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踏み台の3段目/クロスロード
観てきた!クチコミ一覧
クチコミとコメント
公演情報
中央大学第二演劇研究会「
踏み台の3段目/クロスロード
」の観てきた!クチコミとコメント
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ハンダラ(11289)
実演鑑賞
満足度
★★★★★
中々深い。尺は約85分。
ネタバレBOX
全体的なレイアウトはホリゾント壁に縦・横様々に掛けられた
大小様々な矩形の板に特徴があるがテロップや種々の効果画面が
映写される。ホリゾント手前に白いソファ。上手奥には手洗いが、
下手奥には洗面所があり、「踏み台」では上手壁の一角が収納式の
仏壇になっている。またシーンによってソファの上にラジオが置か
れることもあれば、電車のシートになることもある。又「踏み台」
では父の認知症シ-ンで車椅子が登場することもある。そして蝉の
鳴き声や風鈴の音も挿入され父の故郷佐賀の地方生活も示される。
この点で妄想癖のある「クロスロード」の主人公・快晴とは異なるが世の中の有為転変に翻弄されている点では極めて近く、その根底で蝕まれてし
まった思考とは人間性に関する思考であると思われる。例えばフラン
ソワ・ラブレーが書いた「ガルガンチュアとパンタグリュエル物
語」に於ける先進的教育論。時代を下ってヴォルテールの「カン
ディド」に書かれている“スリナムの黒人奴隷”では砂糖のプラン
テーションで行われていたサトウキビの石臼に巻き込まれ指を
失った奴隷の罪を問い腕を切り落としたり、逃亡を図った者達
の足を切断したりといった情況が書かれているし、そのような
目に遭った奴隷の言葉「ヨーロッパでは私たちのこのような犠
牲の上に砂糖を召し上がっているのです」という言葉が記され
ている。また同じ18世紀のルソーが書いた「社会契約論」には
“自由を放棄することは、人間という資格を断念することだ。
人間の諸権利を放棄することである。人間の本性と両立しない。
倫理の一切を奪うと同義である(からだ)”と言った強い主張が
述べられていた。彼のこの主張は、カント、マルクス、ハイデガ
ー、サルトルなどにも継承され大きな力を持っていた。この良識
が徹底的に破壊されるに至ったのはソ連崩壊後、アメリカが世界
で唯一の超大国として振舞い始めたことが大きかろう。総てが利
潤に奉仕するよう全世界の人間的秩序が崩され始めたのである。
今作の提起した諸問題にメスを入れるにはこの辺りのことから
考え鵺的社会そのものの我が国を根本から再構築する他あるまい。
以下に今作のアウトラインを記しておこう。
2つの作品名をテロップで示すだけで一幕ずつ上演。
このような上演形態を採るのは、一見異なる事象と映るこれら2つ
の作品で描かれる状況が、当に現代日本の昏い世相とその底に蜷局を
巻いている資本の企み、それをアカラサマにし得ない人々の
間で起こっている“事実”をほぼ同じ舞台美術、レイアウトで
上演されるのは2作品ともに現代日本の昏い常態を示す為と言
えよう。このように狡猾な資本主義が日本社会の特性、鵺的社会
を用いて大々的に実行され余裕と人間性を生活空間の中に失った
現代日本人の在り様を描いているように思う。
「踏み台」の方は認知症を患った父の介護をずっと独りで担ってき
た息子が父の「殺してくれ」という望に応えて縊死させてしまう物語。
ところで発症前「人間関係で一番深いのは何だ」との父の問いに息子
は「家族」と答えたが父の答えは「共犯関係」であった。情状酌量の
余地があると裁判官が判断したのもこの辺りの事情を斟酌したからで
あろう。
「クロスロード」の方は主人公の快晴が女性なので恋絡みの妄想が多
い。妄想だから素直に解釈すれば深層心理の闇ということにはなるか
も知れぬが、資本はこんな彼女らに化粧品やブランド商品、整形や、
ファッション何でも売りつけてくるのも事実だろう。そんな資本の
攻勢の中で彼女らは宙吊りである。
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2026/09/13 17:50
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