ピラカタ・ノート 公演情報 ニットキャップシアター「ピラカタ・ノート」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    重層的に描かれるニュータウン
    枚方市に住む人たちと、水槽の中の魚の街ピラカタの阪神大震災の前後を重層的な物語構造とイマジネーション溢れる見立てで描き、神話的な世界観と日常生活が繋がったような不思議な雰囲気がありました。
    プラレールの青い線路が舞台を囲い、天井に届く高い脚立と水槽、そして中空に雲が設置された舞台で繰り広げられる様々な声と身体の表現が魅力的で、内容はちゃんとは理解できませんでしたが楽しめました。

    脚立の上からマイクで枚方/ピラカタが生まれるまでを祝詞のような調子で語るところから始まり(口琴の演奏が効果的でした)、ニュータウンの団地に住む大和家と加藤家の現実的なエピソードと、体が動かせない障害を持つ大和家の長男の冥土への旅と、加藤家の水槽の中の街ピラカタに住む古代魚の幻想的なエピソード、そして開発の前から住む家の少年の現実と妄想が入り混じったエピソードが緩やかに絡み合い、発展とそれに伴う犠牲の死が象徴的に描かれていました。
    1月17日の出来事を地震として表現せず、団地に住む女子高生の交通事故として表現されていたのが印象的でした。

    ボイスパフォーマンスや楽器演奏や身体表現を交えた役者たちの演技が安定して見応えがあり、不思議な世界観に説得力がありました。箱馬やフラフープを使って様々な物をイメージさせる演出が楽しかったです。ときおり挟まれるコミカルなシーンもバカバカしさが素敵でした。特にヤマタノオロチを様々なメーカーの掃除機のヘッドを使って表現していたのが笑えました。後半が少し間伸びしているように感じましたが、最後の街の夜景はとても美しく、もっと長く見ていたかったくらいです。
    本当の自分を探すエピソードや、紙袋を頭に被っている内に主体が入れ替わるのは安部公房の小説みたいで、面白かったです。

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    2011/04/12 09:16

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