殺意 ストリップショウ 公演情報 「殺意 ストリップショウ」の観てきた!クチコミ一覧

★ 満足度の平均 ★ ★ ★ ★ ★ 4.7
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  • シアタートラムで鈴木杏さん主演一人芝居。約2時間。19歳の少女が体験した敗戦、ある男性社会学者の転向、堕落から見えた日本人の姿。「この鈴木杏を観ない手はない」と思う。狂気と正気を大胆かつ小刻みに行き来し、人間そのものを彼女自身にうつす。腹筋にも見とれた♪

    ネタバレBOX

    「あんまり安心しすぎて、いい気になるのはよしなさい」という警句は私自身に向けられたものだと思う。
  • 満足度★★★★★

    赤いブラジャーと赤いパンティという、あられもない下着姿の鈴木杏がまず痛々しい。役のためとはいえ、かわいそう。戦後の闇市の時代、引退公演のストリッパーが、自分が傾倒した進歩的知識人の戦中の転向と、戦後の民主主義の旗振り役への豹変に殺意を抱いた経験を語る。インテリのこうした表b編ぶりはよくある話で、新味はない。

    三好十郎はこの程度かと思っていると、進歩的インテリの隠れた情欲生活が暴露されて、あっと驚いた。しかも、天井裏から覗くという、「屋根裏の散歩者」のような話。
    ここまできてわかる、革命思想に対する作者の意地悪な視線とニヒリズムが凝縮された芝居だった。
    1950年の発表からもずっと上演されなかったというのは分かる。観客も演劇関係者も共産党員やシンパが多かった時代、劇場にはかけにくかっただろう。

    「聖人君子も一皮むけばただのスケベ」というのは、よくある人間観である。しかし、戦前戦後の転向・再転向という、こわばりきって茶化しにくい大テーマを、見事に下半身レベルに引きずりおろしたのにはびっくりした。見事なイデオロギーの解体である。脱帽。

    演技はもう少し、卑猥さが欲しいというのもわかるが、上述したようなイデオロギー問題だけに、この直球勝負がふさわしかったと思う。鈴木杏の体当たり演技に、惜しみない拍手を送ります。マイク、録音など、一人芝居の「声」に変化をつけた演出も良かった。

    2時間の一人芝居に、全く飽きることがなかった。(途中の平凡な話じゃん、という思いも含めて)

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2020/07/24 (金) 14:00

     三好十郎が1950年に書いた一人芝居に鈴木杏が挑む115分。壮絶な舞台だった。今日で引退するストリッパーが、踊った後に観客に向けて、彼女の半生を語るというものだが、それはある男の物語でもあり、社会の物語でもある、というのが三好らしい作品と言えるのだろうか。戦後間もない時代背景もあってか、言葉遣いが少し古めかしいし、戦争の色濃く残る時代の物語という特性はあるものの、ほぼ2時間を一人で演じる鈴木が物凄く、緊張感ある時間を過ごした。
     何度もカーテンコールを求める観客の気持ちは分かるが、この時期に演者や制作側に余計な負荷をかけるのは気の毒ではないだろうか。

  • 満足度★★★★★

    チャックを開けて徳を説く君

    ネタバレBOX

    結核で死んだ兄や自分を導いたマルクス思想家が、戦中に転向して軍国主義者になり、戦後はさらに転向して共産主義思想を偉そうに説き回るようになったことに憤りを覚え、殺そうとして何度も付け狙っていたところ、その男の惚れた女性に対するみっともないくらいの性的嗜好を何回となく見て、人間の表と裏、人間の普遍的な愚かしい本性を知るに至り、殺意が急速に萎んだという経験談を、ストリッパーが引退公演の後に客相手に独白する話。

    つい先日のお芝居で生きるために転ぶのは已む無し、生きることが重要だと思ったばかりですが、いけしゃあしゃあと時流に乗って先生面されるのもこれはこれで腹が立ちます。

    言動の説得力の低下につながる、あるいはそれも含めての人間ですから知られても構わないのかもしれませんが、やはり性的嗜好は知られたくありません。

    この話では思想と性的嗜好で人間の表と裏を表現していましたが、セクハラは犯罪だということを社会に確立した人間が実はセクハラ好きだったという最近のソウル市長の事例は、もう一歩進んで人間の表側が何度もひっくり返る衝撃、人間の本質を問う芸術的衝撃を感じさせてくれました。

    2時間に及ぶ一人芝居は大変だと思います。コロナ禍での演劇の在り方の一つだと思います。ただ、健康優良児的過ぎました。鈴木杏さんにもう少し下卑たいやらしさがあればと思いました。

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