この海をあげるから 公演情報 劇団ファミリア「この海をあげるから」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     海そのものへの憧憬と、海に象徴される自然を蔑ろにするヒトという生き物の業をカルマレベルで昇華した作品と言えようか。タイトルになっている言葉が台詞にも表れるが切ない。

    ネタバレBOX

     板上の舞台美術は極めてシンプル。板中央に客席側からは上り階段をその最上段から対照的に下り階段を組んである。板の三方、天井からは間隔を開けて天井から布が下げられている。開演前には海から聞こえる波音。尺は90分弱。
     物語は伊豆諸島の一角を占める新島。旨いクサヤの産地としても、サーファーに人気のある島としても知られる。受験を迎える高3の生徒たちが体験した不可思議な経験を描く。
     ミツキは、高飛び込みの選手、然し怪我で暫く飛び込みは休んでいる。そんなミツキの仲良し、ナホ。そしてナホがずっと憧れてきたユウジ、ミツキを好きらしいトキヒトらと高3最後の夏休みを過ごしている。周りは太平洋に囲まれた島だから自ずと海に出掛けることが多い。また、島で取れない農産物や酪農製品、畜産品等は本土から船で運ばれてくる。海が時化れば欠航である。無論、海水は澄んで東京湾内の海水などドブ同様に感じられるのは、自分自身大島で暮らしていた経験を持つことからも明らかだ。そんな海で起こった不思議な物語。因みに4人が良く行く海辺の近くには、小さいながら図書館があり、この図書館には地元新聞がストックされており、島の歴史探索には恰好の資料となっている。
     ところで、最近異様な物を見た。4人が海岸に集まっていた時である。夕暮れで昏くなりかけて居た為ハッキリ見えた訳ではないが、随分大きな魚らしい物が波間に見えたのだ。毎日海を見、海に囲まれて暮らしている彼らも初めて経験する「魚影」であった。こんな魚が現れるのは何らかの異変の前兆か? と気にもなる。実際、近年は特に海水温の上昇や気候の温暖化は異常なレベルで推移している。こんな中で初めて見た「魚影」は皆の心に強い印象を残した。そんな折、東京から矢張り高3の女子がやってきた。歳が同年齢であり渋谷に住んでいるということで、青学に入りカフェでバイトして矢張り大学に進学した憧れのユウジと・・・を夢見ているナホは、進学しないと明言しているユウジへの憧れからこの女子高生とも話すようになり、彼女は他の3人とも友達になる。
     一方、ミツキはあの「魚影」の本体と出会う。而もその「魚影」の実体はミツキにしか見えない。何故か? それが人魚であったからだ。八百比丘尼を始めとして日本には人魚の肉を喰らうと永世を得るという話が伝わる。あの人魚である。人魚は様々な予言をする。而もその予言は総て的中する。何故、人魚が予言をするのか? それは大変なことが起きるのを防ぐ為だという。それを防げるのはミツキだけだとも。
     この謎の顛末は実際に観て確認して欲しいが、地球温暖化が科学的に立証されていると多くの人々も信じざるを得ない昨今の状況を想起させつつ展開するこの謎解きは、中々の奇譚でもあり楽しめる。

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    2026/09/06 10:54

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