達成には残業せず業績を上げること。一層の効率至上と成果主義の両方を求める。物語は、中間管理職ポスト=その立場が人を形成するかのようで、上司の命令・部下の具申の板挟みで苦悩する姿を滑稽に描き出す。少しホッとさせるのは、上司・部下の間で部下の手柄は上司のもの、上司の不始末は部下へ押し付け というシーンはなく、全て上司が責任を負うという潔さがあったこと。

    物語は、組織内の観点で描いているため、端的に言えば出世を目指す男たちの物語になっている。だから計略、嫉妬、世辞、卑屈、憎悪が渦巻き、そして不倫も…。しかし、内部の出世競争とは別に顧客(外部・第三者)観点で描くことで、もう少しダイナミックな展開ができたと思う。組織内における人間関係や出世競争に焦点を絞ったほうが、濃密に描けるかもしれないが、内輪話に終始するのではないか。せっかく社内ではSWOT(スウォット)分析を行うこと、さらに業務提携や資本提携といった台詞で顧客との関わりを持てるシーンを提供しているだけに残念だった。

    もう1つ、登場人物の出世競争は男性が中心。確かに女優陣は3人と少ないが、男の出世競争の中で翻弄されながらも、それでも今の時代を反映するような活躍の場(辛うじて起業家を選択)があってもよかった。働き方改革は女性活躍推進と密接に関わるのだから。
    ラストシーン…サラリーマンとは? という問いに「笑えないピエロ」と答える。ほんとうに笑えない喜劇であった。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2021/05/27 (木) 19:00

    企業を舞台とした劇作に味を出すJACROWの新作。シンプルに面白かった。
     2つの鉄鋼会社が合併して一つになるという物語を、30年に渡って描く。その中で、両社の社員たちを取り巻くさまざまなエピソードで展開される群像劇で、企業勤めをしたことがない私でも、こういうことってあるんだろうな、と思わせるストーリーが面白い。役者陣もJACROW劇団員と慣れた客演陣でしっかり演じ、安定の味。終盤の展開、特にエンディングが味わい深い。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2021/05/26 (水) 19:00

    初ビジネス劇、かなり楽しめた。直接的な理由ではないがこのままだと出世や社内政治にとらわれる職業人人生になるかもしれない危機感が心の片隅にありつつ転職が決まっている絶好のタイミングでの観劇になった。

    現職のわりと新しい価値観で合理的かつ成果主義な環境しか知らない自分には、舞台の世界がファンタジーに見えるくらい遠い世界に見えたけれど、一部通じるところもある。これからどこを向いて仕事に取り組みたいのか、改めて気持ちが高まった。

    ビジネスという身近な題材だけに、登場人物一人一人の状況や心情を自分の職場の人達にも重ね合わせながら観るのが楽しい。

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