足がなくて不安 公演情報 足がなくて不安」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.8
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2019/12/08 (日) 17:00

    1人の男と1人?の悪霊の奇妙だけど純粋な絆。
    笑わせて最後にほろっとさせる
    本当に素敵なお話でした。
    個人的には記憶を巡っていく演出が
    走馬灯のような感覚でとても良かった。

  • 満足度★★★★★

    一人の人生を描くいわば走馬灯的な作品だが、とても暖かく優しく作ったなと
    それぞれの役者の表情がとても強かった
    味が出てくる作品だなと思う
    作品的に場面場面の立ち位置と動線が上手くて非常に見易い演出

    子供の頃は未来に何が有るかわからなくて不安で
    大人になればいつだって今に不安を感じ
    歳をとれば積み重ねてきた過去が正しかったか不安だ
    これは人生を生きたかった人の話
    描かれた場面のファンになって不安になる
    自分の人生に正解を求めてしまって答え合わせに不安になる

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2019/12/08 (日) 13:00

    動物好きなら号泣必至の優しさ溢れるエンターテイメント。
    詳細はネタバレBOXにて。

    ネタバレBOX

    ストーリーについては、後で触れるとして、まずは、それ以外の所から。

    とにもかくにもエンタメ性の強い演劇で、見どころ満載。

    ゲームやアニメのOPと見紛うほどのセンス溢れるOP。
    ああいうスタイルで展開するOPはいくつか拝見したことはあるが、センス、クォリティ共に群を抜く。
    あのOPを観れただけで正直、チケット代はお釣りが来るぐらい回収したと思ったほど。
    演劇のOPであんなに鳥肌を立てて興奮したことはない。

    そして、それを実現させた舞台美術と照明。
    まさかあんな仕掛けがセット内に施されていたとは、、、大興奮。

    それもさることながら、個人的に素晴らしい仕事をしたなと思っているのが、あの街灯。
    点灯、消灯、ゆるい点滅と、状況にあわせて稼働するわけだけど、これがまたね、、、とっても良い雰囲気を醸し出してくれるわけで、日常においても、街灯大好きな私としては、街灯の魅力を余すところなく魅せて頂いて本当にありがとうございます!と言う感じ。

    あとはタバコね、タバコ。
    ご時世やら、なんとか法やらで、なかなか喫煙シーンも入れづらい昨今だと思うけれど、個人的にはタバコは絵になるから、ルールに則した中で入れ込んで欲しいのが本音。
    それを見事に入れて頂いて、私はとっても嬉しい。
    あれはもちろんタバコではないんだろうけど、ちゃんと先端が光るようになっているし、紫煙も出るから、見た目にはタバコそのもの。
    それをまたね、実に旨そうにすってくれるわけで、もう、最高にカッコいい。

    全体的にコミカルでポップなテンポで進行する中、霊能者との対決シーンなどでは非常に緊張感のある空気を作ったり、結婚式のシーンのように泣かせにかかりつつも、それを完全にお涙頂戴に収めず、少し笑える部分を取り込んだりと、その辺りの案配も絶妙だなと思った。

    終盤、船出と悪霊たちと対峙するシーン。
    この緊張感あふれるシーンからの、人生逆再生への展開は圧巻だった。
    単なる逆再生ではなく、そこに加えられる老年期の創のセリフが、何とも言えない温かさを含んでいる。
    何だか、もうそれを見ているだけで、聞いているだけで、じんわりと来てしまった。

    さて。
    ストーリーの方はと言えば。

    誠にもって恥ずかしながら、私はストーリーだけに関して言えば、終演後「?」の状態だった。

    この作品の魅力の一つにテンポの良さと軽妙な会話があげられると思っている。
    ただ、これって、私みたいに頭の悪い人間には少々しんどい。

    本編の中で、少々違和感を感じさせるセリフというのはいくつか存在する。
    私としては「ん?今のってなんだ??」とちょっと一呼吸置きたいところなんだけど、そんなことを
    している間もなく、ガンガン物語は進んでいく。
    しかも、会話の情報量が多いから、合間に考える時間などまるでない。

    結局、そういう、何だかのどに刺さった魚の骨みたいなものを大量に作りながら、どれも抜け落ちることなく、終盤まで進んでしまい、極めつけはこれである。

    「君は犬の幽霊だ」

    悪霊、すなわちチノが犬の幽霊であったと明かされたとき、私の頭は真っ白になってしまった。

    え?どういうこと???

    多分、察しの良い人は、この一言できっとのどに刺さった骨たちが、一気に抜け落ちていくのだろうけれど、私の場合、でかい骨がさらに一本刺さってしまっただけで、軽いパニックになってしまった。

    真っ先に頭に浮かんだのは、創が結婚後、飼い始めた犬がチノでその幽霊なのかと思った。
    けれど、それだと時系列が全然合わない。

    船出やチノのセリフの雰囲気からすると、どうも谷本家とは関係ない犬のようにも思われる。
    ただ、これはこれで、色々とつじつまの合わないことも出てくるんだけど、結局、帰りの道中も
    頭の中は「?」だらけで、あーでもない、こーでもないと反芻を繰り返す。

    結局のところ、終演から30時間近く経った今でも、物語については誠にもって申し訳ないことに、
    多分全然理解しきれていない。
    とりあえず、今の時点での自分の解釈はチノはやっぱり谷本家で飼われていた犬なんだろうということ。
    ただ、それは現在の創、そして、寛史ではなく、もっと昔のどこかの時代の谷本家なんだろうな、と。

    要は前世とか転生とかその手のやつで、創の遥か昔のどこかの前世では犬を飼っていて、それが
    チノだったのかなと。
    まぁ、前世なので必ずしも谷本家である必要はないんだけど、その方がちょっと私の中では
    絵になる解釈なので、そういうことにしている。

    だから、私の中では、創とありかの子供は何世代目かの寛史である。
    もう一代くらい挟んでも良いんだけど、その方が個人的にはちょっと好きなので。

    これってもちろん超解釈であることは承知している。
    ただ、本編の中で、寛史が創に名前を付ける時に、
    「思い出した」と言ってみたり、悪霊とのやり取りの中で
    「一回は通る道だと思うんだ。でも創は聞いてこなかった。それは、俺と同じだからだったんじゃ
    ないかなって思って」
    と言っているのが、どうにもこうにも気になっていて、その辺を軸にして考えると、その解釈が
    自分の中では一番しっくりくるかなーって。

    もちろん、これはこれで、解決できない疑問が山ほどあるのは百も承知だけど、もう私の中では
    これが精いっぱいの解釈。

    演劇の解釈は個人にゆだねられているのを良いことに、そういうことにさせて頂いております。
    全くの的外れだったら、ごめんなさい、目崎さん。

    まぁ、それはさておきである。
    チノ・・・というか、動物的な目線で、この物語を追ってみると、台本の文字を読むだけで号泣
    できる要素が満載であることに、今更気づく。

    チノという犬の出自が何であれ、彼女は捨て子であろうと思う。
    それでも彼女は飼い主がいつか迎えに来ることをひたすら待っている。死してなお待っている
    のである。
    彼女が捨てられた理由は分からない。
    けれど、彼女はレイナにこう答える。
    「きっと、ワガママだったから、あたしは捨てられたんだよ」

    それが本当なのかは分からない。
    分からないのである。

    本編では猫やシロが人間の言葉を話す。
    けれども、それは演出上の話で、彼らの言葉は人間には理解できていない。

    「なんか、すげーにゃーわんにゃーわん言ってる」

    様にしか聞こえない。

    かくいう私も動物と暮らしている。
    私と妻、そして二匹の猫と一匹の犬。
    私たち夫婦にとっては、大切な家族であり子供であるが、彼らはみな捨て子である。

    彼らと同じ時間を過ごしていて、彼らの言葉を理解することが出来れば・・・と思うことは
    しばしばある。
    犬も猫もいるので、まさに「にゃーわんにゃーわん言ってる」状態は日常茶飯事で、
    我々夫婦は、彼らが考えていることを想像でのみ理解して、彼らと接している。

    「きっとそうだろう」という想像が必ずしも正しいとは限らない。
    言葉を理解しあえない以上、すれ違いは確実に生じている。

    チノは自分がワガママだったから捨てられたと思っている。
    けれど、この優しい物語の中で、チノはそんな理由で捨てられてしまったとは思えない。
    何かやむを得ない事情があってのことだと思いたい(事情どうあれ捨てたことは許せないけど)。

    それがチノには伝わらない。
    不安を抱かせてしまう。
    飼い主の愛情を知ることが出来ないのだとしたら、これほど悲しいすれ違いはない。

    成仏できないほどの無念。

    うちの子供たちにも、そういう思いをさせてしまうのだろうかと思うと、何とも言えない気持ちに
    なった。

    劇中、シロが言葉を話すことはあまりないのだけれど、

    「いつだって一緒にいたかったよ」

    という言葉。
    ストーリーを理解できていなかった観劇当時も、この言葉には泣かされてしまった。

    シロが旅立った後、創はチノにこう語る。

    「あの子はずっと一緒にいてくれたんだよ。ありがたいことにね」
    「自分のことでいっぱいで、一緒に入れない時間もたくさんあって…」
    「幸せだったかな」

    私はもうこのシーン、胸をひどく抉られた。
    そうなんだよなー…ほんとにそうなんだよ。

    今、私がこうやってPCに向かってせっせとこの感想を書いている間、うちの子たちは
    妻に襲い掛かって、毛まみれにしているところだと思うけれど、私も妻も不在の時は、
    犬も猫もケージの中である。

    うちの犬は妻が拾ってきたこともあって、妻といる時間の方が長いのだけれど、女の子
    だからか、間違いなく、私の方が好かれている。
    本当は、私ともっと時間を共に過ごしたいのかな、などと思うと、なんだか、どうにも
    なんとも、かんともな気持ちになってくる。

    猫もシロも旅立った後、猫が幽霊になってチノと一緒にいることを知った創は言う。

    「・・・いいなぁ、幽霊」

    私も同感である。

    この猫とシロの旅立ちのシーン。
    非常に印象的な演出である。
    この優しい描写に、書き手の人間性が強く表れているような気が私はした。

    まぁ、他にも書きたいことは満載なんだけど、ちょっと収拾がつかなくなりそうなので、
    強引にここで切って、登場人物と役者の皆様の振り返りなど。

    ◎谷本家
    細田こはるさん、ニュームラマツさん、鳥谷部城さん、小太刀賢さん
    瀧啓祐さん
    熊坂真帆さん
    中村桃子さん
    小林駿さん
    園山ひかりさん

    愛情あふれる家族だなぁ。ほんとに素敵。
    ちょっと頼りないお父さんに、どっしり構えたお母さん。
    なんだかんだで仲の良い兄妹に、家族の一員たるわんこ。
    そして、新たに谷本家の一員になるしっかりもののお嫁さん。
    サザエさん一家的な温かい家庭で、観ているだけで優しい気持ちになれました。

    細田さん、まさかの少年役。でも、とてもお似合いだった。
    元気いっぱいのあのテンションは、やっぱり細田さんならではでニヤニヤしながら
    拝見しておりました。

    インパクト大の青年期はニュームラマツさん。そして同じ時代を過ごすシロは小林駿さん。
    このお二人で印象的なのは、失恋後の部屋で一緒に過ごすくだり。
    テンション高めのシーンが多いニュームラマツさんだったけれど、とてもしっとりとした
    印象深いシーンでした。

    麗花役の中村桃子さんは、このシーンでも絡んでくるんだけど、ドア越しの二人の会話が
    すごく好きでした。
    なんだかんだでお互いを思いやる優しい兄妹。

    この兄妹の関係性が、私はとても好き。
    ブラコンでもシスコンでもない。適度な距離間の仲の良さ。
    父の葬儀の時のやりとりがなんだかすごく印象的でした。
    壮年期を演じた鳥谷部城さんとの絡みになるんだけれど、父の死に対する兄妹それぞれの
    温度差。
    鳥谷部さんの語り口はとてもやさしくて柔らかい。
    彼の見解は、麗花にとってはひどく冷めたように感じられたのかもしれないけれど、私は
    ちょっとわかる気がしたかな。
    ああいう見送り方が出来るのって、幸せなことだと思う。

    母親である奏を演じられた熊坂真帆さん。
    「母性」を象徴するような役柄。おおらかで、芯があって、懐の深いその所作がとにかく
    印象的。
    優しくも強い母であるが故に、病気のシーンは切なかったです。
    息子を前に気丈にふるまう奏。
    なんかその姿だけで、じんわり来ました。
    奏での死後、チノのもとを訪れた寛史が帰るときに、それを待っていた奏。
    セリフはないんだけれど、色んな示唆に富んだシーンで、何だか胸が締め付けられました。

    寛史を演じられた瀧啓祐さん。
    こわっぱちゃん家での公演では見かけなかった役柄で、意外に思いつつも楽しく拝見させて
    頂きました。少年時代すごかったー。
    でも、子供たちに寄り添うすごくいいお父さん。
    父というよりは男として息子に接する姿が、すごく好きだったなぁ。
    私は人間の父親になる予定はないけれど、もしもなるんだったら、子供にはああいう接し方を
    したいな。
    真骨頂は死ぬ前にチノと交わす会話。
    この二人の会話は、どの場面も好きでした。
    なんか、お互いに、答えを知ったうえで話しているというか、そんな緊張感のあるやりとりが
    見ごたえありました。

    須本ありかを演じられた園山ひかりさん。
    こんな先輩がいたら、そりゃ、惚れるよなぁ。
    「私の代わりに、読んで感想を聞かせてほしい」
    とかちょっとずるいほど、パンチあるよね。俺も文芸部はいるわ。
    印象に残っているのは、やっぱりプロポーズのシーンかな。
    会場の空気、めちゃめちゃ温まった。
    フィクション史に残る珠玉のプロポーズシーン。
    なんか園山さんはありかを演じているというよりは、ありかそのもののような感じがしました。
    はまり役っていうのは、こういうのを言うんですかね。

    さて。
    老年期を演じられた小太刀賢さん。
    なんでしょうね。ちょっと言葉にしがたい素晴らしさだった。
    鳥谷部さんもそうなんだけど、小太刀さんもまた、語り口がすごく心地よいんですよね。
    劇中、老年期の創がちょいちょい出てきて、回想をするんだけど、そのシーンのたびに、
    何だか安心してしまうというか、うまく表現できないけれど、心が穏やかになるような
    そんな感じでした。
    シロと絡むシーンは、どれも素敵だったなぁ。そして、そのたびに泣いてました、私。

    ◎幼馴染たち
    大和田あずささん、布施知哉さん

    いわゆる腐れ縁三人衆だけれど、この3人の関係性ってすごくいいなって思う。
    私もこういう腐れ縁が欲しい。
    蓮を演じた布施知哉さん、なんていうか「腐れ縁」な感じが本当にすごく良かった。
    腐れ縁な感じってなんだ?って話だけど、お調子者感というか、そういうのがすごく好きだった。
    この3人が集まっているシーンって、どれも楽しくて好きなんだけど、一番好きなのは
    結婚式の後のやりとりかな。さっぱりした感じが大好き。

    藍子役の大和田あずささん。
    まさか生まれた直後から壮年までを演じられるとは。
    赤ちゃんの時の創にパンチするシーン。大好き。
    藍子もすごくいい子なんだよなぁ。
    考えてみれば創っていうのは、とても幸せな人だなって思う。
    初恋の人と結婚し、生まれた時から一緒に過ごしている親友がいるなんて、なかなかあるもんじゃない。
    藍子と創の関係性で素敵だなって思うのは、愛だの恋だのが絡んでこないこと。
    まぁ、読み取り方によっては、そういうのを感じる描写もあることにはあるんだけれど、私はあえて
    そこは無視。
    この二人にはね、そういう愛だの恋だのといったところをはるかに超えたところで繋がっていてほしいなって思う。男女間の友情は存在する派なので、私。

    ◎霊にまつわる皆様
    大森さつきさん、中野亜美さん、中田暁良さん、永渕沙弥さん、白井肉丸さん

    まずはレイナさん演じる大森さつきさん。
    おキレイでしたね~。霊にまつわる皆様に共通することだけど、衣装がすごくお似合いなんですよね。
    今、パンフを見ていて気付いたんだけど、衣装はなんと永渕さんがご担当なのでしょうか。すごい!
    浮遊霊という設定どおり、軽やかに舞うような所作。素敵でした。
    でも、レイナも霊ではあるので、前世では結構、ひどいめに遭ってたんだろうなぁと思うと、ちょっと切ない。

    そう思うとね、中田暁良さん演じるマモルにもちょっと思うところはあるわけです。
    彼は悪霊だけあって、本当に悪いやつなんだけど、彼にもまた悪霊になってしまった理由というものがあるわけで、彼の孤独を思うと、同情できる部分はあるのかなという気も。
    ただ、この作品は、全編になんともいえない優しさが漂っているから、完全に悪役であるマモルもどこか、ちょっと憎めない部分があったり。
    ちなみに私はキャラ的には、マモル大好きです。
    衣装もかっこいいんだけど、やっぱりあの所作がね。真似したくなっちゃう。しないけど。

    猫を演じられた中野亜美さん。
    さっきも触れたとおり、私は本編のストーリーに関してはあまり理解できてません。
    なぜかと言えば、繰り返しになるけど、頭が悪いうえに、テンポが速くて理解が追い付かなかったから。
    そして、もう一つの理由は、猫に夢中で、ところどころ会話に集中しきれなかったから。
    いや、ホントにびっくりしました。
    「え、あれ、もう猫じゃん!?」
    っていうくらい猫。
    私、人間があんな風にしなやかに、軽やかに、音もたてずに動ける生き物だなんて知らなかった。
    見惚れました。脱帽です。
    人間の動きであんなに感動したのは、ジャッキー・チェンの酔拳以来かもしれない。
    役どころも良かったですね。
    チノのことが心配で、幽霊になってしまうくだり、ちょっとホロリとしてしまった。
    チノと猫、レイナのガールズトークはどれも好きだったなぁ。

    霊能者、船出真理を演じられた永渕沙弥さん。
    最高にかっこよかったですね。
    煙草を吸う女性って好きなんですよね。絵になるし、かっこいい。
    そして強い。
    最初にチノと対峙するシーンで、やり合う準備をしていないと言いつつ、チノと同等以上の
    力を見せつけるんだけど、この辺の見せ方が、憎いばかりに素晴らしい。このシーン大好き。
    永渕さんの演技も素敵なわけですよ。
    ああいう姉御っぽい語り口、大好きなんですよね。声にも力強さがあるし、芯もあるから、すごく似合う。
    もうなんてったって、この人の最大の見せ場はやっぱり最後のシーンでしょう。
    「駄目だ。許さない。親になるんだろ!」
    っていう叱咤は震えた。
    このセリフだけじゃないんだけど、このシーンでのビリビリとした緊張感は、永渕さんの演技あっての
    ものだと思う。いやー、もう、このシーン全般、ホントぞくぞくした。

    悪霊、いや、チノを演じられた白井肉丸さん。
    私にとって、この物語の主人公はチノ。
    チノのセリフで一番印象に残っているのは何といってもこれ。

    「呪い、まだ必要ないよやっぱり」
    「あたしだって忘れてたのに」

    これねー…
    なんかもう書いているだけで泣きそうになる。
    この言葉を創から聞いたとき、チノはすごく幸せだったと思うんですよね。
    捨てられた、言い換えれば、忘れ去られたことに対して、強烈なトラウマを持っているだろうチノが、
    自分から言い出したにもかかわらず忘れていた約束を、大切にしている創から聞けたことは、彼女に
    とっては驚きであると同時に嬉しくもあったんだろうなぁと思う。

    チノと創の関係性の移り変わりは、この作品の見どころでもあるんだけど、そのちょっとした温度差に
    少し切ない思いはあったかな。

    彼らの思いって、なかなか一致しない。
    一致しないというか、すれ違ってしまうというか。
    別のシーンで、創がチノの存在をありかに話してもいいか質問するシーンがある。
    創にとって、チノというのは、家族や親友に並ぶような存在になっていたんだと思う。
    だからこそ、その存在を、同じく大切にしているありかに知ってもらいたかったんだと思うんだけど、
    チノにとっては、その思いはともかく、そういう形で表現されることを求めてはいなかった気がするんですよね。

    本編の始めの方で、子供時代の創に対して、
    「創、君は私のものだ」
    っていう言葉。
    チノはこの言葉を、特に意図なく使ったんだと思うけれど、創にとっては、ある意味、呪いのごとく、
    この言葉は刻み込まれて、ずっと、それを忘れずにいたわけで。
    なんか、もどかしいというか、むずがゆいというか、心地よくもあるというか、そんな感覚が、
    終始、彼らの間にはあったように思う。
    そういえば、書いてて気づいたけど、なんで、チノはこの時点で創の名前を知ってたんだろ?
    んー…まぁ、いいや、後でゆっくり考える。

    そういった、チノの心中の揺らぎのようなものを、白井さん、とても見事に繊細に表現されていたよう
    な気がする。
    色々と思い出すだけで、ちょっと泣けてきますな。
    素晴らしかった。

    ◎脚本・演出
    目崎剛さん

    目崎さんの書かれた演劇を拝見するのは先日の『いまこそわかれめ』に続いて今回が二本目。
    『いまこそわかれめ』もそうでしたが、今回も完全にお話を理解しきれませんでした。
    せっかく作って頂いたものを汲み取り切れず、申し訳ない思いです。

    けれども、全編に優しさの漂う作品で、これが目崎さんの世界なのかなと思っています。
    観劇から数十時間を経てしまいましたが、ようやく、少しずつ、染み込んできました。

    心に残り続ける作品をみせて頂いたと思います。
    劇団の皆様、役者の皆様、素晴らしい作品を本当にありがとうございました。
  • 満足度★★★★

    鑑賞日2019/12/07 (土) 18:00

    笑いながらも、胸に響く素敵な芝居でした。
    噂に聞いていた中野さんの猫は、やはり良かった。
    そして、舞台美術が美しい。

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2019/12/04 (水) 19:30

    座席1階4列

    価格3,500円

    初日観劇してきました。面白い。
    ミステリー要素もあり、中盤からの加速度はたすいちならでは。そして演出の面白さが凄く伝わるワードのオンパレード。目崎さんの底力をこれでもかと見せつけられました。

    題材も展開もボケ突っ込みもしくじり要素たっぷりなんですけどね。キャストと演出にかなり自信があると思える出来映えでした。人の会話の合間を他人が刺す具合が実に絶妙で心地いいんですよね。これもたすいち流。

    役者さんは肉丸さん小太刀さんというナレーションマスターなピスタッチョコンビを軸にする安定感。
    今年大活躍の大和田さんと中野さんも出演。独特な間が物語が速く進みすぎないように時間を緩やかにしていきます。

    『不安』についてはどうでしょう。底に行くまでの予感と空虚から沸き上がる感情と私は解釈していますが、個人的にはそこに無意味な人生やつまらない人との関係で埋めている実感はありません。不安はないのか?気付いたときが底なのか。そういった哲学的なものもストレートに考えさせるのはたすいち作品としては珍しいかも。

    今回の作品は役者さんがかなり演ずるのに難しいお芝居では?という印象も。その辺は今度出演者に聞いてみたいと思います。

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2019/12/04 (水) 19:30

    115分。初日挨拶含む。休憩なし。
    素早い転換と、物語の進行を全く滞らせない動きと、照明とで構成される舞台。止まる時間が全くなかったような、たすいちらしいテンポで紡がれる物語。
    いろいろな解釈が出来る物語だと思うけれど。私には、悪霊が、人生の中で捨ててきてしまったもの、諦めてしまったものを象徴しているように思えた。その悪霊とのかかわりの中で、人生を走馬灯のように描く物語。でも、作品のテーマとしては、人生への賛歌というか応援歌のように思えた。何故涙が流れるのかよく分からないけれど、泣いてた。不思議な作品。観終わった後、とても元気になっていた。

この公演に関するtwitter

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  1. カウコン 申し込みしたいな どちらも対象会員だしと思ったけど…帰りの足がないよなー… 兄に車で迎えに来てもらうしかないけど嫌がりそうー笑 というか…これ当たる人ほんと強運!って思う。 Mステもだけど逢いたいがいっぱいだよー

    約5年前

  2. しかも趣味が絶対会わないだろうから数少ない知識からアニソン以外の曲選ばないといけないからつらい 90越えてて70くらいのやつの前で「これダメだ」とか言うなよ…行きたくもないのにこっちは足がないから無理矢理きてんだよ…タバコも吸えないし酒も飲めないしはやく終われ

    約5年前

  3. @aiyu_msma10 wwタコの足がないからタコなしで焼いちゃお〜みたいな感じ?😆

    約5年前

  4. 足がないのって本当に不便だよなぁ😡💢最寄り駅まで片道6キロってどういうことやねん!!!!

    約5年前

  5. @MWAMrichyFaLiLV 自分の足がないと辛いよね。 車納車したらいつでも出すよ! 誘ってよ!

    約5年前

  6. 夜はまず足がないからとかに行けないしオールなんて親が許してくれないしお泊まりも事前に頼み込んでやっとだから忘年会とか楽しそうだなぁって見てるしかない、いいなぁ、、、お酒浴びるほど飲んでみたい

    約5年前

  7. 蛇はない、、、怖い、、足がないのに動いてるのが苦手。足がいっぱいあるのも苦手。子供のワニを頭に乗せたことはあるよ⤴︎ https://t.co/DdjT53SbRZ #Peing #質問箱

    約5年前

  8. @mupipi_71697 なんか微妙に足がないのね…!!

    約5年前

  9. バイト先の飲み会帰りに足がないパイセンをたかしが車で迎えに行くかなんかして、後日バイト先で「たかしさん人間だった!」「たかしさん人間だけど何者かは不明!」とか言われてて欲しい。

    約5年前

  10. 夏でも普通に地方ならライブできるか。観光客が増えてホテルや足がない問題はあるかもだが。

    約5年前

  11. 雪だるまは達磨大師がモデルだから足がないけどスノーマンは雪男だから3段なんだよね。って事は雪だるまに枝とかで腕を付けるのはアレなんかな(達磨大師は腕もないとされているらしい)ゆーて、達磨から腕生やすアニメあるけども

    約5年前

  12. 10禁戦も考えているのですが行き帰りの足がない子たちはどうしたら来てくれるのか? ご意見くださいな!

    約5年前

  13. @harurin_keirin しばらく木暮買わないでいます 足がないなと もう追込選手ですね 武田に競りに行くぐらいだから 今度から人の後ろか 競りで力ハッキしてほしい

    約5年前

  14. @chapo_umr なかったから多分そうなんだと思う_(:3 」∠)_6kで買った中古のボロチャリだから取られるのはいいんだけど駅までの足がないの辛い

    約5年前

  15. 「たかがといってもメインカメラ」「ここはアッシらに任せて下さい」「なあに足がないのはアチラさんも一緒」「いっちょ迫撃ボールカルテットと行きますか!」 『行くなあああぁあ‼︎』 https://t.co/Ik05KCvnKN #ボール #ガチャ #カプセル #ガンダム

    約5年前

  16. アルテさんの足がないと生きていけなくなったエルタとかいうパワーワード

    約5年前

  17. 幸い、ここ最近の飲み会は車で行ってごはん食べて車で帰るただの食事会だから嬉しい。職場の近くの店だと帰りの足がない。

    約5年前

  18. イかれたメンバーと行く、ドキッ⭐︎どこに行くかわからない海外渡航〜🎉を来週の今日ごろにはしてるかもしれないから足がないレベルにフットワーク軽い人間に囲まれてる世界に感謝

    約5年前

  19. 原付壊れた説なので明日香椎行く足がない。。。

    約5年前

  20. @hane_hane310 長い時間かけて暗記すると最初の方の記憶が薄れていくよね… そうなんだよねぇ…結局足がないのがネック…近場で済ませたいよね

    約5年前

  21. こちらの幽霊には足がないが、異国の幽霊には足がある。俺も幽霊には足がないと思ってたんだが、これを聞いたら足が見えるようにもなったのさ。驚きだろう? ああいうのはこちらの認識で姿を変えるからな。

    約5年前

  22. 足がない なんか可哀想 (;∀;) https://t.co/ptHDrQtsLf

    約5年前

  23. @13we_re zoaにあるんは知ってる 足がないねん。 てかこんなにかかるとは思わんでしょ?

    約5年前

  24. @sf7946 足がないので迎えにきてね・・・

    約5年前

  25. @usaginomure 私の住む場所もですが、地方ではバス等の公共機関が余り発達しておらず車しか足がない場合があります。 高齢者の事故の増加も懸念されますが、この話題も取り上げて欲しいですね…

    約5年前

  26. @HatoriKakeru でも足がないんだよね😅

    約5年前

  27. バイク屋から修理の納期や見積もりの連絡こないなー。来週末には引き取りたいな。足がないといろいろ不便

    約5年前

  28. 足がないのにやってきて、口がないのにお話上手なものなんだ?

    約5年前

  29. 寝てる、携帯でなにか見てる、ほんとはどっか行きたいけど足がない、車の免許はとれないし主治医の許可降りないと https://t.co/eK2miZTQ1w #Peing #質問箱

    約5年前

  30. 取りに行きたいけど足がないので死 https://t.co/e0FQBvZmMn

    約5年前

  31. Mステ番協行きたいけど…休みは何とかなるだろーけど帰りの足がないから確実にお泊まりだけど結果が直前だろーから金曜日だしホテル押さえられるの難しいんだろーな~~~~~今から押さえてもキャンセル料取られるだろーし~~~~~そもそも当たる前提で話してる私すごいな(笑)

    約5年前

  32. @nyanta_020 足がないんや… 一緒にやりたかったわー

    約5年前

  33. Q,朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足の動物は な~んだ? A,人間 人権団体「生まれつき足がない子の気持ちを考えた事ありますか!?!?」

    約5年前

  34. 【募集】 神速csの足がないひと 先着1名

    約5年前

  35. @Cyclingglasses @BNNACB 頭に三角付けて足がないじゃん😂 往復100kmもかけて米買ってきたんだから許して🙏南無〜・・・

    約5年前

  36. 足がないのにやってきて、口がないのにお話上手なものなんだ?

    約5年前

  37. ボクには足がないからなぁ・・・おともだちと一緒に歩けないのがちょっと寂しいな。

    約5年前

  38. 昔の話しだけど、仕事で3ヶ月ほど中国に滞在してた時があって、街中に物乞いの人が居たんだけど、そのほとんどが手や足がない障害者だった。後で現地のコーディネーターに話しを聞いたら、中国は物乞いビジネスが盛んで、ターゲットの観光客から同… https://t.co/v1uYnv2Lal

    約5年前

  39. お前の絵、足がない

    約5年前

  40. @luluka0222 足がないストッキングって何⁉︎え? おばあちゃん分からない

    約5年前

  41. @cPgfzNaMUyOfVWj あっでも足がないストッキングがいいですね🤔

    約5年前

  42. @cbr250rmc41nagi 足がないw なぎちゃんなんで低浮上やったん?

    約5年前

  43. ほしいほしい、 買い行きたいけど、足がない。 土日まで残ってれば、、 https://t.co/IgkpPfDuEA

    約5年前

  44. ダイヤモンド・パールの作中にある「ハクタイの森」の洋館には 食堂におじいさん、2階には女の子がいる。 その二人には足がない。

    約5年前

  45. 割と近くまで来てもらえるのに足がないというタイミングの悪さ😭 食ってみてぇぇ食いてぇ https://t.co/Y79I7OiTmh

    約5年前

  46. 忘年会 去年アッシー「出れません」 わい「いかないよ。帰りの足がない」 同僚「帰りがなー」 同僚「足がないんだよなー」 嗚呼車社会!酒で今年を忘れるな!解散!

    約5年前

  47. 工具にくっついてなかなか離れてくれない小さいかわいい蜘蛛を注意して引き剥がしたのに足が一本とれちゃって、こいつは死ぬまで足がないままなんだなとか思って自分は人に生まれたのになにもできないまま死んでいくんだなとも思ったのでメンタルが2ポイント下がっている

    約5年前

  48. これで思い出すのは牡丹灯籠。幽霊がからんころんと近づいてくる場面に、先生が哀しく言った。君たち、ここは怖いと思う場面ですよ。幽霊は足がないので足音が聞こえるはずがなく…ああ、なるほど。でも怪奇現象番組の幽霊は足があったりするわけで、と思ったあの日の授業。

    約5年前

  49. ジャパニーズゴースト、面白そうじゃないか! 確か……足がないんだったよな?

    約5年前

  50. ワンツー売ってローレル売ってチェイサー売ってから足がないからだるい(´-ω-`)

    約5年前

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