公演情報
「The last night recipe」の観てきた!クチコミ一覧
満足度★★★
本当にしっかりと創られた世界と物語
喪失から始まって、何かを得ていってるようで元々無いものは何も埋めることもできない
現れる場面がどんどん心に重なって、人が心の中に生きてきて
確かにそこにその人はいて
きっと喪失させてしまう僕は何かを残せるだろうかと
満足度★★★★
鑑賞日2020/10/30 (金)
イラッとしましたね。何だかね、都合よすぎるというか。でもねそんなものなんですよね、人生きっと。何がなんだかな要因が芋づる式に釣れてくる。演劇だからね。うん。演劇なんだね。観ていて色んな感情が渦巻き涙もこぼれました。きっとハッピーエンドだね…n
満足度★★★★
この日高円寺駅に総武線しか停まらぬとは知らず、走ったが冒頭3分見逃した。帰宅後台本で確認。演出は分からないが恐らく、この作家(+演出)は気の利いた会話としてこの始まりの夫婦の会話を提示したろうと推理。そうなると私の目が追ったこの芝居の相貌が変わって来るような来ないような。。私の観劇後の感想は、「足を滑らすとどちらかへ滑落する切り立った尾根を行く」劇をよく書いたな...というもの。
突如、彼女(ヨリ)は死ぬ。それを告げられた母、母からそれ聴いた父の戸惑い。暗転し、ドラマは時を遡る。暗転を挟んで時系列的には順不同の場面が淡々と連なり、徐々に出来事の展開順序が分ってくる。そして謎の幾つかが黒い斑点のように点在する一枚の絵となって行く。そしてその黒の部分に何が隠れているかによって全貌が変わって見えてくる。最後にそれは「見える」のか・・そこが微妙である。冒頭3分を見返したのはそのためだ。この芝居をミステリーとして観たのである。
この物語のミステリーたるポイントは、急死したヨリの死因で、もっと狭めれば年下の夫である男が殺したのではないか、という疑念だ。そうではないという判断材料も積み上がるかに見えるが、男は最後に嘘をつく。彼女が死んだ夜、3月3日の彼女の(夕飯紹介の)ブログには彼が死ぬほど嫌いな(だが彼には最も縁の深い)ラーメンを食べた、とアップされた(3月3日がそれを食した日付なのか単にアップした日付で・・というあたりが不明(ここが不明である事は話をややこしくするので作者は単に注意がここに及ばなかっただけ、との推測もできるのだが)。
だがラーメンには曰くがあり、彼の祖父が原因不明の死を遂げた、という男の家族史の一つの証言がそこだけあって、その死に関わったと仮にすれば男かその父かしかおらず、疑惑は残る。そしてラーメン屋を続け、息子を仕込みや皿洗いの手元で使い、毎日ラーメンしか食わせていない、という父親の虐待疑惑がこの珍事のそもそもの始まりなのだが、「人は殺さない」と観客にも分かる父を消去法で除けば孫である男が浮かび上がる。
死んだ女はルポライターを目指す雑誌記事や雑文を書くライターだった。新ワクチンの治験レポートを書く依頼を受け、ワクチンを打ったその夜に突然死をする。ここから、彼女と懇意であった先輩ライターが薬害の線を追うことを決意するが、これを告げた相手、ヨリの元カレでコンサルティング会社の社長は薬害の可能性を否定する。私にはこれは彼が新薬を扱う会社が顧客である事からの利害から言っているとは見えず(この記者とはきちんと議論をする相手として描かれているので)、薬害追及がそう甘くない現実を告げていると見た。が、先輩記者はかつてヨリが訪れた郊外のラーメン屋を訪れ、取材を始める。
この店のマスターが店を手伝う息子に虐待を加えていると確信したヨリが、父のいない時間を狙って取材を続ける中、あるやり取りがきっかけで、何とヨリは男に結婚を申し出るのである。もう一つの謎があるとすれば、このヨリの決断、又は彼女の人格についてだろう。
私はヨリがある種の発達障害を想定して描かれていると感じたが、この「取材対象と住む方が早い」「早く本を出したい」と利己的な言葉を平然と相手に投げるヨリと、男との内的なコミュニケーション、そして男の内部で起きていた感情、考えに暗い影が落ちている、そんな風景を見るのである。
ヨリが取材対象に投げる質問、求める答えが返ってこない苛立ちを相手にぶつける取材のやり方・・彼女が尊敬する先輩記者(若いころカンボジアに滞在してルポを書き話題になった)を形だけ模倣する姿が、その先輩記者が彼女と同じくラーメン屋を訪れた時の取材姿勢と比べ、いかに稚拙だったかが痛恨に浮き彫りとなる。
そんな「痛い」彼女は(文章はうまいがルポとなると)ある種の人間性、普通の感情や感覚をもっているかが問われるのだが、彼女は到底その「普通」に辿り着く気配がない。。と見える。だが、終盤で現れる夫との会話の場面では、彼女が自分なりに壁にぶつかり、その結果考えた結論を夫に告げ、「ゆっくりやってこうと思うてる」、と言う。男の方は「折り入っての話」と聞いて自分が離婚を言い渡されるのでは、と恐れたがそうではなかったと安堵する。これが式も挙げずに行った結婚一周年の会話で、その1か月後に彼女は死ぬ。
ところで最後の夜のレシピが、実は「チラシずしでした。3月3日だったんで」と、男は先輩記者に告げる。作劇上は、先輩記者が男に対して抱いている何等かの疑いを晴らす意味を持ったが、芝居も大詰めの場面で、ブログを読む時に登場する「声」だけのヨリは3月3日、ラーメンを食べた。やっと彼が作ってくれた・・と綴られた文を読む。やはり、最後に食べたのはラーメンだった・・というのが殺人への疑惑を抱いていた観客にとってはその仄めかしになるのである。
それでも男は、この「何を考えとんのか父親の俺にもさっぱり分からん」と父(役の緒方晋)に言わしめる男が、彼女との生活を「よき日々」として思い出すように、独白する。「初めてブログを見たら、びっくりした。あったんや、と思った。」「何が?」 「確かにここには生活があったんやて。毎日365日、食べて、食べて、暮らしてたんや・・(みたいな台詞)」。
彼女は人を「利用」し、それを指摘されれば不機嫌になり、単純な技術的なアドバイスさえも、他人の忠告は聞かない、そういう人物である。だがそれでも「精一杯生きてる」と、見る眼差しを、彼女が死んだ今、男はもっている。だが「現在形」であった当時、男は別の感情にも支配されなかっただろうか。。
人にはさまざまな側面があり、様々に欠陥を持つ。だが人は人を欲し、利己的な理由であれ必要とし、否応でも繋がらざるを得ない。ヨリは元より限界を抱え、男はそのヨリに対する自分のあり方に限界を覚えた。そして今男は死せる「彼だけの彼女」と繋がり、50年後には誰も思い出さなくなる対象へ、特別な思いを寄せる一人である。その確信を彼は語っているようにも見える。ヨリ以上に男の人格もブラックボックス。いろんな想像を掻き立てる。
もう一つには、台詞では一言も触れられないお金の事。ブログの中身がますます貧相になる、とのブログ評価はあるが。男を自分が食わせて行くと約束し、周囲にも宣言した彼女の食生活は収入のために細り、その結果ワクチン治験にまで手を出す事になった・・。この事に考えが及びそうにもなるが、彼女の突拍子の無い言動は、この感傷を吹き飛ばす。
実演鑑賞
満足度★★★
iakuの作品は好きなものが多く期待して観劇。
ただ、今回は少し気になる部分を乗り越える事ができず、
ずっと終盤まで引っかかってしまいました。
全体的に重くずっしりした感じは伝わるのですが、
よりの行動心理が理解できず、観客として置いていかれた感じがした。
確かに偽装結婚などドラマで流行ったので全くありえないことだとは思いませんが、
やはり自分の中ではありえない…、もっと別の方法を取るべきでは?という考えが
浮かんでしまい違和感をずっと引きずってしまった。
その行動を変の一言で済ませるのは、ちょっと…。
チラシの内容と実際の公演で内容が少し変わっていたようにも思えた。
実演鑑賞
満足度★★★★★
コロナで徹底した取材が出来ないから仕方なかったを、素直に受け入れるしかないお芝居でした。
ただひたすら長い時間を耐える観劇。虚しい芝居観劇続きの連敗ストッパーのつもりで観に行ったのに、まさかこの作家さんで連敗重ねるとは・・
さすがにこの前の芝居みたいに、いびきかいて寝てるのは周りにはいなかったが、空気入れ替えの10分間休息での場内のドヨンと感は半端なかった。あそこで終演してもなんら問題なかったのでは、てなくらいつまらない話だった。
この前の芝居もだったが、無理矢理な設定は受け入れて観るにしても、まず初めに、つつましく支え合う感動のラストシーンありきから物語作るからこんなんなっちゃうのか。
テレビドラマなどの映像で箸休め的な風景カット入れながら展開していくならそれなりに楽しめる物語なんだが、芝居ではこの手の物語が成立しないのは何故なんだろう。
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滅多に悪口書ける理由が思いつかない優れた作家さんなんで、この際ついでにもう少し書いとく。
時間置いたらおさまった。たかだ芝居。それなりに芝居見過ぎて、いつの間にかコレクター感覚で芝居に精度求めるのは良くないなって思った。ハズレも一興。ハズレも楽しめる余裕をもたねば。
ただ最近ハズレが多くて多くて多くて・・・・・・イカンイカンイカン!!!
満足度★★★★
ここ数年、見るたびに期待を裏切られなかったiaku横山拓也の新作。市松客席での公演だが満席。もう入れてもいいじゃないか。当日券なしでは客いじめも極まれりである。
今回は突如内容を、コロナものに変更した由で、底が浅くなった。リアルを追求したい若い女性ライターが、実生活でもリアルを体験したいと結婚までしてみる、という話である。コロナで頻発した突然死を将来のワクチンに絡ませて枠取りにしているが、この二つの趣向が練れていない。時事ネタをとりました、と言うだけに終わっている。
芝居のつくりは例によってうまいもので、最初のいかにも大阪らしい会話(東京の客席はあまり笑わないが)や、女性ライター同士のやり取り、一人娘と一人息子という設定や、親のキャラなど手慣れたものだが、上滑りしていてつまらない。一番の問題はラーメン屋の息子で、このキャラが今一つはっきりしないので、周囲がくっきりしない。今問題の80‐50問題などもうまくやればもっと面白く仕組めるのに、と残念。うまいと言ってもいつもいい作品ができるわけではない。そんなことになったら芝居ものは皆めしの食い上げ、客も今度はどうだろうという興味を失くす。この作者、劇団は超高打率だったのだから、自戒を大いに期待しよう。今回は話が無理筋だった。
満足度★★★
ある若い夫婦で妻の突然死から始まる。舞台は生前の回想と死後の現在を行き来する。現在と言っても、亡くなったのは2021年3月4日なので実は未来。
ヨリは女性ライターとして、ルポの本を出したくて、父親のラーメン屋で無給で働かされていた良平の「不幸」な生活を取材し始める。ルポがなかなかうまく書けず、「相手の懐に飛び込むため」駆け落ちのように良平と結婚する。が、無口でおとなしく、魅力もない良平との結婚は、非常に無理がある。結婚しなくても、ルームシェアでいいんじゃないかとか。観客も、ヨリの周囲も、全然ついていけない(と思う)。
美人で活発なヨリが、風采の上がらない中卒男にプロポーズとは。
その謎が最後に解かれる。遠くの目標ばかり見つめて、足元の日常を見失っている現代人への、優しいメッセージが胸に残った。
ヨリの死は、ワクチンの接種の夜ということで、薬害が考えられる。先輩ライターのアヤがその疑惑を追おうとするが、あまり話は深入りしない。それよりもヨリと良平の「常軌を逸した」結婚生活、1年と1月を、見つめ直すことに芝居の中心がある。