卓 公演情報 風雷紡「」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     舞台美術は至ってシンプル。八畳の間の中ほどに木製の大きなテーブルがでんと据えられている他はコーナーの一角に神棚が設けられており、側壁中央、部屋の奥中央、廊下の壁それぞれに大きな掛け時計が掛けられている。劇空間入口の客席側にこの家の当主の趣味であろう、植木の鉢が幾鉢か置かれている。この家はこの当主が養蚕農家から発展させた絹織物の工場或いは絹糸を生産している模様。尺は休憩無しの125分。一瞬たりとも目の離せない舞台だ。観ておくと良い。ネタバレは途中まで上げておく。
     開演前には太平洋戦争時の大きな作戦に関する大本営発表のラジオでの戦果報告(敵損害情報、我が国被害状況等が日時、作戦名と共に流されている。オープニング直前に流されるのは、国防婦人会によるとされる前説、中々工夫が凝らされているのがグー。(いかようにも深読みできるという意味で華5つ☆追記後送)

    ネタバレBOX


     さて、オープニングで流されるのは所謂玉音放送である。裕仁のこの有名な放送が全国レベルで流されたことは(沖縄でどうであったか? 恥ずかしながら小生は存じかねるが)聞いた方々も多かろう。裕仁が戦争責任をキチンと負わなかったことは一応、肝に銘じておいて欲しい。
     この家には現在でいえば家政婦さんや使用人が何人もいるが、何せ、文明開化以降大日本帝国が経験した大きな戦争で完敗したと国民総てが認めざるを得なかった太平洋戦争は、日本国民の大多数にとって驚天動地の事態であったことはある程度想像できなくはあるまい。例えば現在進行形のウクライナVSロシアの戦争についてもウクライナ人は兎も角、ロシア人の多く(チェチェンの人々、コサック、ウラジオストック周辺等周辺地域や少数民族の多い地域・人々等リスクの多いことを担わされてきた、即ち外れくじばかり押し付けられる人々を除けばサンクトペテルブルグ、モスクワ等ロシア人中心の地域、ロシアの光の当たる部分に住む住民にとってはつい最近、自分達の集住地域が実際にウクライナのドローン等の攻撃に晒される迄戦争を実際に行っているという意識が弱かったことをみれば案外「遠いこと」だったに違いない。少なくとも極めて意識的に世界情勢を見、知り、分析し、統合して思考する合理的精神を持つ者を除いては、戦争の実態は見えていなかったという証言は嘘ばかりとは限らないのかも知れぬ。何れにせよ、戦争が始まれば当事国のみならず関係諸国、諸団体、諸人物は基本的に嘘を吐く。これが戦争の実態である。自分はかつて赴任していた任国で起きたクーデタの際、一緒に行動を共にしていた或る省の局長と共に、日夜それらの諸情報を入手していたから改めてその実態が、正しく事実でしかないことに愕然とせざるを得なかった。時代も場所も異なるが戦争が起こってしまえば起こることの本質に殆ど変わりはない。今作の背景にあるのは、このような個々人の力では抗うことの極めて困難な事実の実態が至る処、否、全面的に我らの足元を掬っているのであるという事実だ。

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    2026/08/14 01:52

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