『十二人の怒れる男』/『裁きの日』

劇団チョコレートケーキ（東京都）

公演に携わっているメンバー：18人

団体紹介

劇団チョコレートケーキは2000年に劇団結成以来、2011年現在までに番外公演を含め19本の公演を上演してきました。
2009年第16回公演『a day』より、劇団員の古川の戯曲作品を上演。
2010年第17回公演『サウイフモノニ…』より劇作：古川健、演出：日澤雄介という、現在のスタイルを確立。


劇団チョコレートケーキは物語の強さを追求していきます。

それは、作品を通して何かをお客様に与える事でもなく、お客様に何かを感じさせるものでもないと考えます。

舞台上で起こっていることに心を動かしていただき、舞台上の役者を感じていただく。

押し付けがましくなることなく、純粋に物語をお客様に感じていただく。

共感ではなく体感していただきたい。


そのための硬質な戯曲、隙の無い役者、無駄の無い演出を揃え、舞台でしか表現出来ないリアリズムを追求していきます。


今後も、その場、その瞬間にしか体感できない舞台のあるべき姿、舞台の物語の強さを具現化させていきたいと考えております。

応募公演への意気込み

挑戦。
数多の名優達によって上演されて来た、密室劇の金字塔「十二人の怒れる男」。小劇場界の精鋭により真っ向から挑む！

挑戦。
更に、この名作に、当劇団作家古川健が、新作「裁きの日」で挑む！
微妙な問題を抱える裁判員裁判制度をリアルに舞台化。

物語性の強い作品を上演している劇団チョコレートケーキ、団体としての本質を問われる今公演で挑戦します。

様々な団体により繰り返し上演され、名作と称される「十二人の怒れる男」。様々な年齢層の登場人物が織りなす濃密な密室会話劇。これを敢えて30代・40代の役者で挑戦します。メイクや衣装で誤魔化すことなく、各方面から集めた精鋭のからだを武器に、役者の演技のみで勝負します。

また、対をなすもう一つの戯曲の方も裁判員裁判をモチーフにした法廷劇。しかも、シチュエーションは同じ（基本的に舞台セットは２作品ともほぼ共通）。こちらも役者の演技勝負の濃密な密室会話劇で挑みます。名作「十二人の怒れる男」と比較評価されるところで敢えて勝負をしていきます。

日米の、新旧の法廷劇を、渋谷ルデコという小空間で約2週間一挙に上演します。20ステージという公演数も約2週間という公演日数も劇団として初の試み。

チョコレートケーキ第19回公演は様々なものに挑戦を仕掛け、今後の団体の立ち位置を明確に示していく公演です。

将来のビジョン

1911年1月24、25日、いわゆる『大逆事件』による12名のアナキストの死刑が執行された。判決から六日後という異例のスピードでの処刑だった。この事件は今日では、たった4名が企てた天皇暗殺計画を政府が利用して、全ての社会主義者、アナキストを弾圧した政治的でっち上げだったとされている。

この事件は当時の文化人たちに大きな衝撃を与えた。与謝野鉄幹、徳富蘆花、石川啄木、永井荷風など有名どころだけでも枚挙にいとまない。また、百年を経た今でもこの事件を扱った作品は数多く、小劇場でも多くの団体がこの素材に取り組んでいる。

今回、劇団チョコレートケーキはあえてこの手垢のついた『大逆事件』という素材に取り組み、新しい視点でもう一度この事件を掘り起こすような作品を上演したい。


従来の作品では、幸徳秋水に代表されるアナキスト、社会主義者たちにスポットライトが当てられていた。この作品では、それとは逆の視点、つまり彼等を葬り去った大日本帝国という大きな権力装置の内部の人間にスポットライトを当てる。政治的にでっち上げられたこの事件に対して、同時代の人間がどのような衝撃を受けたのかを、弾圧した立場から描くことによって明らかにしたい。