ルナナン 公演情報 はちどり空港「ルナナン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    未見の団体で、どのような劇作なのか興味があった。物語は不可解だが、何となく観入ってしまう公演。時空間を往還し過去(地下)の想いと現代(地上)の思いを重ね合わせたような印象。テーマパークという娯楽施設、昼間は賑やかで楽しいが 夜間は寂しく少し不気味、さらに工事中という未知の条件が加わって不思議な世界観を立ち上げる。

    公演の魅力は、テーマパーク(マジカルワンダーランド)の地下にある迷路とその中を(心の)彷徨するといった物理的、精神的な探求をファンタジーに描いているところ。雑遊という小さな劇場は、迷路(心)そのものを表出した感じ。何かがあるのか 埋もれているのか または隠されているのか といった関心を惹く展開。しかし10年前に起こった出来事(宙空が割れて何かが飛散)は何か、天災なのか事故(紛争・戦争だったら意味深い)なのか、または超常現象だったのか。その原因ともいうべきこと---具体的な出来事が解らない。台詞から想像するには難しかった。

    奇妙と思われる世界、日常の延長として生きる といった夢想と現実の狭間で足掻いている人を描く。そこに人間のリアルが浮き彫りになる。同時にテーマパークの創設者の娘(姉)と息子(弟)の衣裳がそれぞれ白と黒のスーツで対照的、それは死(鯨幕)をもイメージさせるのだが…。理屈ではなく、整合性やオチといった納得性より不可解な世界観、それを感性で観るといった物語。
    (上演時間1時間35分)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、紐簾でその後ろに光幕のような。大きさの違う立方体2つあるだけの ほぼ素舞台。冒頭 テーマパークに来たヒカリにパークのスタッフがアンケートを実施する。ヒカリは友達と来ていたが 今はいない。ヒカリが携行している奇妙な装置が不思議な世界を築いている。途中で「マジカルワンダーランド」の模型を持ち込むが、それがテーマパークの空想イメージを創り出す。

    今 テーマパークは施設拡張により莫大な借金、CEO(鷲津サキ)は その打開策として中国資本に売却する計画。一方 弟(鷲津ルカ)は父が創ったパークの売却に反対。2人の確執は経営を巡った骨肉の争い。テーマパークの着ぐるみマスコットが<ルナナン>、それが好きな田辺葵はルナナンの後を追って秘密の扉(13号)の中へ…。時空間が歪んで10年の時を往還、なんとなく足元が揺らぐような不安定・不安感が襲う。

    登場人物は8人、それぞれが濃いキャラクターで物語をグイグイ引っ張っていく。葵(小野瑞季サン)は社会的には自己肯定感が低く、他人のことばかり気にする。楽しみはテーマパークでルナナンに会うこと。ヒカリ(桑田佳澄サン)の存在そのものが不思議で地球人なのか宇宙人なのか、生者なのか死者なのか その正体が不明。パークのスタッフ(鈴木美緒サン)は誠実な人柄で時にユーモア。工事を請け負う荷揚げ屋の先輩(松浦慎太郎サン)は、今の仕事に将来性があるのか そして10年後は中央官庁の役人へ。後輩(田中心太サン)は一癖ある人物で、少し非合法的なことに関わっている。そして創業者の娘(石田裕子サン)と息子(高橋拓己サン) そして彼らの部下(近藤利紘サン)で空気の読めない腰巾着的存在。この俳優陣のチームワークが良かった。

    先の10年前に起こった出来事が もう少し想像し易ければ大化けしたであろう作品。この世界観の描き方は唯一無二で 大切にしてほしい。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2026/09/10 17:00

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