偽善者日記 公演情報 荒川チョモランマ「偽善者日記」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    つながりや包み込みのしなやかさ
    尺としてはやや長めの作品ですが
    3幕それぞれの物語のつながりがしなやかで
    時間を忘れて見入ってしまいました。

    ボリューム感があって
    だからといってそれが重たさにならず
    時間の流れのふくらみとして
    観る側に残る・・・。

    おもしろかったです。

    ネタバレBOX

    エアロビから一気に物語に導かれて・・・。

    ばらばらというわけではなく
    一つの流れのなかに物語が描かれてはいくのですが
    3幕それぞれに
    物語の色がしっかりと作られていて
    全体として冗長な感じがなく
    個々のシーンのニュアンスをしっかりと追って行ける。

    たとえば、
    1幕の男がまるでぽんと背中を押されたように
    競馬に転落していく刹那、
    あるいは2幕の男の姿を主人公が悟るときの静的な表現、
    さらには、
    それらの物語の外側が描かれる3幕の
    キャラクターの視座のばらつき感などなど・・・
    デフォルメされたいろんなシーンから引き出される
    空気の実存感が
    舞台を次々に満たしていく。

    細密に描くという感じではないのですが、
    キャラクターの設定や
    それぞれの物語の流れに
    無理がなく、
    自然にその空気に引き込まれるような感覚があって。


    個々のシーンの色が
    一様でなくそれぞれに満ちて、
    ラストシーンの中に
    ひといろに染まらない生きていくことの感覚のようなものがあって。
    そのヴィヴィッドさに浸されてしまう。

    舞台装置の構造にしても
    時間をコントロールするようなムーブメントにしても
    間に織り込まれるエンターティメント色をもった部分にしても・・・
    それぞれのシーンの強弱が
    きちんとコントロールされていて。

    役者たちにも
    単にメリハリに走らないきちんとした心情表現があって
    物語を筋書きからニュアンスに膨らませていく。
    個々の実直なお芝居が
    キャラクターの色をしっかりと保ち
    交わらない強さがあるのが良い。

    緻密とはいえないけれど、
    むしろ作りこまれた緻密さに縛られないからこそ見えてくるような
    父母の世代から子供たちの世代にいたる、
    それぞれの生きる感覚のようなものが
    しなやかに俯瞰されてみる側に浮かび上がってくる。

    まあ、いろんなことを盛り込み過ぎた感も
    なきにしもあらずなのですが、
    ちょっと勇み足のようなラフさも終幕できちんと回収されて・・・。

    2時間超えの作品に
    ただただ見入ってしまいました。

    *** **** ***

    終演後、
    携帯にメールが来ていて・・・・。
    物語がさらに広がる。

    こういう表現もしたたかで上手いと思う。

    なにかを一歩踏み越えた
    表現の手練の豊かさにさらに心惹かれて。
    次の公演が一層楽しみになりました



    0

    2011/03/19 11:30

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大