満足度★★★★★
「確率」でははじき出せない人間達の「生き様」
「人生に偶然などない」
この言葉通り、
「確率」という数値に押し出された人間達の多様な「生き様」が、
地下室の限られた空間の中で、炸裂していた。
それは、まるで、自由を奪われた「花火」のようにも感じられ、
そこに交錯する音も光も、
まるで、
「完璧なるもの」を目指しながらも、
叶うことのない強烈なジレンマのようなものと、
締め付けられるような哀しさを残した。
「確率」をテーマに、
棲む世界も、色も表現手段も異なる4つの劇団が、
30分という限られた時間、そして、
同じ空間を使って描いた舞台。
表現者が異なれば、
「人間の生き様」というものは、こんなにも捉え方が多様なのか。
それぞれの「哲学」を提示されたようで、
4つの舞台をひとつに合わせてこそ、完成する世界観・・・
NUMBERS企画の魅力は、きっと観劇後の余韻の中で、
より深く、的確に理解されるように感じた。
非の打ち所の無い、「確率」という数値をたぐり寄せても得られぬものが、
人の純粋な「願い」がもたらす、
「運命」という幻影の中にこそ、存在する哀しさを知ることになった。
4つの劇団のそれぞれの俳優さんが、
ワクワクするほど自由で、存分に持てる魅力を発揮し、
驚愕の世界を惜しみなく表現されていたので、見応え充分だった。
中でも、DART’S『ブラインド・タッチ』の
長谷川太郎さん(少年社中・森の太郎)。
死の迫る緊迫した状況に置かれ、混乱する人間の心理を、
現実に生きる人間以上に、鮮明に取り出し、
観客の目前に突き出して見せた、表現。
まさに異常と言えるこの状況を生き抜く人間達を強く牽引し
観る者をグイグイと引き込む全力技。
見事でした。
素晴らしかったです。