ネズミ狩り 公演情報 劇団チャリT企画「ネズミ狩り」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    黒過ぎるブラックコメディー
    タイトルでは「群像コメディ」と銘打たれているけど…。
    正直、長男の化粧絡みのネタでしか笑えなかったというのが
    本当の所。 デフォルメの効いたキャラ達の会話の中、
    見えてくるのは、

    「僕ら、一体どれだけ目の前の相手、事実を分かっているの? 
    本当は、分かっているつもりが、表面的なものしか見えて
    ないんじゃないの?」

    という相当キツめの皮肉。 いやー、触れ易そうに見えて、結構
    ビターな作品でした。

    ネタバレBOX

    陪審員制度が導入されて結構な時間が経つ今だから、死刑の問題が
    取りざたされるようになってきている今だから再演されたのだと思うけど、

    実は、「冤罪」っていう側面で観た場合、相当怖い劇だよ、これ。

    長女がいうように、死刑になった少年が、実は清水君一人しか
    殺して無いかもしれないのにも関わらず、最後に死刑になり、

    同時に、痴漢被害のせいで精神に深い傷を負って電車に
    乗れなくなった次女が電車に乗れるようになった。

    一人の死によって、もう一人の精神が回復される。
    しかも、それは全くのグレーゾーンに基づいたもので、つつけば
    問題点がぶわっと噴き出してくるような代物。

    だけど、その代物は周囲の人間達によってさも正しい事のように
    広められ、そしていつの間にか異議を挟めない「常識」になってくる。

    「常識」が「常識」でなくなる時には、既に手遅れである事は
    往々にしてあり。 そして、皆、またそれを当然のこととして
    受け入れていく。

    まるでさも、それがずっと前から当然であったように。

    私は、そのことが本当に怖くてしょうがないですね。
    何度同じことを繰り返すのか、と。

    チャリT企画には、今後も「考えさせられる重喜劇」を望みたいですね。
    私小説、家族劇的な劇が多い中、本当に貴重な存在ですよ。

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    2011/03/11 22:32

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