GOOD NEIGHBORS 公演情報 ハイワイヤ「GOOD NEIGHBORS」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い、お薦め。
    現実にありそうな話から妄想そして狂気へ 、その境界が暈けて曖昧になる。まさに舞台ならではの醍醐味が味わえる作品。また雰囲気の変わり目が自然とわかる演出が妙。昔ながらの自治会(コミュニテイ)は、民意による話し合いのようで、実はそれぞれの立場や思惑が蠢いている。物語は奇声を発する住人の騒音、それをどうするかといった身近な問題から始まる。誰が誰のために といった話し合いと行動が漂流するようで、どこに辿り着くのか混沌とした展開に目が離せない。

    少しネタバレするが、冒頭 奇声を発する裏井戸鏡子の憔悴したような表情、主人公 覗見明の妻 万里の能面のような表情、その外見的な姿から不穏な雰囲気を漂わす。また舞台美術は 狭いコミュニティをしっかり作り込んでいる。見応え十分。
    (上演時間2時間15分 休憩なし)㊟ネタバレ

    ネタバレBOX

    舞台美術は各戸が横並び、古びた街灯や看板。下手はカーテンで仕切り覗見家の室内、隅には多くのゴミ袋。雑然としているが、東京の或る街といった情景。覗見明は自治会長(持ち回り)で住民からの苦情に真摯に対応している。目下の課題は 裏井戸鏡子の騒音(奇声)をどうするか から物語は始まる。

    明には万里という病身の妻がいる。後々 分かるが末期癌で余命いくばくもなく、自分が死んだ後の明のことを心配している。明は夫として献身的に看病をし、自治会長としての責務も果たそうと頑張っている。そこに精神的な余裕のなさが透けて見えてくる。彼は公務員で、同僚の真摯な仕事(住民対応)振りに感心していた。その住民こそ鏡子で、生活保護の件で無理を求め同僚は疲弊していく。その姿を見ていた明は鏡子へ復讐しようとするが…。鏡子の狂態した踊りは一瞬アングラ劇を見ているような錯覚。

    明は 自分が公務員であったことを独白する場面では、一歩 立ち位置を変え客観的に話し出す。また万里(介護)を背負いベットに寝かせる、鏡子(苦情)を背負い舞台を回っている姿は日常的に追い詰められていく様子。冗長かと思われる場面に明の精神的な疲弊を描く。それは姿なき恐怖、鏡子からの嫌がらせを牽制する意味での防犯カメラ。それは逆に自分自身の姿を映すことになる。統合失調症になり幻聴や妄想などの症状が現れる精神疾患、なんと狂気の元凶は自分だったのか。

    物語は万里の死後、自治会長を解任される後日談まで描く。小さなコミュニティでは、ちょっとした噂がだんだんと大きくなり影響を持ち始める。その同調圧力のような目に見えない不安・不穏そして恐怖を見事に表出させている。親身になるご近所=クリーニング 小河原春、上京して在学中に住んだが 卒業と同時に郷里へ帰るタカトくん。そして いつの間にか知らない人(多い苗字での表現=佐藤、鈴木、高橋)が住んでいる。東京のどこかにありそうな街と人々を巧みに立ち上げている。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2026/08/22 16:16

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