
さすらいのジェニー
劇団唐組
下北沢・下北線路街 空き地(東京都)
2020/10/17 (土) ~ 2020/10/22 (木)公演終了
満足度★★★★
稲荷卓央+藤井由紀+福本雄樹、大鶴美仁音、全原徳和、久保井研。主要役以外も皆振り切った演技。ポール・ギャリコの同名小説があったな、と劇中の「本」を巡るくだりで思い出したようなあんばい。それにしても奇妙な人物共(あるいは猫)が作り出すシュールな場面のシュールさは筆舌に何とかで。狂気とも言おうか。
風が運び頬をかすめた言葉に人の姿を与え、そうして生まれた幻と戯れる女、彼女を慕い見つめる男・・藤井由紀演じるジェニーを挟んで接点を持つ稲荷(科学者チクロ)と福本(ピタ郎=ピーター)は交わらない。果たしてどちらが彼女と「現実」で交わっているのか・・(常識的には稲荷が現実なのだが)、というようなふわっとした感覚が全編途切れなく覆っているのが今作の特徴だろうか。
脇役の筆頭は、幻想の世界を確定する久保井演じる「人工舌を持つ男」(ベロンと垂らしては自分で巻き取る、を何度もやる)ベロ丸、全原演じる「意味のない事しかしない男」(だったか..?)金四郎、「現実」を仄めかす存在として大鶴演じる女、食品監視員3人組。心地よい物語空間が、端っこに空がのぞくテントの中でガチャガチャと繰り広げられる玩具箱のような観劇がまた体験できて嬉しい。

痴人の愛 ~IDIOTS~
metro
ザ・スズナリ(東京都)
2020/10/22 (木) ~ 2020/10/27 (火)公演終了
満足度★★★★
黒テントファンとしては片岡哲也氏の回を選んで悔いは無いが、この様式では若松力氏の風情が見やすかったかも知れない、とは思いつつ、時間遡及のプロットで書かれた作劇を興味深く鑑賞した。
(片岡氏はリアルをベースに軽妙誇張のニュアンスを表現できる役者で、安定感があるが形を決める月船との微妙な質の違いが出たように思う。若松氏はリアルを削いでもニュアンスに統一性を持たせるので(前回の「少女仮面」での噛みのように)崩れると弱いが貫徹すれば相性は良さそうだ。)
同演目はmetroで10年前大物俳優と上演済みで、今回と演出は違うのかは不明。が、恐らく原作からの翻案は同じだろうと思う(この原作は様々に解釈したくなる古典と異なり上演の動機は自身のこだわりの読み込みがあると想像される)。原作は高校時代に読んだ記憶しかないが、男が如何に女性に弱いか、特に老いに片足突っ込んだ男が若い女性に対し宿命的に隷属する「定型」を叩きこまれた。男の本質の中に、奴隷にされてもその女性に繋がりたいという願望がある、という・・。これを年端も行かぬ青年が読んでしまって良かったのか?一抹の疑問があるが、ともかくそれはそれは付くも地獄離れるも地獄のマゾヒスティックな生の、これ以上ないサンプルであった。が、今回の舞台では冒頭その様相が描かれるものの、男の精神の荒廃を表す床に散らばった衣裳が少しずつ片付くにつれ過去の場面に遡る。その時々の関係性が、特に説明の無いのに会話や風情で示されるのが趣深く、「幸せだった過去」を眺めるように(バイアスのかかった?)二人の風景が再現されていくが、芝居が幕を閉じるのは過去の場面で、つまり「より苦しくない時期」で、である。現在の地獄は相対化され、「あるいは二人は・・」と、パペットによる老いた二人の寄り添う姿が半ばハッピーエンド風を演出する。ほろ苦さは残っても「甘い」気分で終幕を迎える事になった。
「過去を見るように現在を見る」という読み方は、鬱屈が常態となった日本では、現在を生き抜く術である事を示唆するものか。

瑠璃色花火物語(2020年版)
劇団暴創族
萬劇場(東京都)
2020/10/21 (水) ~ 2020/10/25 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/10/25 (日)
価格4,000円
B班の千穐楽の舞台を拝見。
福岡出身のヒトなもんで、劇中の博多弁には序盤苦笑したものの…力技の笑いどころで散々笑わせてもらった挙句、最後の最後で涙腺直撃!
2つの時間軸の入れ替わりも巧みな、充実した内容の120分だった。
なお、演者では、前原未春さんと鴛海優歌さんの2人の朝妻紫音が、とても・とても目に焼きついた。

その十字路の先を右に曲がった。
ナントカ世代
金戒光明寺 永運院(京都府)
2020/10/24 (土) ~ 2020/10/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
京都 金戒光明寺 永運院 綺麗な庭園に向かい作られる芝居
モヤモヤとした状況 観ていて混乱
化かされた世界で少女が調査員に見せた世界
終演後 永運院を出て化かされた世界から現実に戻った気がした。
盗難 子供 農夫 農協から派遣された調査員 盗難の物件がない
主人のいない館では、何も決められない 調査が進まない
教師と女はできている 畑が荒らされた 作物は納屋に有った
きっちりと書かれた帳簿 書いたのはこの家で生まれて育った少女
バスは来ない 大きな木を切ったので聞こえなくなった祭りの音
少女は家を出る決意を調査員に話す 盗難を届けたのは少女
これが壊れたのは、カバンの中

Eバリアーズ
萬腹企画
アトリエファンファーレ東新宿(東京都)
2020/10/21 (水) ~ 2020/10/25 (日)公演終了
満足度★★★★
千秋楽を観てきました。
客席の笑いが絶えないコメディ。
前半のとっ散らかった展開がきちんと収束して、全体としてはよく分かるストーリーになっていくあたりも見事。

ざ☆ロードショー
円盤ライダー
第2星が丘駐車場 2階(星が丘ボウル隣接)(愛知県)
2020/10/23 (金) ~ 2020/11/05 (木)公演終了
満足度★★★★★
駐車場で奇跡の観劇!
これは東京でも実現して欲しい、
車から新しいアトラクションを体験しました。
聞けば中日新聞の一面トップを飾ったとか。
それも納得、企画もですが何より素晴らしい内容でした。
主宰である渡部さんが言ってましたが「今しか出来ない」「ここでしか出来ない」そう思います。
迷わず満点、東京から観に行ったかいがありました、これは近くの方で観ないのはもったいない。
笑って泣いて勇気がでます、本当にいいものを観ました。ありがとうございました。

獣道一直線!!!
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2020/10/06 (火) ~ 2020/11/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/10/24 (土) 14:00
池谷さんのキャラが面白くて上演中、笑い通しだった。
現実のニュース、社会情勢の風刺が良かった。

ボノボたち
株式会社NLT
シアターX(東京都)
2020/10/17 (土) ~ 2020/10/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/10/25 (日) 14:00
人間賛歌。男3人組のコンビネーション最高! 優れた海外の作品をどんどん紹介してほしい。

痴人の愛 ~IDIOTS~
metro
ザ・スズナリ(東京都)
2020/10/22 (木) ~ 2020/10/27 (火)公演終了
満足度★★★★
この演目は2度目の観劇。チョイとばかり異様なお話ですが、妙に明るく楽しいステージです。さららさんのコケティッシュで小悪魔的な魅力に参ってしまいます。

『ぬれぎぬ』『ジョシ』『ウィンドミル・ベイビー』
アマヤドリ
シアター風姿花伝(東京都)
2020/10/14 (水) ~ 2020/10/25 (日)公演終了

ミュージカル『ローマの休日』
東宝
帝国劇場(東京都)
2020/10/04 (日) ~ 2020/10/28 (水)公演終了
満足度★★★★★
しばらく席を立てないほど素晴らしかった。タオちゃんの可愛い無邪気な王女様が、1日の自由を満喫した末に、自分の仕事に戻る。この1日は(王女の寝言にもあるように)夢の世界であることが、リアルな映像に縛られないミュージカルだからこそよくわかる。お姫様を助ける騎手(ナイト)の話である。音楽、ダンス、衣装、美術、セット全てを通じて夢を共に体験できた。
そして訪れる別れ、それぞれの責任。王女は声も低くしっかりとなって大人になったことが、くっきりしていた。「ローマの休日」は恋物語だけでなく、王女の成長物語なのだと初めてわかった。大人になるとは夢を断念して責任を引き受けること。ジョーも愛を胸に秘めて自分の生活に戻る。それぞれの立場があるゆえに、思い通りにはいかない大人の恋である。この切なさに、思わず涙がこみ上げた。
ラスト、公開しなかった特種写真がスクリーンに映るところから、目頭がずっと潤んで仕方がなかった。
曲はラストに流れる「ローマの休日」がしみじみといい。もう一つ、ジョーが歌う「変えていくのは自分次第」「笑われても馬鹿にされても夢を持たなきゃ生きていけない、それが人生」と歌う「それが人生」が心に響いた
土屋太鳳、加藤和樹、藤森慎吾の回を観た。

うつくしいこ
COWCOWシネマ
北池袋 新生館シアター(東京都)
2020/10/23 (金) ~ 2020/10/25 (日)公演終了

うつくしいこ
COWCOWシネマ
北池袋 新生館シアター(東京都)
2020/10/23 (金) ~ 2020/10/25 (日)公演終了
満足度★★★★
よね牛さんは、以前よりこの会場の入口付近にあったチラシとかを見ていた印象から、なんとなくもっとゆる~いものを勝手にイメージしていたので、正直なところ今回の公演は意表を突かれました。七篇のむかしばなしの中では「オシラサマ」がお気に入り。当パンのちゃんとした造りにも感心し、帰りに劇中歌のCDを購入。

演氣者塾ショートステージ 10/23
ENGISYA THEATER COMPANY
KISYURYURI THEATER(東京都)
2020/10/23 (金) ~ 2020/10/23 (金)公演終了
満足度★★★★
オンラインではなく録画ビデオでの視聴になりましたが、シンプルな舞台装置、出演者も少人数、技量だけで真剣勝負の緊張感のある1時間半でした。個人的には、神風吹くひとが特に印象に残りました。決して派手さはありませんが、じっくりと舞台を見つめるには、いいテーマのショートストーリー3つでした。
「何もない空間に命の風景を創る」をテーマに活動していると団体の説明にありましたが、まさにその通りでした。

痴人の愛 ~IDIOTS~
metro
ザ・スズナリ(東京都)
2020/10/22 (木) ~ 2020/10/27 (火)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/10/23 (金) 19:30
初演も観たが、再演はグレードアップして、見事な舞台だった。
谷崎潤一郎の小説を舞台化したものだが、原作のテキストを活かしつつ巧妙な劇作である。オープニング、痩せた男(影山翔一)が人形劇の舞台を持って登場し、語り手(サヘル・ローズ)の語りで物語は始まる。譲治(若松力)とナオミ(月船さらら)の物語は、最終盤から始まり、人形劇は時間軸に沿って、現実の演技は時間軸を逆上るように構成されている辺りが巧い。ナオミの立場から見た物語、というのも理解できる。初演ではおっかなびっくりに見える演技をしていた月船が、今回は確信を持って演じているように見えたのだが考えすぎだろうか。

私はだれでしょう
こまつ座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2020/10/09 (金) ~ 2020/10/22 (木)公演終了
割引チケットで観劇。だが私事で終盤のクライマックス前(残り30分程)に退席。それでも「いい芝居を観た」という思いで・・ある意味満足感に浸って会場を後にした。であるので「最後まで観てない」事実も既に忘却、書き始めて思い出した。ネットで拾えるレビューを見ると終幕までにもう一捻りありそうだが(井上ひさしは大衆演劇も書ける文人に違いないが「よっ待ってました」的歓呼を取りに行かない印象)。
作曲宇野誠一郎(故人)、音楽監督後藤浩明とある。風琴工房末期の名作ミュージカル(小劇場版)の音楽が後藤氏で物語の流れに添って琴線に訴える曲を作る。今作では元歌が別にある歌が多く(台本に指定か不明)、宇野氏の編曲と思われるがアレンジとブリッジは現代的で、音楽に乗って物語を旅する芝居である。(聴けなかった終局で河北京子が唱う歌の原曲が「私はだれのものなの(日本語訳)」と言うマレーネ・デートリヒが歌ったらしいのだが見つからず。。)
相変わらず観劇後チェックする役者の方は、新国立研修所修了公演で、主役の下女をコミカルに演じた八幡みゆきが「歌える女優」であると発見し、今後楽しみ。「日の浦姫物語」でも主役同士で競演した浅海ひかると平埜生成が全く違う印象で輪郭くっきりな演技が心地よい。枝元萌をこまつ座で見るのも面白かった。
...「全部見てない」のでまァほぼ参考にならぬレビューだが。

『虔十公園林』 『双子の星』
J-Theater
「劇」小劇場(東京都)
2020/10/17 (土) ~ 2020/10/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/10/18 (日) 13:00
「虔十公園林」において主人公の虔十は、近くの森林に入っては笑ったりしているので、子どもからも周りの大人からも馬鹿にされ、蔑まれていた。ある時、親に頼んで苗木をたくさん買ってきてもらい、それを田畑の近くの草がたくさん茂っている土地に植え、伸びるのを待つが、やがて病気で亡くなる。この話を朗読と俳優の動きや表情で表現していて、俳優の演技も役柄にはまって、まるでそこに本当に虔十がいるような感覚に陥った。
また、その虔十という知的障害を持った青年後の血の滲むような努力によって、虔十が植えた苗木が本人が亡くなった後に、大きな雑木林の空き地となっており、本人の名を取って公園林としてその林が公的な遊び場として市が認めるようになったと言う事において、障害を持っていようが、そんなのは関係ない、その人のしたい事を極めれば、みんなもそのうち認めてくれるというようなことが伝わってきて、感動したし、何か自分の中で勇気が湧いてきた。

妖花迷宮
ヅカ★ガール
d-倉庫(東京都)
2020/10/22 (木) ~ 2020/10/26 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2020/10/24 (土)
価格3,900円
妖花迷宮 -あやかしはなめいきゅう- 《白の章》、24日20時開演回を拝見。
短編2本の構成で、題材は過去のカフェ公演等で馴染み深いもの。
久方ぶりの大きな舞台での公演のせいか、個人的には、出ハケとか舞台上のヒトの動きがスッキリしたというか、この劇団さんの特色である様式美が更に洗練された印象を強く感じた。
80分(含 途中休憩10分)。

野外劇 NIPPON・CHA!CHA!CHA!
東京芸術祭
池袋西口公園野外劇場 グローバルリング シアター(東京都)
2020/10/18 (日) ~ 2020/10/25 (日)公演終了

「獣の時間」「少年Bが住む家」
名取事務所
小劇場B1(東京都)
2020/10/23 (金) ~ 2020/11/02 (月)公演終了
満足度★★★★★
「少年Bのいる家」罪を犯した息子を持った母親と父親の、言うに言われぬ感情、迷い、鬱屈、煩悶。それが、俳優たちの所作と表情の端々にかんじられて、人ごとでなく前のめりに見てしまった。セリフが意外と少なく、間の多い芝居だし、小さな声で喋る場面に、結構惹きつけられた。
「どうして」という問いの繰り返しから、これは「不幸が私たちのところに来たんだ」という母親、聖書の「ヤコブの相撲」の話をする保護監察官。そうしたところに、救いの可能性が感じられ、見終わって、気持ちが浄化されたようなじんわりした清々しさがあった。
俳優諸氏も自然かつ抑えた演技で、優れたリアリズム演劇だった。特に、問題を抱えながら、それに触れるのを避けて、家族同士がぎこちない前半がリアルだった