ひとがた流し

ひとがた流し

ブルーノプロデュース(東京都)

公演に携わっているメンバー:8人

団体紹介
 主宰橋本清の演出作品を上演するためのプロデュースユニットとして2007年12月旗揚げ。いつも考えているのは個人の情報や体験について。

 個人を語るという行為は単なる過去への郷愁ではなく、個人を細分化し、個人を形成しているものと社会との関係性と向き合うことです。思い出ははかなく、もろいです。しかし、それは姿を小さくしても結晶であり続けます。次々と語り継がれていく過去は、個人を小粒化していくのではなく、どんどんその結晶の数を増やし、光を増していきます。多くの人が自分の言葉と、原風景を理解し、記憶の断章群をコントロールすることは、多様化された社会に自分を位置づけることの第一歩になります。

 現在は、同じ文脈を持った20代前半の俳優たちとの作品作りが中心ではありますが、将来は小中学生や地域住民の方々に、演劇を使ってアウトリーチできるようにもなりたいです。様々な地域で、様々な世代の記憶を再生していき、多くの《私》を形にし、それによって照らし出される《社会》を捉えたい。
応募公演への意気込み
 小説・北村薫の『ひとがた流し』(朝日新聞出版刊)を題材に、3時間を越える大作に挑みます。

 北村氏は2009年の直木賞を受賞し、本格ミステリ作家クラブの会長でもあります。本格ミステリとは純粋な謎解きを中心とした作品で、《殺人事件の解決だけが推理小説ではない》いわゆる《日常の謎》も含まれます。本作も40代女性たちの、家族・恋人・友との絆を描いた友情小説であり、登場人物たちは幼少の頃や、10代の頃を思い出しながらも、今を生きています。

 出演する俳優たちは20代前半ですが、「定められた物語」「他人の設定」を借りて、自分たちの身体で表現できるのが演劇の醍醐味の一つです。なるべく小説の地の文をカットせずに、俳優たちの瑞々しい若さを積み重ねれば、中年女性たちの《記憶》を描けるのではないか、という想いがあり若いカンパニーであるが、本作に取り組みます。

 《記憶》は人間の《水源》です。それを見つけることは、果てしなくこれから流れ続ける《未来》のはじめの一滴を垂らすことでもあります。
将来のビジョン
 注釈を私たちはどのタイミングで読むのか? 章の終わりに注釈一覧が書かれているのもあれば、二段組になって注釈が載っているページの下に書いてあるのもあります。田中康夫の小説『なんとなく、クリスタル』なんて、右ページが本文、左ページが注釈という配置で、本文には膨大な注釈が引かれ、膨大な注釈の説明が書かれています。

 膨大な情報量と言えば、カート・ヴォネガットのSF小説では、脇役の人物描写が何行にもわたってされたり、根幹と枝葉が溶解しています。SFは、S=際限なく、F=降り注ぐ情報なのではないか。そう思うくらい、設定や固有名詞が登場します。

 注釈も描写も、共通して言えることは私たちは情報が重なると、わけがわからなくなるということです。それは、わたしたちの生活と似ています。日々、私たちはインプットとアウトプットを繰り返し、その複雑な社会の中で自分を形成しています。

 いくつかの断片と、それを眺める観客の膨大な解釈と、僕たちの膨大な注釈でひとつの作品ができたらなと思います。もしかしたらそれらが繋がった瞬間に生まれるのが《物語》なのかもしれません。普段は予算の関係で、狭い劇場を借りて公演するのですが、賞金を頂いた暁には、比較的大きな劇場空間で作っていきたいです。原作の著作権使用料も気にせず、上演できたらなと思っています。


今年の秋~冬頃、都内で上演予定です。
ブルーノプロデュースvol.5

公演に携わっているメンバー(8)

もえ

がんばれー
nerimono

青山ねりもの協会です。 お世話になります。
ちるちる

ブルーノプロデュース2回目の参加です!よろしくお願いします!
yohey

久しぶりにブルーノプロデュース本公演に参加します。よろしくお願いします。
こうだい

色んな意味で出ます!楽しみです!つって!
さき

どうもです。
TheSuzukiSmith

ちょこっとだけ。
橋本清
役者・俳優 演出

構成・演出をします。

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