京都学生演劇祭2026 公演情報 京都学生演劇祭「京都学生演劇祭2026」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    京都学生演劇祭のBブロック、三本とも方向性はかなり違うのに、見終わってみると「いない人、死んだ人をどう物語の中に置くか」という妙な共通項があった。

    ネタバレBOX

    京都学生演劇祭のBプログラムを観る。

    3本とも方向性はまったく違うのに、並べてみると「失われたものをどう取り戻すか」という感じがどこかにある。


    『墓石』は、湖で遭難した青年が岸にたどり着き、森で骸骨を発見するところから始まる。ほぼ一人芝居で、青年はその骸骨に名前をつけ、友達のように扱う。置き手紙をきっかけに森へ進んでいく展開も含め、晩夏の冒険譚と幽霊譚が混ざったようなジュブナイル感がある。
    「友達がいない少年が、死者を友達にしてしまう」という設定が妙に切ない。


    『幽霊』は、オカルト研究会のような三人組が廃墟で幽霊を探す話かと思ったら、幽霊と会話するうちに役者や演技の話へ滑っていく。
    幽霊の正体も、舞台に立てなくなった役者のような存在として見えてきて、いつの間にかオカルトが演劇の話に反転する。

    最終的には「幽霊を見つける話」なのか、「演劇から消えた人間をもう一度舞台へ戻す話」なのか分からなくなるところが面白い。


    そして『ぶっちぎり♡愛の一等show』が、とにかく異物感のある伏兵。

    金色の玉のお嬢様『たまこさま』をめぐる謎の戦いがあり、勝者にはその玉を割って何でも願いを叶える、ドラゴンボールなゴールデンボーイ(お勉強野郎になるわけではない)的権利が与えられる。

    お嬢様にメロメロの執事、ネットで陰口ばかり叩くルサンチマン、そのブラコンだった妹、死んだ妹を蘇らせようとするマッドサイエンティストと、その妹の代わりとして作られたアイドル?ロボットまで登場する。

    なぜアイドルなのかは知らん。なぜかルサンチマン妹がそのロボットアイドルを推している。

    「何の説明もないけど、何で推すの……?」

    と考えているうちに、もう物語についていけない。
    でも、ここがこの作品の面白いところでもある。

    最初に与えられた設定をきっちり説明して物語を進めるというより、設定を与えられた役者たちが、そこからどんどん勝手に膨らませて暴れだしているように見える。

    『執事』『妹』『アイドルロボット』『マッドサイエンティスト』という設定が出るたびに、それぞれがさらに一段おかしな方向へ走り出す。因果関係を説明する暇もなく次の設定が投げ込まれるので、観客も「なぜ?」と考えているうちに次の「なぜ?」が来る。

    それでも話を追っていくと、これも結局は「失ったものを取り戻したい」という話になっている。

    しかも途中では妹などが突然、観客を置き去りにする謎の妄想芝居を始める。客席、特に中年の男性(女優の餌食)の一団が見事に固まる。

    ところが、その「誰もついていけない」状態そのものが妙に面白くなってくる。

    そして最後には、なぜか観客全員が盆踊りの手拍子を始める。
    物語を理解するというより、観客まで祭りの中に放り込まれてしまう。
    この感じは、囲み舞台という形式とも相性がいい。

    役者「発進!」
    観客「……?」
    舞台「ブォォォン!」
    観客「……え?」
    宇宙船「シュン……」
    観客「待って…」
    くらいの速度で舞台が先へ行く。しかも亜光速。🚀

    さらに囲み舞台の場合、ちょっと悲しいのが、別の客席ではちゃんと宇宙船に乗れている人がいること。

    こちら側:
    「……何?」
    向こう側:
    「ハハハハ!」
    こちら側:
    「何で笑ってるの?」
    向こう側:
    「シャンシャンシャン!」
    こちら側:
    「……置いていかれた!」
    (( ゚д゚)ハッ!
    ということが普通に起きる!!(無駄なびっくりマーク)
    ……でも、それも含めてライブなのだと思う。

    理解できなかったというより、舞台の速度が速すぎて、観客が地上に残される。しかも残された側の「ポカン」や「硬直」まで、囲み舞台では客席から見えてしまう。
    私はこれを勝手に『ナマハゲ✨️スキーム』と呼んでいる。
    あくまで勝手にだが……♨️

    笑っている客席、固まっている客席、手拍子を始める客席が同時に存在する。

    その反応まで舞台の一部になって、最後には全員まとめて祭りへ連れていかれる。

    その勢いのまんまなのかなんか知らんがたまこさま割って『ハーレムを作りたい』という純粋な欲望を持ったルサンチマン役者がほかの役者たちから袋叩きにあう、それとは関係なくたまこさまうっかり割っちゃったけど、願いで復活して、オーライ、みたいな展開をお約束?として挟みながら…たぶん…。

    『墓石』のジュブナイル/怪談、『幽霊』のオカルト研究会から演劇への急旋回、『ぶっちぎり♡愛の一等show』のバトル漫画・ラブコメ・アイドル・推し活の闇鍋。

    3本とも全然違う。

    なのに、死者や失われたものをもう一度こちら側へ戻そうとする話であり、同時に、舞台そのものが観客を「こちら側」へ引きずり込んでくる。

    かなり京都学生演劇祭らしい、サブカル万歳!?なBプログラムだった……気がする。勝手に。

    あとなんとなくの補足。

    京都学生演劇祭を金曜ちょこっとだけ観て、なんとなく「夏のメタファー」みたいなものを感じている。

    作品ごとは全然違うのに、盆地の京都の夏の空気をそのまま持ち込んできたような自由さがある。涼しいところで夏合宿をして、落ち着いてじっくり作ったという感じがまったくしない。暑い京都で、そのままの勢いでここまで来てしまった感じ。

    しかも観客席まで含めて、東西南北、秋雨前線自然発生型ムーブというか。

    あっちでベジータが爆発している。
    「あ、こっちはスーパーサイヤ人になった」
    と思っていたら、今度は別の場所から妄想芝居が飛んでくる。
    こちらが爆風を受けて硬直していると、
    「……あれ? なんか僕、見られてます?」
    みたいな瞬間まで発生する。

    観客参加型というより、客席のあちこちで勝手に前線が発生して、それが東西南北へ移動してくる感じ。

    作品を観ているというより、盆地の京都に発生した夏の気象現象を、観測しながら気づいたら客席で一緒に爆風喰らっている。

    そう考えると、これはもう『夏の夜の夢』としか言いようがない♨️

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    2026/09/25 14:54

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