ダズリング＝デビュタント

あやめ十八番（千葉県）

公演に携わっているメンバー：13人

団体紹介

2012年に花組芝居の俳優・堀越涼が旗揚げした演劇ユニット。
"擬古典"と称し、歌舞伎、能、浄瑠璃など、様々な日本の古典芸能を基礎として古典のエッセンスを盗み、現代劇の中に昇華することと、現代人の感覚で古典演劇を再構築することの、両面から創作活動を行っている。
日本人特有の感覚や美意識が作品作りのテーマ。
また、歌舞伎の下座音楽や落語の囃子に影響を受け、劇中音楽が全て生演奏であることも特徴の一つ。

（構成員）
堀越涼、大森茉利子、笹木皓太、金子侑加

(受賞歴)
2014年 CoRich舞台芸術まつり！2014春　俳優賞(金子侑加)
2014年 第３回クォータースターコンテスト　優秀賞・観劇三昧賞
2015年 第４回クォータースターコンテスト　優秀賞・イーオシバイ賞
2017年 サンモールスタジオ選定賞　最優秀演出賞(堀越涼)、最優秀女優賞(金子侑加)
2017年 佐藤佐吉賞　最優秀作品賞、最優秀助演女優賞(井上啓子)、優秀演出賞(堀越涼)、優秀主演女優賞(金子侑加)、優秀音響賞(田中亮大)

応募公演への意気込み

戦後、日本の演劇史において最高傑作とされる戯曲は三島由紀夫の『サド侯爵夫人』だと言われています。舞台となったフランスを始め、海外で絶大な人気を誇るこの戯曲は日本人の手によって生まれました。国も違えば、時代も違う、日本語でかかれ日本人俳優が演じるために創られた作品が、どうして高い評価を受けるのか。それはおそらく、三島の美しい日本語で書かれた、翻訳劇でない、オリジナル戯曲であったからであろうと推測します。

あやめ十八番が昨年度より力をいれている“擬古典”作品は、巧拙を抜きにすれば、正にこの三島の創り方の足跡を追うものです。本作、『ダズリング＝デビュタント』は現代に生きる日本人作家が、中世・西欧を舞台とし、古典の文体を真似て書く“似非西洋劇”。これを『西洋画版』、『日本画版』という演出違いの二編で同時上演致します。二作を相対させることで、我々が何をもって“和”とするか考える糸口となるよう努め、“擬古典”の可能性を提示致します。

※審査対象作品は『西洋画版』です。

将来のビジョン

あやめ十八番は2017年後半～2018年に、活動の拠点を千葉県へ移します。
以降は、地方演劇団体として、東京都内での公演と、千葉県内での演劇振興(具体的には、社会人・学生の方々に向けたワークショップ開催、東京の俳優を招いての滞在制作、伝統建築等での小規模公演など)の二本の柱を軸に活動していきます。

団体としては大きな過渡期に入りますが、法人化も含めた劇団体制の強化に努め、都内から地方へ移る団体のモデルケースとなれるよう準備を進めています。

また、昨年末に取り組んだ“贋作女形”（歌舞伎役者ではない、特異の身体性を持たない小劇場の男優が自然体のまま女役を演じる手法）という表現が、一定以上の評価を得たことから、新しい女形表現の発信も、継続的に続けて行こうと考えています。

東京にほど近い千葉県ですら、小劇場文化が根付いているとは言い難い状況にあると考えています。あやめ十八番は、都内での演劇活動で得た舞台創作のノウハウを駆使し、地方でも芸術的・興業的な成功を両立させる、一つの模範事例になろうと志しています。