満足度★★★★★
今 敏監督の代表作が。
あの、優れたアニメ映画を観た人なら誰もが「あんな作品、舞台になるの?」と訝しく思うだろうが、一度、パフォマンスに触れた後では、映画ですら、あの物語のひとつの解釈であったのか、と驚きと感動とともに深く納得するだろう。初演時、今 敏監督は、大阪に足を運び、繰り返し観劇したというが、フェイクにフェイクを重ねて、こちらの現実感を揺さぶった挙句に、リアルとしか言いようのない何かを垣間見させるスタイルは、まさに今監督のものであり、映画版にはない、豊富なアイディアの数々も、原作に真摯に向かい合った結果のアダプテーションであることが理解できる。とにかく、活き活きと動きまわる女優たちの姿が素晴らしく、こちらの知性と感性を絶えず刺激してくる。今監督は鬼籍に入られたが、この東京公演もどこかで観てらっしゃるかもしれない。