満足度★★★★★
笑わせながらも重い
作・演出の鄭義信の原体験をベースにした物語は、韓国の役者陣を迎えて、丁寧で濃密で笑わせながらも切なく展開される。父・母・3姉妹と末の息子の6人家族と、取り巻く人々の物語だが、エンディング、2人だけ残された父母が去っていく場面は、意味は重いが不思議な明るさがある。実に秀作。2008年の演劇賞で高評価を得たのも納得できる。長女を演じた粟田の中盤まで押さえた演技、逆に過剰に感情を出す次女の占部、ややトリッキーな存在の朱の3姉妹の対比が巧みだが、軸となる父・申の「運命…宿命」という繰り返されるセリフや、母・高の胸を繰り返し叩く感情表現には、強烈な印象が残る。