公演情報
劇団1980「出ニッポン酔夢譚」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★
凄く面白い。
一体何を描こうとしているのか掴めないまま綿密に調べ抜かれたディティールに呑まれてゆく。
初めは評価の高い過去作の再演だと思っていた。原作のある戯曲なのだと。だが実は全くの新作。積極的に海外公演を打つこの劇団は2004年2008年に長期公演を行なった程ブラジルとの関わりが深い。よって現在200万人以上いる日系社会を築いたブラジル移民の物語の執筆を瀬戸口郁(かおる)氏に依頼。ブラジル取材旅行を行なう予定だったが新型コロナウイルスのパンデミックにより中止。急遽、ブラジル移民三部作のエピソード3のつもりだった『いちばん小さな町』を制作することに。「日本のブラジル」と呼ばれ人口の2割以上が日系ブラジル人移民の群馬県大泉町。移民との共生というかなり早急的現実的な社会問題がテーマ。2021年に初演され大きな評価を得た。そしていよいよ今作が三部作のエピソード1。
語り手である農民詩人に憧れる大田怜治氏。冒頭、観客に「皆さんは土が笑うのを見たことがありますか?僕はあります。確かに自分が耕した畑で紫の夕暮れに染まった土が笑っていたのです。」と語り出す。時は昭和5年、昭和農業恐慌による農家の困窮が極まり、最早最低限の生活すら出来ない人間がそこらここらに溢れた。国は国策移民事業を打ち出し、ブラジルへの移住を奨励。夢の国ブラジルで成功すれば豊かな生活が送れると。だが実際には移民ではなく棄民だった。
熊本の貧しい農村、このままでは餓死するほかはない。田畑家を潰して売り払い、なけなしの金を握り締めてブラジル移民に賭ける二家族。
光木麻美さんは『赤い殺意』の春川ますみを思わせる貫禄。存在感があり、作品に血肉を通わせる。MVP。今平映画っぽい。
上野裕子さんはいつもながらもう婆さんにしか見えない。アフタートークの司会で素顔が見れた。
寺中敬輔氏の単細胞な行動が笑いを生む。
看板俳優である神原弘之氏は中田カウスっぽい。「炭坑節」は良かった。
木之村達也氏は本多一夫氏っぽかった。
藤川一歩氏と金子由之氏の白熱する口論が作家の意図を代弁する。